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式辞

令和3年度(2021年度) 卒業生の皆さんへ(祝辞)

 ご卒業おめでとうございます。
 本学での月日はいかがだったでしょうか。
 本学の理念「違いを共に生きる」をいくばくなりとも学んでいただけたでしょうか、「違いを共に生きる」とは別の言い方をすれば「調和のとれたモザイク模様を形成すること」とも言えましょう。
 様々な色や形をした一片一片が集まっていても、それぞれの一片がかけがいのない役割を果たし、全体として美しいモザイク模様を作り上げている、それが「違いを共に生きる」ことだと思います。
 皆さんも、本学で学んだことをもとに、大きいの、小さいの、華やかな色、いぶし銀の色、どの一片であれ、自分らしい色や形で、社会での役割を果たしていって下さい。

 閉園の危機にあった旭山動物園を見事に再生させた元園長の小菅正夫さんの話をいたします。
 小菅さんは、それぞれの動物に備わる個性を、来場者に見てもらえるような工夫をしました。
 陸ではよちよち歩きでも泳ぎが得意なペンギンが水中トンネルで空を飛んだり、握力の強いオラウータンが空中散歩をしたり、好奇心の強いアザラシが至近距離で人間と対面をしたりなど、それぞれの特性があらわれた動物たちの生き生きとした行動が、見るものに感動を与え、動物園は見事に再生しました。
 小菅さんはこうした素晴らしい動物たちが今危機にあると訴えています。
 「木材の伐採により、棲む場所が減っていくオラウータン」「温暖化によりその数を減らしているアザラシ」「南極に流れてくる水質汚染に苦しんでいるペンギン」
 小菅さんは「この世の生きとし生けるものは、地球に命が誕生した40億年前から命を引き継ぎ、今生きている。その大切な命を人間の都合で絶滅させてはならない」と訴えているのです。
 どうぞ皆さんも、人間同士の「違いを共に生きる」だけでなく、生物、動物、全ての命と「共に生きる」視点も大切にしていただきたいと存じます。

 皆さんもまた、はるか太古から連綿と引き継がれてきた二つの命が不思議な御縁で出会い、誕生しました。自分の力だけでは育つことができない皆さんは、大切に育まれ、歩き出し、しゃべりだし、幼稚園、小学校、中学校、高等学校、そして大学と、多くの人に支えられ、いま社会へと巣立っていこうとしています。
 皆さんお一人お一人がかけがえのない大切な命であることを自覚し、育み支えてくれた人たちへの恩を忘れずに、これからは支える側になるのだとの決意をもって、大きく羽ばたいていってください。
 「卒業という美しき別れかな」
 皆さんの洋々たる未来を祝福します。

愛知淑徳学園 理事長 小林素文