空間設計Ⅳ|最終講評会

3年生後期の設計演習である「空間設計Ⅳ」の最終講評会を行いました。
この日のためにゲストクリティークとしてお越し頂いたのは、建築家の小堀哲夫氏。
いつもと違う少し緊張した様子が学生から伺えます。

まずは第2課題「ヒューマンスケールで人の居場所を考える」の講評からスタート。
名古屋市の中心部にある久屋大通公園に身体的な尺度で空間を計画します。
人間の基本的行為と空間の関係性をどこまで読み込むことができたのか。

様々な提案が3分間のプレゼンテーションに凝縮されます。

 

 

自身の作品に対し、読み込み不足がみられると受け手側の理解も深まりません。
作者本人のリアリティの欠落。
『人の居場所』とは、何か。どう居るのか。どう気持ちがよいのか。
先生方からの講評の言葉が刺さります。

 

そして休む暇もそこそこに、第1課題「都心の文化交流施設」の講評会に移ります。
名古屋市中心部の栄に美術館と図書館からなる文化交流施設を設計する課題。

講評会では、1/300模型に加えて任意スケールの拡大模型でプレゼンテーションを行います。
出番を待つ大きな模型たち。学生の講評会にかける熱量を感じます。

この第1課題は、12月に1度講評会を行っています。学生はそれ以降作品のブラッシュアップを行い、場合によっては変更を加え、本日の最終講評会に臨みます。12月の講評会から表現の幅が広がったペアや、

12月の講評会の際には作り込めなかった拡大模型が新たに登場し、より案の魅力が伝わるプレゼンテーションに変貌を遂げていたペアも。大きな模型は、やはり空間の魅力をダイレクトに伝えてくれるツールです。見る者はみな純粋にワクワクします。

 

そして講評会終了後、ゲストクリティークの小堀氏より、第1課題、第2課題の優秀作品賞の発表が行われました。

|第1課題|

課題の意図を組み一歩踏み込んだ提案であったこと、またとても魅力的な作品に仕上がっていた前田・宮田ペアの「人と居場所と自転車と」が選ばれました。

 

|第2課題|

こちらについては作者本人達が一番驚く結果に。まさか選ばれると思っていなかったという通称”ピラミッド案”の加藤・坂井・田村トリオが選ばれました。可能性をとても感じた良作。

 

そして受賞者には小堀氏から推薦図書の贈呈が。「建築はほほえむ」「東方への旅」
小堀氏の大切にしている視点がたくさん詰め込まれた2冊です。うれしいうれしい受賞となりました。

受賞者として選ばれた2作品以外にも力作が多く、ひとりひとり案を突き詰めて考え抜き、時間と熱量を注いだ成果は各作品に表れていました。だからこそ、多くの議論がもたらされます。この熱を帯びた時間と、頂いた言葉を振り返りながら自らにインプットし、次のステップへつなげていきましょう。

 

講評会後には、小堀氏のレクチャーを開催しました。
学生時代のことや、フランス、イタリアでの印象的な体験、ROKI Global Innovation Center -ROGIC-やNICCA INNOVATION CENTERの設計から現場でのお話、環境についてなど、大変貴重な講演を行って頂きました。
講演会を聴講することは、建築家の思考に触れ、学び、自らにインプットする行為です。そしてその後自らの思考や作品にアウトプットする。このループがとても大切になってきます。学生にとって講評会から講演会までとても多くの事柄をインプットできた1日となりました。
長時間お付き合い頂いた小堀さん、誠にありがとうございました。