随想

万緑の季節(平成18年度 『大学だより』より)

学長 小林 素文

 今年は例年になく寒い春。皆さんをお迎えした入学式は桜のつぼみの中でした。やがて桜も満開となり、みずみずしい新緑となり、連休を過ぎた今は、生命の力あふれる万緑の季節となりました。

「万緑の中や吾子の歯生え初むる」(中村草田男)

 新入生の皆さんは、エンカウンターキャンプ、履修登録、大教室での講義など、初めてづくしの大学生活にも大分慣れてきたことと思います。これから、光満つる夏へと向かっていきます。実りある大学生活を送っていっていただきたいと存じます。

「その子二十櫛にながるる黒髪の
 おごりの春の美しきかな」
(与謝野晶子)
「夏はきぬ相模の海の南風に
 わか瞳燃ゆわが心燃ゆ」
(吉井勇)

 大学時代は皆さんの人生の中で、最も活力が満ちあふれる季節です。そして、つかの間に過ぎゆき、もどることのない季節です。大切に、しかし思いきった大学生活を送ってください。