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式辞

平成30年度 卒業式祝辞

 ご卒業おめでとうございます。
 心よりのお祝いを申し上げます。
 花々が美しく咲き始めたこの佳き季節に、お送りできること、何よりと存じます。

 愛知淑徳大学を卒業された今、大学の理念「違いを共に生きる」を学んでいただけたでしょうか。
 「違いを共に生きる」とは、別の言い方をすれば、「調和のとれたモザイク模様を形成すること」と言えましょう。
 「様々な色や形をした一片一片が集まっていても、それぞれの一片がかけがいのない役割を果たし、全体として美しいモザイク模様を作り上げている」。それが「違いを共に生きる」ことだと思います。

 皆さんも愛知淑徳で学んだことをもとに、大きいの、小さいの、華やかな色、いぶし銀の色、どの一片であれ、自分らしい色や形で輝き、社会での役割を果たしていって下さい。
 平成の時代が終わろうとしています。
 平成は「地平らかにして天成る」すなわち「万物が栄え、世の中が平穏なこと。天災などに見舞われることなく自然が穏やかなこと」を願い、名づけられました。しかし、平成には歴史に残る大きな天災が2つありました。阪神大震災と東日本大震災です。
 古来、日本はさまざまの災害に見舞われてきましたが、力強く立ち直って来ました。徳川時代の江戸の町は、何度も大火に見舞われ大きな被害を受けましましたが、その都度立ち直り、改善を加え再建をし、当時の世界最大の都市へと成長しました。
 平成の2つの災害から、何かが生まれたのでしょうか。
 阪神大震災は「ボランティア元年」と言われます。それまでのボランティアは「一部の人の自己犠牲的な行為」のイメージでしたが、阪神大震災での惨状を知った若者たちが「何か手助けをしたい」との想いだけから全国から集まり、瓦礫撤去や、炊き出しなどの活動をしました。痛ましい被災地の姿と、そこで懸命にボランティアをしている若者の姿を映すテレビ画面に、深い悲しみと共に希望を感じた記憶があります。
 ボランティアは阪神大震災の後、様々な形となって広まり、定着していきました。それが、本学でのコミュニティコラボレーションセンターの活動にも繋がっています。

 東日本大震災では、ボランティアをコオーディネイトしたり、コミュニティ支援をしたりするNPOの活躍がきわだっていました。

 様々のNPOの様々な活動は今も続いていますが、その一つを紹介します。

 「桜の木を植え、毎年咲く桜を見て、失われた命と、大切な人のことを考えよう」と、津波の到達ラインに桜を植樹していく「桜ライン三一一」の活動です。

 大津波があった8年前から、毎年、寄贈された桜の苗木が、ボランティアの手で植えられていき、昨年三月末で一四〇〇本以上になりました。が、それは全体の八パーセントにすぎないとのこと。

 「桜ライン三一一」の地道な活動が毎年続いていき、何十年か先には、見事な桜並木に花が咲き、被災者のそれぞれの想いが伝えられていることを祈りたいと存じます。

 平成の時代が間もなく終わります。一つの終わりは一つの始まり。新しい時代になっても、様々なことがおこりましょう。皆さんは、希望を抱き、それぞれが、自分らしい輝きで、新しい時代を支えて行かれることを、心より願っています。

 人は様々の出会いと別れを繰り返していきます。皆さんは、縁あって、愛知淑徳と出会い、多くの友人、先生、学問と出会いました。そして、新たな出会いを求め社会へと羽ばたいていかれます。

 大学歌の一節のごとく「天の深みへ夢掲げて」旅立ってください。

 皆さんの洋々たる未来を祝福します。
 おめでとうございます。

 平成31年3月20日

愛知淑徳学園理事長 小林 素文