追究

2024年02月02日

心理学部学術講演会 青年期における「キャラ」を介した友人関係

2023年12月1日(金)長久手キャンパス 741教室

友人関係における「キャラ」に関する講演を実施。
学生が、他人から見た自分と本来の自分を見つめ直すきっかけとなりました。

 心理学部では人の心や行動を論理的に分析し、人が抱える問題をさまざまな角度から見つめて解決につなげられる人材育成に注力しています。人間の行動や感情、関係性に関する学びは実社会で役立つことが多く、社会人に求められている論理的思考力やコミュニケーション能力、課題解決力などを身につけられるのが魅力といえます。

 2023年12月1日(金)、心理学会が主催する講演会が開催。椙山女学園大学で発達心理学と臨床心理学を専門としている村井史香先生を講師としてお招きし、「青年期におけるキャラを介した友人関係」をテーマに、ご自身の研究についてお話しいただきました。

 キャラとは「キャラクター」の略語で、元々は若者言葉として使われていましたが、現在ではどの年代にも定着していることばです。キャラの定義は研究者によって様々なようですが、「集団内での役割」かつ「自分らしさ」であることが特徴的です。キャラ付けされるメリットとして、「円滑なコミュニケーション」や「存在感の獲得」を挙げられました。一方で「固定観念の形成」や「いじめへの発展」といった問題が生じる可能性もあり、キャラ付けされることが必ずしも良いとは限らないといいます。

 村井先生の調査によると小学校高学年くらいからキャラを意識するようになり、約半数が「自分にキャラがある」と回答。特に中学校や高校の入学など、新たな人間関係が構築されるタイミングでキャラを持つ人が増加する傾向にあることがわかりました。
 キャラは「他の人に好かれたい」などの賞賛獲得欲求の高まりで生まれやすいとされていますが、「キャラ疲れ」を起こしている人も多いと語られています。キャラ疲れは「本当の私とは違う」「だれも私を分かってくれない」など、本来の自分とのギャップで生じるようで、本来の自分を表に出せないことが大きなストレスにつながっています。

 リスクが見られるキャラづくりですが、村井先生は「キャラを作ることは、積極的に友人関係を築こうとする気持ちの表れであり、うまく活用できればメリットも大きいため、必ずしも悪ではないと思います。また、キャラによる問題が生じた場合も、一方的に大人が介入するだけではなく、子どもたち自身にも考えてもらうのが大切だと考えています」と主張。キャラづくりは、人間関係に適応するための戦略でもあるため、ストレスを感じても、なかなかキャラをやめられないということも理解しておく必要があると語られて、本公演を締めくくりました。

 学生たちのなかにもキャラをつくることで友人関係を構築したり、反対に本来との自分とのギャップに生きづらさを感じたりしている人もいるかもしれません。しかし、この講演会を通して、自分や友人のキャラについて改めて意識を向けるようになり、“自分らしさ”を見つめ直すきっかけになったのではないでしょうか。