躍動

2023年01月27日

メディアプロデュース専攻 渡辺さんの制作したドキュメンタリー作品が「おいしい映画祭」で全4部門を受賞しました。

vol.94

創造表現学部 創造表現学科 メディアプロデュース専攻 4年

ありのままの母の姿を映したドキュメンタリー作品が、一般の方からプロに至るまで多くの人の心を掴みました。

 2022年12月2日~4日にミッドランドスクエアシネマで、東海地方の映画好きが集まった任意団体「シネマコレクション」が運営する「おいしい映画祭」が開催。おいしい映画祭は「食」をテーマの一つとしており、食に関するカットを作品内に入れることが応募条件です。映画祭には個性豊かな短編作品が集結し、第一線で活躍されている映画監督やプロデューサーの方や映画館のスタッフが事前に作品を審査。そして受賞した作品が映画館で上映されました。その中で本学の創造表現学部 メディアプロデュース専攻の阿部ゼミに所属する渡辺実希子さんの作品が、審査員特別賞・観客賞・マイナビ農業賞・CBCハウジング未来つなぐproject賞の4部門を受賞しました。
 今回、渡辺さんが制作した作品は『JUST MISS-娘の知らない母の時間-』。渡辺さんのお母さんは非常に早起きで、渡辺さんが起きる頃には仕事に出てしまっているので、22年間、自分が起床するまでの間にお母さんが何をしているのかを知りませんでした。そんなお母さんに密着し、自分が寝ている時間の母の行動を追究する約8分のドキュメンタリー作品となっています。作品はお母さんが起床する午前3時から、家を出発する午前6時までの密着で、朝食の準備、竹刀の素振り、ランニングの3部構成です。BGMなどはなく、あるのは収録された生の音と渡辺さん自らが担当したナレーションのみで、映像にはリアルなお母さんの姿が描き出されています。

メディアプロデュース専攻 渡辺さんの制作したドキュメンタリー作品が「おいしい映画祭」で全4部門を受賞しました。

■『JUST MISS-娘の知らない母の時間-』の一部

 朝食準備の場面では、みそ汁やサラダなどを慣れた手つきで用意します。渡辺さん曰く「トマトやキウイを包丁で切っているシーンはこだわりました」とのことで、野菜を切る時の音だけが静寂の中で響き、繊細に描写されていました。同じゼミの友人からは「すごく美味しそうに見えた」とお墨付きをもらえたそうです。お母さんは朝食の準備を終えると竹刀を手に外へ出て、素振りを始めます。剣道経験者のお母さんの素振りや所作振る舞いの美しさが際立つように、アングルに注意して撮影に臨んだとのことです。最後はお母さんが河川敷を軽やかにランニング。ちょうど朝日が昇り始めるタイミングということもあり、河川敷で疾走感ある母の姿と、鮮やかな日の出をうまくレンズに収めることを意識したようです。

 渡辺さんの作品は、最優秀賞にあたる審査員特別賞と、観客の方からの投票で選ばれた観客賞を受賞しており、プロからも一般の方からも評価された作品だといえます。今回の経験は彼女の自信につながり、映像作品を作るうえでの大きなモチベーションとなったことでしょう。今後も大学での経験を糧に、表現者として成長していくことを期待しています。

学生コメント

メディアプロデュース専攻 渡辺さんの制作したドキュメンタリー作品が「おいしい映画祭」で全4部門を受賞しました。

メディアプロデュース専攻 渡辺さんの制作したドキュメンタリー作品が「おいしい映画祭」で全4部門を受賞しました。

創造表現学部 創造表現学科 メディアプロデュース専攻 4年
渡辺実希子さん

 私は元々ドキュメンタリーに興味があり、特に人物密着の作品が好きだったので、母に密着した作品を制作しました。テレビ番組や映画のように演出のある「魅せるドキュメンタリー」も好きですが、今回はありのままの母の時間を描写するため、演出などは最低限に抑え、できる限りシンプルに仕上げることにこだわりました。賞をいただけたことはもちろん嬉しいですが、受賞作品の中で唯一、私の映画だけがドキュメンタリー作品だったことが印象に残っています。ドキュメンタリー作品は、物語や脚本のある劇映画と比較すると、難しい部分があることは承知していたので、そのドキュメンタリーで評価していただけたことに驚きました。
 卒業後は情報番組の制作会社に就職するので、さまざまなジャンルの番組制作の勉強をしながら、ドキュメンタリー作品に携わることをめざしたいと思います。また、この映画祭の審査員を務められた映画監督の方に「劇映画もつくってみたらどうか」とご提案いただきました。今までドキュメンタリー作品しか撮影したことがありませんでしたが、この言葉をきっかけに劇映画も撮ってみたいという気持ちが生まれたので、撮影に関する知識やスキルを磨いていき、いつか劇映画にもチャレンジしたいです。