追究

2023年02月07日

創造表現学会主催 天真みちるさん講演会

創造表現学会主催 天真みちるさん講演会

2022年11月29日(火)長久手キャンパス3号館333教室

宝塚歌劇団時代、おじさん役を究めて注目された
天真みちるさんをお招きし、
ご自身の「個性」的な生き方について話していただきました。

 創造表現学会では、学生が自ら企画した講演会やワークショップを学生自身の手で実現していきます。今回の講演会も、創造表現学部の学生が、クリエイティブな活動において欠かせない自らの「個性」をどのように見出し、活かしたらよいかということを考えるために企画し、実現に漕ぎつけました。

創造表現学会主催 天真みちるさん講演会

創造表現学会主催 天真みちるさん講演会

 講演は、学生が質問をし、それに回答する形式で進められました。宝塚時代、どんなタカラジェンヌになりたかったか?宝塚に入る前と後のギャップは?など学生目線での質問が続いていきます。その中で印象的だったのは「おじさん役に進もうと思ったのはなぜ?」という質問。それに対し、天真さんは「宝塚に入ったら、みんなスターを目指すと思います。でも、宝塚は全国から集まったエリート集団。何もしなければ埋もれていくばかりです。その中で、私は入団当初、待ってばかりいました。当然、出番は回ってこない。それでこのままではダメだと思い、活躍できるいちばんの近道を探しました。それがおじさん役でした。コメディエンヌとして有名な悠真倫さんの路線をたどれば、もっと上に行けるのでは?と考え、それからというもの、アドリブで笑いを取ることに徹しました。リハーサルでネタを試して、ウケが良ければ本番で使う。そんなことをしているうちに、だんだん目立つようになってきて、演出家の方にも名前を憶えられるようになっていきました」と話されました。「おじさん役をする上でのこだわりは?」という質問には「おじさん役は目立ちますが、あくまでも脇役に徹することです。そしてタカラジェンヌとして清潔感を大切に、決して下品になってはいけないと考えていました」と、単におじさんを演じるのではなく、宝塚においてのおじさんはどうあるべきかをしっかりと考え、演じていたことを教えてくださいました。
 また、こんな質問もありました。「就職活動のとき、面接などで個性について聞かれることが多くあります。個性はどのように見つければいいのか?」。それに対し、天真さんは「個性は自分の好き嫌いが集まったもの。自分は楽しいと思うことでも、友だちは全然楽しそうじゃないという経験、ありますよね? その反対もしかり。自分と他人のズレを憶えておくこと。自分がやりたくないこと、できないことを大切にしてください。それが個性を見つけることにつながっていると思います」と答えてくださいました。

創造表現学会主催 天真みちるさん講演会

創造表現学会主催 天真みちるさん講演会

 講演会の後は参加者からの質問に答える時間。「愛知淑徳大学は『違いを共に生きる』を理念に掲げていますが、違いを生きる社会とは何だと思いますか?」には「違いとは個性のこと。自分と違うからといって排除したり、ネガティブに捉えたりしないことが大事だと思う。たとえば、自分は何でも自由にできるのに、友だちは自由にしてもいいと言われてもできない場合。何でできないの? と否定的に見るのではなく、自由にできないのなら、決められたことをきっちりできる人なのかもしれない、と考えてみる。違いを楽しみ、おもしろいと思うことができればいいと思う」と回答。その他にも「TV番組出演時のタンバリン芸は初めから決まっていたのか?」、「宝塚の各組の個性や魅力は?」、「演者から脚本を書く立場にシフトしたのはなぜ?」など、多くの質問が寄せられました。
 宝塚で活躍するスターたちはみな美しく、スタイリッシュです。しかし、天真さんはその中で自分の個性をしっかりと見極め、そこで活躍するためにはどうすればいいのかを戦略的に考えることで「おじさん」役に活路を見出し、強い存在感を示してきました。そんな彼女らしい生き方に、多くの人は共感するのでしょう。「真ん中に立たなくても、注目は浴びられる」。まっすぐなまなざしで語られた言葉は、多くの人の心に残ったはずです。