追究

2011年11月29日

なごや人権フェスタ

なごや人権フェスタ

教育学科の小島ゼミが、外国人の子どもたちとの活動を紹介。
違いを尊重し合うことの大切さがメッセージとして伝えられました。

1948年12月10日に第3回国際連合総会で「世界人権宣言」が採択されたのを記念し、日本では12月4日から10日までの1週間を「人権週間」と定め、全国的にさまざまな行事がおこなわれます。名古屋市においても、人権の大切さについてわかりやすく紹介する「なごや人権フェスタ」が11月29日(火)から12月4日(日)まで開催されました。このイベントに文学部 教育学科の小島ゼミ、小島祥美先生と3年生8人も参加し、「考えてみよう! ぼくとわたしのフォトストーリー」と題したブースにて映像の上映、パネル展示をおこないました。

 ブースのメインとなったフォトストーリーを制作したのは、三重県松阪市に住むブラジルやフィリピンなど外国にルーツのある子どもたちです。小島ゼミの学生たちと2人組のペアになり、子どもたちは自分のルーツや夢、宝物などについてパソコンを使いながら表現し、自分の思いをカタチにしました。この活動は、松阪市教育委員会 人権まなび課や学校関係者の方々のご協力のもと、夏休みにおこなわれました。学生たちはペアを組んだ子どもたちの家にホームステイし、コミュニケーションを深めながらフォトストーリーのテーマや構成の考案、写真の選定などをサポートしました。
言葉も文化も違う社会で暮らす外国人の子どもたちの多くは、自分の将来に対しての不安やアイデンティティの揺らぎなどを感じています。子どもたちが「自分」を肯定的に理解し、将来の可能性を感じることができるよう手助けしたい!という一心で、小島先生や学生たちは子どもたちの自己表現を応援しました。実際、この活動の後、子どもたちは勉強への意欲が高まり、在籍する小中学校での出席率が上がるなど、良い効果が生まれているそうです。

 こうした取り組みの集大成であるフォトストーリーからは、子どもたち一人ひとりの輝く個性、まっすぐな思いが伝わります。「なごや人権フェスタ」においても来場者から「子どもたちのイキイキとした作品を観て、日本に住む外国の人々の思いに気づくことができました」といった意見が寄せられたそうです。子どもたちの笑顔があふれるフォトストーリーを通して、さまざまな違いを個性と捉え、互いに尊重し合うことの大切さが、多くの人の心に届いたのでしょう。そして教員を志す学生たちにとって、外国にルーツを持つ子どもたちとのふれあいは、子どもの個性に寄り添い、希望の未来へ導く教育者への一歩となる貴重な経験となりました。

小島ゼミ 学生のコメント

外国人の子どもたちへの理解と支援の輪を広げたい。

私がペアを組んだのは、フィリピンから日本へ家族で来ている中学1年生のレイナちゃん。フォトストーリーのテーマを「宝物」に決め、両親、友達、将来の夢に関する写真を一緒に選びました。来日してまだ1年ほどですが、友達に日本語を教えてもらっているそうで、モデルやカメラマンなど自分の夢について一生懸命話してくれました。その姿に心を打たれ、外国人の子どもたちを支える知識や力を、教員としてだけでなく一人の人間として身につけたいと強く感じました。
さまざまな地域でアクティブに活動する小島ゼミでは、この活動以外にも子どもたちや地域の方々と交流する機会が数多くあります。その中で、自発的に行動する力が養われました。今後、子どもたちとふれあう活動、外国人の子どもたちが勉強しやすい教材や指導法の研究などに、さらに意欲的にチャレンジしたいと思います。

文学部 教育学科 小島祥美 准教授のメッセージ

文学部 教育学科 小島祥美 准教授

地域での経験や出会いを、教員となったときの自信にしてほしい。

名古屋市の2008年度人権啓発等活動拠点検討委員を務めたことがきっかけで、今回、「なごや人権フェスタ」に参加しました。外国人も市民の一員であることを多くの人に感じていただく機会にしたいと考え、地域に暮らす外国人の子どもたちとおこなったゼミ活動を紹介しました。
私自身、小学校の教員時代に、外国人児童と出会いました。個性の開花には、外国人・日本人に関わらず児童一人ひとりを取り巻く環境を理解すること、そしてその心に寄り添ってサポートする知識・能力のみならず、地域をみつめて人とのつながりを理解することの大切さを痛感しました。
だからこそ、教員をめざす学生たちには、地域の中でさまざまな活動に参加し、将来の自分の自信となる経験や人との出会いを重ねてほしいと考えています。そのためゼミでは、松阪市教育委員会と協働した活動をはじめ、地域で活躍するNPOと協働した子どもたちとのワークキャンプ、愛知県とのリニモ沿線のマップづくりなど、地域や社会とのつながりを体得したり、地域の魅力や課題を自らで発見したりする実践教育に力を注いでいます。一つひとつの経験を、教員として、また人としての力にしてほしいと願っています。