追究

2015年12月02日

文学部 英文学科 講演会 洋の東西、世界と自分の捉え方

文学部 英文学科 講演会 洋の東西、世界と自分の捉え方

平成27年11月11日(水) 長久手キャンパス 512教室

時代を越えて受け継がれる文化の真髄。
日本舞踊西川流四世家元が、学生たちに伝えました。

 名古屋に根づき、約170年の歴史を持つ「日本舞踊西川流」。昨年その四世家元に就任した西川千雅氏をお招きし、11月11日(水)、長久手キャンパスで文学部英文学科講演会を開催しました。講演会を通じて西川氏は日本舞踊を中心とした世界の踊りや日本文化を題材に、そのありようは時代や場所によって大きく異なることをメッセージ。時折、流暢な英語を交えながら、英文学科の学生に文化の奥深さを伝えました。
 講演会はまず、西川氏の舞でスタート。恵比寿様の誕生を唄った長唄「七福神」にあわせて、しなやかに回転したり、片足立ちでポーズを決めたり、扇子を掲げたり。独特の雰囲気あふれる動きで学生たちを"和の世界"へといざないました。その後、学生たちは80年前の日本の様子を収めたビデオを鑑賞し、髪結いや着物の着付けなど人々の生活に根付いた日本文化について学修。西川氏は「このビデオに写っているのは、みなさんのひいおじいさん・ひいおばあさんの日常です。ほんの少し前の日本なのに、まったく違う国に感じるかもしれません。一方でどこか懐かしく感じる人もいるでしょう。文化を"時間"や"場所"をキーワードに考えてみると、その奥深さや不思議さに触れることができるのです」と語り、続けて日本文化の伝承や鍛錬をひも解く言葉「体・技・心(たい・ぎ・しん)」と「守・破・離(しゅ・は・り)」を紹介しました。「日本文化をならうとき、弟子はまず師匠の型を守り、何度も真似して体を鍛えます。そうした鍛錬を続けると技が身につき、だんだんと師匠の型を破って自分の技のカタチを理解できるようになります。その自分の理想とする技に"心"を加える事ができたとき、師匠の元を離れ、独り立ちできるのです」と、言葉の意味を解説した西川氏は、この精神は今なお日本を代表する企業に受け継がれていると説明しました。
 時代を越えても変わらず受け継がれる文化の真髄について解説した後、西川氏は「ここでぜひ、みなさん一緒に踊ってみましょう」と呼びかけ、日本舞踊の動きと昔の日本人の歩き方などを説明しました。西川氏の動きに合わせて見よう見まねで身体を動かした学生たちは、昔の日本人の歩き方が日本舞踊にも反映されていることを、体験的に学ぶことができました。同じ要領でアフリカやヨーロッパの踊りも経験した学生たちに、西川氏は筋肉や骨は全人類共通であることを例に挙げて「日本、アフリカ、ヨーロッパの踊りのように、文化は地域によって異なりますが、身体の構造はすべての人間が一緒です。では、何が"違い"を生み出すのでしょうか? 私もその答えを模索中です。みなさんも、みなさんなりの答えを残りの大学生活で見つけてみてください」と語りかけ、講演会を締めくくりました。英文学をキーワードに世界に目を向け、文化や歴史への理解を深めている学生たちにとって、西川氏の問いかけはその学びを深化させる素晴らしいメッセージとなりました。