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地域連携シンポジウム」にて、大学の地域貢献へ提言

 文部科学省が推進する戦略的大学連携支援事業の一環として、「地域連携シンポジウム」が、平成22年6月28日(月)午後1時30分から愛知県立大学 学術文化交流センター講堂にて開催されました。
 シンポジストとして本学 小林素文学長、愛知県立大学 佐々木雄太学長、愛知県立芸術大学 磯見輝夫学長、名古屋外国語大学 水谷修学長、名古屋学芸大学 井形昭弘学長、ゲストスピーカーとして萩野幸三 日進市長、加藤梅雄 長久手町長、コーディネーターとして中日新聞 志村清一編集局長が出席し、「大学は地域にどのように貢献を進めるのか」というテーマのもと熱心に意見を交わしました。

 第一部は、各大学学長より地域連携の実績とこれからの展望に関する発表がおこなわれました。
 その中で本学 小林学長は、本学の理念「違いを共に生きる」を実現するために「地域に根ざし、世界に開く」という姿勢で地域交流、地域連携に努めていることを語りました。エクステンションセンターや臨床機関などによる地域貢献や、コミュニティ・コラボレーションセンター(CCC)を通して学生が自らおこなう地域・市民活動の紹介を交えながら、「自主的な活動では、実に学生たちはいきいきと行動する。その姿勢、発言、その笑顔がまわりの人々に元気を与えていく。そんな姿を見て、私はとてもうれしく誇りに思っています」と地域で力を発揮する学生たちを讃えました。そして小林学長は今後の展望として、各大学や行政がそれぞれの強みを活かして連携し、地域のさまざまな現場をあらゆる面から支援する「トータルサポート」の必要性を述べました。

  こうした発言を踏まえ、第二部のシンポジウム「大学はいかに地域に貢献していくか」において、本学 小林学長は次のような3つの提言をなされました。

1.大学には「教員」「研究成果」「学生」の3つの要素があります。それぞれが必要に応じて地域に出かけ、地域の力になるということが、地域貢献においては最も重要ではないでしょうか。地域のさまざまな現場に対して、教員も研究成果もかかわり、学生もボランティアとしてかかわる、そんなトータルサポートシステムが必要になると思います。大学それぞれの専門性、学生一人ひとりが持つ資質を活かし合っておこなう企画を、今日集まった大学や行政の間でつくっていくことができたらと願っております。

2.「社会で役に立ちたい」という気持ちを、年齢や収入に関係なく誰もが持っていると思います。その根底にあるのが、「ボランティア」という最近のキーワードです。その広がりのきっかけは阪神淡路大震災でのボランティアの活躍でしょう。愛知万博でもさまざまな人がボランティアとして活躍していたのを記憶しています。  今後、地域連携を進めていく上でも学生だけではなく、定年退職した方など地域のさまざまな人が力を発揮するチャンスが増えると思います。そのとき、参加する人の意識をひとつにまとめる、核となるキーワードや企画が必要でしょう。  学生も含めて地域のみなさんが自由に集まることができる活動やイベントが日進市や長久手でおこなわれ、全世界にメッセージを発信していくことができたらと、夢を描いています。

3.何かをしたいけれど、何をしたらいいかわからないという、「自分探し」をしている学生は非常に多いと感じています。今の学生はやる気がないと言う人もいるでしょうけれど、私はそう思いません。こうした学生は、現場で活動し、成果を少しでも残して「自分が役に立った」という手応えを感じることができれば、次へ進んでいく。私はそう思います。本学では、CCCがそのきっかけをつくる場所であり、また、学生にとって自分の「居場所探し」をする場所になっていると思います。
 地域貢献を進めていくとき、学生のこうしたエネルギーを上手に活かすことが大事だと思います。その成功事例として、学生企画のイベント「にっぽんど真ん中祭り」が挙げられるでしょう。こうした大きなお祭りをつくるエネルギーを、学生は持っています。
 長久手町には稲田が数多くあり、本学の学生も稲作に関する活動をしています。そこで、たとえば長久手町が中心になって稲作の活動やイベントを立ち上げ、環境に配慮した稲作を研究し、実践していくなど、身近なところから、できることから、大学と行政の連携を始めたらいいと思います。地域のみなさんがいきいきと活動することによって、「元気のまち」が生まれることを期待しております。

 シンポジウムでは他大学学長も、それぞれの大学や行政が協力しておこなう活動の必要性を述べ、今回のような話し合いの場を設けることが地域連携の第一歩となると熱く語りました。また、会場には各大学の地域での活動をまとめたパネルが展示してあり、シンポジウム終了後、観覧に来ていた学生が活動内容を紹介しながら地域貢献について他大学の学生と真剣に語り合う姿も見られました。
 今回のシンポジウムは、日進市・長久手町にある5大学と行政が情報を発信し、思いを伝え、互いに理解を深め合う貴重な機会となりました。ここから、地域のさらなる発展に向けた取り組みを生み出す、より強固な連携体制が築かれていくでしょう。