追究

2023年12月14日

交流文化学部ランゲージ専攻講演会 「韓流ハングルの根、世界記録遺産『訓民正音解例本』」

2023年10月19日(木)星が丘キャンパス講堂

ハングル歴史の専門家を講師としてお招きした講演会
韓国語の歴史や発音を楽しみながら学ぶことができました。

 交流文化学部では、「国籍や文化を超え、さまざまな価値観を認め合う、多文化の共生に貢献できる人材を育てる」ための学びを提供しています。なかでもランゲージ専攻では英語、中国語、韓国・朝鮮語、日本語教育のスキルアップにつながる専攻プログラムを用意。海外研修などの実践的な学びを通して、現場で活躍できる人材育成を目指しています。

 2023年10月19日(木)、ランゲージ専攻の韓国・朝鮮語に特化したコリアン・エクスパート主催の講演会「韓流ハングルの根、世界記録遺産『訓民正音解例本』」が、星が丘キャンパスで開催されました。講師を務めたキム・スロン氏は、訓民正音楽博士、国語教育学博士、文学博士・ハングル歴史博士として活躍されているハングル博士です。韓国語の書き言葉であるハングル文字の解説書『訓民正音解例本』を軸に、ハングルの編纂・頒布の歴史や正しい発音などについてご講演いただきました。一般の方にも公開された今回の講演は、多くの学生や地域の方が参加し、ハングルの成り立ちや発音方法などについて知識を深めました。

 キム氏は最初に、「文化相対主義の観点から、世界の全ての言語と文字は偉大な歴史を持って優劣を決めることができない非常に大切な価値を持つもの。今回の講演では、文字体系としてのハングルの科学性や合理性などが強調されすぎる感が否めないが、それは決して民族主義的な偏向性からの誇張でないハングルが持つ普遍的価値を説くものとして正しい理解を深めていただきたい」と語り、内容をわかりやすく図にしたものをスクリーンに映し出しながら、1997年に世界記録遺産に登録された『訓民正音解例本』の内容、歴史、価値の全貌が解説されました。

 ハングルは李氏朝鮮の第4代国王・世宗大王によって、1443年に制定され「訓民正音:民を教える正しい音」と命名。それから3年後の頒布にあたり、ハングル習得のための指南書として『訓民正音解例本』は刊行されましたが、当時は貴族階層が持つ漢文の権力を脅かす書籍とみなされ、ハングルは主流文字と認められなかったという歴史をお話しされました。そのほか、ハングルや世宗大王に関するクイズ、歌、ダンスを紹介していただき、学生たちは楽しみながら韓国語の発音や歴史を学びました。

 1479年に朝鮮通信使の従事官として来日したキム・フンの直系のご子孫にあたるキム氏。朝鮮通信使は日本と朝鮮、両国の平和と文化交流に大きな役割を果たしてきたという歴史を踏まえ、「私も先祖のように日本と韓国の平和の架け橋になりたい」と語られました。最後に今回の講演会に参加した学生は「韓国語を勉強する前の初心を思い出しました」とコメント。ハングルの成り立ちの背景や当時の思想を学んだことで、韓国語の学習意欲がさらに高まったようです。

 キム氏の講義を通じて、聴講者は楽しくハングルの歴史や発音について学べたことでしょう。交流文化学部は異文化理解を深める場を提供し、学生が多様性やグローバルな考え方を身につけるためのサポートを続けていきます。