追究

2024年02月13日

創造表現学部 講演会 「作家を目指す君たちへ~作家になるってどういうコト~」

2023年12月21日(金) 長久手キャンパス122教室

芥川賞作家・藤沢周さんを招いて、
作家をめざす学生へご講演いただきました。

 創造表現学部では、制作表現の幅を広げるため、第一線で活躍する表現者を招いて講演会を開催しています。2023年12月21日(金)には、芥川賞作家の藤沢周さんをお招きし、「作家を目指す君たちへ~作家になるってどういうコト~」をテーマにご講演いただきました。

 藤沢周さんは、1993年に『ゾーンを左に曲がれ』で作家デビューし、1998年『ブエノスアイレス午前零時』で芥川賞を受賞されました。講演会は、藤沢さんの生い立ちから作家を目指すことになったきっかけ、作家デビューに至るまでのお話から始まりました。
 浪人生時代、地元・新潟の雪景色をなぜ綺麗だと感じるのか、美とは何か言葉で説明できなかったことをきっかけに表現への道を歩み始めたという藤沢さん。当時のことを振り返りながら、海に行った時に初めて感じた“海と一体になったような経験”を通して、言葉で表現ができるようになり、それから拙い表現ながらも、書き始めることになったとお話されました。

 藤沢さんが表現を学ぶ過程で、参考にした作家や作品も紹介され、哲学書を例に挙げ、主体と客体が一体になる心境「禅思想の純粋経験」についての説明がありました。音や色を表現する際、音や色そのものになって初めて表現すること、つまり、かつて藤沢さんが体感した“海と一体になったような経験”が当てはまるというお話に繋がり、学生たちは納得した様子で頷いていました。

 最後に作家デビューの背中を押してくれた方との出会いについてお話いただきました。その方からは「1日1枚書きなさい」という言葉をいただき、藤沢さんは自分の感覚が受け取った通りに書けるか毎日続けました。これだけでも相当なトレーニングになると学生たちに伝えました。

 質疑応答の際には、『ブエノスアイレス午前零時』を事前に読んできた学生から、雪景色の描写の背景や、タイトルに関して質問が投げかけられました。
 現役の作家から、執筆活動について貴重な話を聞くことができた学生たち。作家としての思考のヒントや、表現の参考になる作家・作品を知ることができました。この講演を経て、自分の表現を磨いていく手がかりを得られたことでしょう。