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概要

大学案内2016 第2版

近・現代文学映像を超えるイメージの持ち主に。先人が築き上げてきた文化や伝統の継承が危ぶまれている現代の日本。経済偏重の姿勢が見直しを迫られ、国際社会の中で日本人のアイデンティティが改めて問われています。こうした時代だからこそ、国文学科で学ぶことの意義は大きいのです。愛知淑徳大学の国文学科では、『源氏物語』をはじめ、『万葉集』以来の和歌文学、王朝の日記文学、物語文学、仏教文学、近・現代文学などの多彩な授業を開講。先人の感性、生き方、その文化的背景までを味わいつくせる豊富な科目群を用意しています。多くの学生が、日本文化の担い手としての自信と誇りを持ち、社会に、世界に、そして未来に力強く羽ばたいていくことを望みます。言葉の持つ不思議な力を信じ、ありとあらゆる表現を駆使する書き手の創造力。それを受け取る読者の想像力。そこには無限の可能性が存在します。講義やゼミでは、こうした「創造力」と「想像力」との橋渡しをします。国文学科では、近・現代文学への理解を深める一方で、「文章表現」の授業を通して文章を書く力、表現する力を高めることができます。国文学科の多彩なカリキュラムの中で、さまざまな世界と出会い、読み手としての感受性・想像力をふくらませ、書き手として表現技術を磨いていく。そして人間としての想像力=創造力を大きく開花させていくのです。世界に比類ない豊かな古典文学の世界を楽しむ。世界に誇る日本の文化を未来に引き継ぐ。右ページのAの写真は、徳川美術館所蔵の国宝『源氏物語絵巻』「東屋(一)」です。左下で侍女に髪をすかせているのは宇治の八の宮の次女(中の君)で、向かい合って絵冊子を見ているのは姉を初めて訪ねた異母妹の浮舟。几帳の左側には冊子を広げている侍女が描かれていますね。平安時代の物語は、読者自身が音読するか、他者の音読を聞くかの二つの享受方法がありましたが、この場面のようにあらかじめ描かれた〈絵〉を媒介とすることもありました。これは、異母妹に対する最高のもてなしといえます。几帳の右側の侍女たちも聞き耳を立てていますね。千年の昔から、女性たちは物語への憧れを抱き続けていました。文学は世界をどのように映し出そうとするのか。多様性が失われてきていると指摘される昨今の日本語表現。一方で、テンポのよさ、軽いノリから、会話がはずむということもあります。こうした「いま」の気分をそのまま映し出した表現手法は、たとえば村上春樹の『風の歌を聴け』にも見られます。右ページのBの写真は、Tシャツの描写にイラストを使うことで、軽く、ポップな表現を実現させています。江戸時代に挿絵が多用されていたように、視覚に訴える手法は昔から存在していました。こうした江戸時代と現代とのはざまで、言葉だけで世界を描き出すことにこだわり抜いた人もいました。言葉の力を信じた近代の作家たちが生み出した文学作品に触れると、思わぬ新鮮な世界が広がるかもしれません。古典文学64 プロフェッション