追究

2024年02月06日

福祉貢献学部学術講演会「これからの子どもとは-社会における子どもの役割-」

2023年11月27日(月)長久手キャンパス 512教室

幼児教育の第一人者による講演会が開催。
適切な子どもへの接し方や子どもたちの権利について学びました。

 2023年11月27日(月)、4年ぶりに福祉貢献学部学術講演会が開催されました。今回は子どもの権利や持続可能性のための教育について研究されているイングリッド・エングダール先生をお招きし、スウェーデンの教育や子どもの参画に関する事例についてお話しいただきました。

 まず、子どもについて「生まれた時から能動的な存在である」とし、「周囲や環境に影響を及ぼし合いながら、常に遊び、学んでいる」と説明。特に乳幼児はその傾向が強く、1~2歳の時点で「他人に同調する能力」「他人の視点を取り入れる能力」「順番を交代する能力」「交渉する能力」などを、遊びの中で身につけているといいます。このような子どもと関わる大人に対して、「1~2歳児の子が日常生活に与える影響を肯定的に捉え、子どもたちの非言語コミュニケーションをしっかりと受け取るべき」と語られました。

 子どもの権利については、世界中の幼児教育や子どもに関する権利条約について解説。「子どもたちの意見にしっかりと耳を傾ける必要がある」と主張し、子どもたちの考えや主体性を尊重することの重要性を説かれています。
 スウェーデンでは就学前の子どもたちの教育にも注力しており、教育の質の高さは国際的にも認められています。エングダール先生は就学前学校の目標として「子どもたちが自分の考えや意見を表現し、民主主義原則を理解した上で、自分の行動に責任を持つ能力を養うこと」を掲げており、そのためには「遊び」が重要になるといいます。遊びは教育の中心的役割を担っており、遊びと学びを両立できる環境が必要です。就学前学校における教師たちの役割は、子どもたちの遊びを妨げることなく、新たな遊びやコミュニケ―ションを提案することだと主張されました。

 質疑応答では、この貴重な機会を逃さまいと聴講者から多くの質問が寄せられました。「子ども視点の教育のために気を付けていることはあるか」という質問には、「教師が子どもの世界に興味を示し、子どもの言動を教師間で共有することが大切です」と、子どもの行動に意識を向けることの重要性を語られました。

 教育先進国・スウェーデンにおける子どもへの向き合い方や教育方法を学べた今回の講演会。子どもたちの考えや遊びを尊重する姿勢は、福祉に携わる学生に新しい視点をもたらしたのではないでしょうか。本学は今後も福祉や教育に関する先進的な情報を学生たちに提供し、多角的な視点で社会を見ることができる人材を育成していきます。