学生チューター インタビュー

石原 彩香(いしはら あやか)さん

チューターとしての経験が職業選択につながりました

石原彩香さん

【現在の職業】
自動車学校 指導員/インストラクター

【経歴】
文学部国文学科2017年度卒業
チューター歴2年(3~4年次)

ライティングサポートデスク(以下WSD)で学生チューターを2年務めた石原彩香さん。現在は自動車学校の指導員として活躍中です。そんな石原さんに、WSDでの勤務経験が就職してからどのように活きているのかをお聞きしました。(聞き手:WSDスーパーバイザー 増地ひとみ)

自動車学校での指導員業務に活きているのは、WSDで身につけた「傾聴の姿勢」と文章読解スキル。

増地:第1志望の自動車学校へのご就職、おめでとうございます。現在の指導員の仕事に、WSDでチューターとして働いた経験はどんなふうに活きていますか?
石原:まず、生徒さんの話を聞く「傾聴の姿勢」が身についたことですね。運転の仕方をまだ知らない人に教えるわけですから、「その操作は違うよ」などと言いたくなることもあります。でも、その人なりの理由があってそういう操作をしているわけですよね。だから、まずは「なぜそうしたか」を聞くようにして、それを受け止めます。その上で、生徒さんの認識が間違っていたら「こちらのほうがこういう理由で効率的ですよ」と提案します。相手へのこうした働きかけ方は、WSDでチューターとして書き手にアプローチすることで身についたものだと思います。
増地:接客業に限らず、人と接する仕事はチューター業務と共通点が多そうですね。ほかに、今の仕事に役立っていることはありますか?
石原:教習の時は「この生徒さんにとって何が今いちばん必要なのか、より良くするにはどうすればよいか」をいつも考えていますが、こうした向き合い方もチューターとして働くことで学んだものです。あとは、社会人になってからも文章を書く機会は意外と多くありますが、私の場合は、文章を読む時にチューターの経験が役立ちました。
増地:読む時! どんなふうに?
石原:就職してすぐの研修の期間に、難しい文章をたくさん読まないといけなくて。例えば道路交通法の条文とかなんですけど、指導員になるための審査に合格するには、その勉強が必要なんです。自動車の内部構造や、仮免許で道路を走るために必要なこと、教習をするための設備、指導員に必要な資格など、全部法律に基づいて決まっていますから。そのほかにも学科とか技能の教科書もあって、難しいものばかり。特に法律の文章は一文が長いし、本当に難しくてややこしいんです。
それで、4か月くらい勉強漬けでした。法律の分厚い本はポケット版を持ち歩いて、学科や技能の教科書も線を引っ張ってボロボロになるまで勉強して、という毎日だった。その時に、その長くて難しい文章を、「主語と述語はどこ?」と考えて、切って切って分解して、「どういうことだ?」と読み解いている自分がいました。あとは、指示語に着目します。法律では結構出てきて、「その」とか「そのような」がすごく前のことを指していたりするんですよ。そういう時に、文章を全部分解して、全体像を把握して読んだりしましたね。こういう読み方は、持ち込まれた文章をその場でパッと読まなければならないチューターの仕事で身についたものだと思います。

楽しかったWSD業務。多様な人たちとの関わりを通して成長できた。

増地:日ごろから法律に触れるような職種だと思っていなかったので、驚きました。日々勉強という感じなんですね。仕事をしていると、難しいと感じることに出くわすことも多いですよね。WSDのチューター時代、働く環境についてはどうでしたか?
石原:WSDは、立場の異なる人たちが一緒に働く職場ですよね。利用者や他学部・他学年のチューター、院生チューター、先生や事務スタッフの方など、本当に様々な人たちとの関わりがあります。「こういう考え方もあるのか!」と発見があってとても楽しかったです。サークルなどとはひと味もふた味も異なる、すごく面白い場所だと思いますね。学年が違っても、例えば「1年目チューター」ということで同じ立場で働けましたし。先輩・後輩というよりも、同志というか…。何かあったら相談して、「ここ、どうしよう?」と話し合ったり、アイデアを出したり。「ほう・れん・そう(報告・連絡・相談)」の重要性も学びました。
増地:同志ですか。素敵ですね。石原さんから見て、WSDで学部生がチューターを務めることの良さとは何だと思いますか?
石原:たくさんありますけど、まずチューターにとっては、所属学部を飛び越えたコミュニティができる、居場所ができるという点でしょうか。利用者にとっては、チューターは先輩なので、先生よりも気軽に何でも聞けそう。私は、WSDで働く前は「チューターの仕事は、自分にはハードルが高そう」と思っていたんです。チューターは先生みたいなことをやっているすごい人で、自分には無理だと。でも、「やっちゃえ!」と思って飛び込んで、本当に良かったと思っています。私の場合、受付や相談業務を通して「人との関わりが楽しい」と思えるようになったのがWSDで、その思いもあって人と直接関われる業種を選んだくらいですから。

WSDスーパーバイザーの外山敦子先生と。石原さんがWSDに応募したきっかけは、外山先生に声をかけられたことだったそうです。

増地:そういう卒業生の声を聞くと、私たちもうれしいです。では最後に、これからWSDチューターになっていく後輩に向けてメッセージをお願いします。
石原:実は私もそうだったんですが、もし自分に務まるのか自信がなくて躊躇しているなら、そんなことは気にせずに絶対応募した方がいいです!思いもしなかった楽しさがたくさんあります。人によって得るものは違うと思いますが、私の場合は書く・読む能力、相手の人の意見や考えをしっかり聞いて受け止める姿勢が身について、就職してからも活かせています。やってみないと始まらないですよ。
増地:石原さんらしいエールをありがとうございます。今後のご活躍をお祈りしています。

(2018年10月)