卒業プロジェクト 最終講評会

学内展より選抜された卒業プロジェクト作品の最終講評会を行いました。

今年度は、論文8編、設計制作14作品の発表を行い、設計制作審査については、設計演習を担当の非常勤の先生方にも参加していただきました。昨年度より審査員の総数もぐっと増え、最後は白熱した審査が行われました。当日の様子を少しリポートしたいと思います。

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1人の学生に与えられた発表時間は5分。この5分の中で各自のプロジェクトをA1パネルシート、スライド、設計制作作品は模型などを用いてプレゼンテーションします。緊張で上手く話せない学生もちらほら。序章が長過ぎて肝心の設計の部分にあまり触れずに終わる学生もちらほら。これではダメだと途中で先生方から檄が飛びます。

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非常勤の先生方からも鋭い質問や指摘が飛びます。元気よく勢いで答える学生もいる中、言葉に詰まる学生や、質問の意図を理解できずに応答が食い違う歯がゆい場面が多々見られました。発表後わずか5分の質疑応答ではとても時間が足りず、全員の発表が終了したのち、急ごしらえでポスターセッションの時間を設けました。

 

その後、審査員の先生方は投票を行い、集計作業中に総評を頂きました。先生方の言葉はどれも貴重なご意見で、「学外で戦えるレベルを追う」という言葉はこれから卒業プロジェクトを控える下級生への応援ともとれました。卒業制作は、一生のうちで一度しか巡ってきません。自由にプロジェクトを設定でき、架空の施主や架空のお金を使う作業です。しかしながらどれもリアリティがなくては成立しません。何のためにつくるのか。そこにどのような意義を見出したのか。甘い組み立ては設計プロセスの崩壊を招きます。論文も不十分な考察に留まってしまいます。

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さて、白熱したのはここからでした。論文のUAD賞(最優秀賞)、優秀賞2名、設計制作のUAD賞(最優秀賞)、優秀賞1名は総票をもとに決定し、最後の設計制作優秀賞1枠は決選投票となりました。そして、決選投票の1回目。ここでも票が割れ、イーブンとなります。

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協議した結果、各作品を推す先生方の応援演説と、本人の最後のプレゼンテーションにて決定しようという運びとなりました。

 

「空中回廊」を推す渡辺先生。決め手のひとつは「元気の良さ」

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「わじゅうがっこう」を推す吉村先生。「どちらも未熟だが、『わじゅうがっこう』の方が設計しようとしている。」DSC_0121 2のコピー

 

「わじゅうがっこう」を推す水谷先生。その意見に対して反論する河辺先生。DSC_0128 2のコピー

 

「空中回廊」の間宮ゼミ山田君。最後のプレゼンテーションも堂々と。DSC_0134 2のコピー

 

「わじゅうがっこう」の清水ゼミ坂口さん。万感の思いを込めてのプレゼンテーション。DSC_0142のコピー

 

そして、2回目の決選投票の結果、「わじゅうがっこう」が優秀賞に選出されました。

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最後は受賞者のスピーチを行い、最終講評会は無事終了しました。午後1時から始まって終了したのが午後8時半。約7時間の長丁場でした。学生はこの後、2月21日(火)から名古屋市民ギャラリー栄にて「2017卒業プロジェクト 学外展」を控えており、そこへ向けて更なるブラッシュアップを行います。よろしければぜひ足をお運びください。今年度は「第一回 学外展賞」の開催を展覧会初日に控えています。記念すべき第一回目の審査員は建築家の西田司氏です。当日は記念講演会としてミニレクチャーも開催します。

※学外展賞とは:学内審査とは別の評価軸を用いた優秀作品の選定を目的として、本年度より新たに設立されました。第一線で活躍する建築家・デザイナーを招聘し、優秀作品を表彰します。

 

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最後に、本年度のUAD賞をご紹介します。

 

設計制作UAD賞:『おくりがま』瀬口ゼミ 瀧下まり 作陶の地域である市之倉で放置された空き家と窯元の問題をからめ、「家おくり」という新たな解体システムを提案した作品。

 

論文UAD賞:『ミースとレーモンド・ローウィにおける「less is more」概念についての研究』瀬口ゼミ 高橋和佳子 「less is more」をデザインに用いた3者(ミース・ファン・デル・ローエ、レーモンド・ローウィ、ディック・ブルーナ)3様の「less is more」概念について研究した論文。3者のデザインからlessとmoreの共通点や相違点を考察した。