講演「絵本から生まれるコミュニケーション」開催しました

メルヘンハウスの三輪丈太郎さんをお招きしての講演会の様子をレポートします。(2017年10月19日 於 愛知淑徳大学長久手キャンパス 722教室)

1973年、日本で最初の「子どもの本専門店」としてスタートしたメルヘンハウス。お話はその歴史から始まり、読書運動の興隆から現在にいたるまでの出版・書店業界の歴史、そのなかで絵本の置かれている状況について、お店を訪れる人々のエピソードに垣間見る、絵本をめぐってのおとな-子ども間の超えがたいギャップ、「読み聞かせ」をすることの本当の意味……などなど、お話は多岐に渡り、皆さん食い入るように聴き入っていました。丈太郎さんのユーモラスで軽快なトークとともに、会場からは思わずクスクスと笑いが起こったり、懐かしい「はらぺこあおむし」や「ぐりとぐら」のお話に目を輝かせたり…講演の時間はあっという間に過ぎていきました。
後半はいよいよワークショップです。スギヤマカナヨさんの『ぼくのまちをつくろう』の最初の1ページだけを読み上げ、サッと本を閉じてしまう丈太郎さん。会場内は一瞬どよめきましたが、すぐさま「ぼくのおうち」だけが描かれた最初のページを頼りに、みんなで模造紙におうちを描き、そこから銘々の「まち」を描いていくことになりました。描かれたそれぞれの「まち」をみんなで眺めながら、「まち」に必要なものって何だろう、と思いを巡らせます。最後に先ほどの続きを読んでもらい、子どもの目線になる想像力、絵本がもたらす豊かなメッセージを体感したところで会は終了しました。講演会後も、丈太郎さんの元に銘々質問に押しかける学生たちの姿が見られました。講演を通じて、日々の創作や学修だけでなく、これから子育て世代になっていく皆さんの人生にも、あらたな視点が加わったのではないでしょうか。丈太郎さん、素敵な時間をありがとうございました!

<参加者アンケートより>
―講演会での貴重なお話ありがとうございました。とてもおもしろかったです。絵本についてのお話、今後の参考にしたいと思いました。ワークショップは思い思いに描くことができて楽しかったです。また近いうちにメルヘンハウスさんに訪れたいです。
―いやー、楽しかったです。普段行っているお店の面白さや店主さんの意外な一面が見られて楽しかったです。
―ワークショップで子どもたちがイオンを描くということに驚きました。思いの外ものをよく見ているのだなと感じましたが、同時に自分が年を重ねるごとに自分の思う「子ども」はより幼いものだと考えていることに気づき、興味深かったです。絵本についてたくさんの楽しい話が聞けて、参加して良かったと思います。
―メルヘンハウスで実際にあったお話、体験談がとても楽しかったです。自分が年をかさねるごとに、子どもの頃の感覚は忘れていって、どちらかというと大人の感覚になっていることに気づかされました。レビューをスマートフォンで見るお話にもドキリとしました。将来、絵本をかくことができたらと考えていますが、もっと絵本に触れていこうと思いました。小さい頃に読んでもらった絵本も読みなおしてみようと思います。ありがとうございました。
―とても面白い話が聞けて良かったです。メルヘンハウスには一度行ったことがあって、幼い頃に読んだ懐かしい本がたくさん置いてあり、楽しかったです。思い出してみると、帯がなく、立ち読みができたのを不思議に感じていました。理由をきいて納得しました。「大人ではなく子供に向けて」ということを念頭におきたいと思います。