観光で訪れたタイで貧困問題を実感。
海外でのボランティア活動に興味を持ったのは、旅先のタイで貧しい人々を見かけたことがきっかけです。汚れた服をまとい、路上をさまようように歩いている姿は、私たちの街では見かけない光景です。観光を楽しんでいた私とはあまりにも異なる状況に衝撃を受け、その後の旅はどこか後ろ髪を引かれる思いで続けることになりました。
帰国してからも心のどこかにわだかまりが残っており、私は東南アジアにおける貧困問題についてインターネットや図書館などで調べ始めました。そのときに大学のコミュニティ・コラボレーションセンター(CCC)で見つけたのが、今回参加した「ボランティア体験スタディ・ツアー」です。かつて戦争があったベトナムとカンボジアを訪問してボランティアを行うという内容は、私が調べていた貧困についても深く関わっているように思え、参加することを決めました。
戦禍の残る町で学んだ、支援活動の大変さと大切さ。
今回のツアーの魅力は、海外ボランティアはもちろんのこと、数十年も前に起きた戦争について学べるという点でした。イラクをはじめ、世界各地で内戦や紛争が起きている今、もっと過去の戦争についても学ぶ必要があると思っていた私には、またとないスタディ・ツアーでした。ベトナムでは、兵器として散布された枯葉剤による障害者や残った地雷で大怪我をする人など、今も戦争の後遺症に苦しむ人が大勢います。ベトナムの戦争証跡博物館を見学したときは、思わず目を覆いたくなるような恐ろしい展示物も多く、平和な日本に住む私にとってはショッキングなことばかりでした。また、ツアーを案内してくれた方から、私が生まれる前に起きた戦争の爪痕が、今もなお、人の心に深く根ざしていることを聞き、戦争の悲惨さを肌で感じることができました。
ベトナムではこのほかにも、枯葉剤の害を受けた子どもたちが過ごす病院も視察しました。子どもたちの惨状が報道されることで支援者も増えた時期もありましたが、援助が長続きするケースはあまりないそうです。1回限りのツアーで訪れた私はいたたまれない気持ちになり、ボランティアを続ける難しさと大切さについて改めて考えさせられました。
思いやりの積み重ねが明日へ。できることから始めよう。
カンボジアでは、戦争孤児や障害児、HIV感染児など、子どもたちの惨状を目の当たりにしました。茶色に淀んだゴミ山をあさり、お金に換えるための何か探している子どもたちに会いました。そんな子どもたちに「こんにちは」と声をかけると、淀んだ空気の向こうから満面の笑顔で駆け寄ってきてくれました。こんな過酷な状況でも、子どもたちはいきいきとその日を暮らしています。「この笑顔を失わせてはいけない」と強く思いました。
今の私にできることは限られています。ツアー期間中には、施設に慰問して子どもたちと遊んだりもしましたが、もっと他にできることはないだろうかと真剣に悩みました。考え抜いた末、私が決めたのは、まずは自分の身近にいる人を大切にしようということでした。一人ひとりが思いやりの心を持って人に接することで、自分も周りも今という時間を大切にいきることができる。
そんな努力の積み重ねが、いつかは大きくなって遠い国での悲しい出来事をなくすことにつながっていくのかもしれません。今回のツアーを通して視野が広がり一回り大きくなれた気がします。この体験を心に留めて精一杯、自分のできることを続けていきたいです。