報告
2013年09月28日
共同図書環事業5周年記念講演 芥川賞作家 諏訪哲史氏 講演会「変化の時代を生き抜くための読書」

本学メディアプロデュース学部 准教授・諏訪先生の言葉を通し、
「読書」が持つチカラについて共に考えました。
本学を含めた愛知県内の5大学でおこなっている、「共同図書環"Tosho Ring"」。平成20年度文部科学省大学連携支援事業「共同図書環(館)の新たな教養教育プログラムの開発」からスタートし、大学図書館の地域連携として今年度で5周年を迎えます。9月28日(土)には、読書のさらなる推進、図書館同士のさらなる交流を願い、共同図書環事業5周年記念講演会が開催されました。講演者は、メディアプロデュース学部 准教授・諏訪哲史先生。芥川賞作家でもあり、執筆活動のかたわら本学で教鞭を執っています。
講演会の会場となった名古屋外国語大学・名古屋学芸大学中央図書館には学生、大学院生、大学教職員が集まり、諏訪先生が口にする言葉の一つひとつにじっくりと耳を傾けていました。

今回のテーマは「変化の時代を生き抜くための読書」。諏訪先生は、ご自身の読書遍歴、恩師との出会い、作家デビューの経緯、文学や読書に対する考えなどを語り、ユーモアを交えて聞き手の笑顔を引き出しながら講演を進めました。
「僕は子どもの頃から読書が好きで、40歳になるまでに読んだ本は約1万冊。小学生のときは宮沢賢治の童話がお気に入りでした。惹かれたのは、ストーリーのおもしろさよりも、言葉の使い方。普通の人では書けない詩的な文章に衝撃を受け、"こんな言葉を本に書いてもいいんだ!"と幼いながらに文学的な希望を感じました」と作家になる原体験ともいえるエピソードを語りました。その上で投げかけたのが、「人はなぜ本を読むのだろう?」という問い。学生たちは自らの心の内に答えを探るように、諏訪先生の話に聞き入っていました。




キーワードとなったのは、「孤独者」。執筆も、読書も、自分の内面と向き合うような、ある意味「孤独」な行為です。しかし、だからこそ時間も空間も超越し、本の中に広がる世界を自由に楽しむことができます。
諏訪先生の執筆活動のスタンスは、「"孤独者"として、"自分の孤独"を偽りなく自分の言葉で書き出し、何十年先、何百年先の孤独者に届ける」こと。デビュー作であり、芥川賞の受賞作品となった『アサッテの人』を執筆した際は、1日に10人の作家の短編を日本・海外・日本・海外の順で10編読み、ロシア語、イタリア語、ドイツ語、スペイン語、ハングル、中国語、英語などの語学番組を視聴し、多様な"ことば"をアタマに入れて思考をシャッフルしたそうです。その結果、自分の内面から湧き上がる偽りのない言葉が引き出され、多くの人の心に届く作品が生まれたのでしょう。
非日常であり、あさっての方向に飛んでいくような言葉や文章、文学作品――その世界にふれ、普段は隠されている自分自身の心、自分が求める生き方を見出すために、人は読書をするのでしょうか。諏訪先生の講演会は、文学や言語、文化などを学ぶ学生たちにとって、示唆に富んだ濃密な時間となりました。












