追究

2014年02月05日

教育学会主催 子どものためのミュージカル 「ピーターパン」

教育学会主催 子どものためのミュージカル 「ピーターパン」

夢を信じる力の強さや家族の大切さを、ミュージカルを通して子どもたちに伝えました。

脚本、演出、演技、歌、踊り、オーケストラ、舞台装置、照明......。さまざまな要素が集結することで、ひとつの作品となるミュージカル。その上演を成功させるには、自分の意見を仲間に正しく伝える表現力、仲間と尊重し合い協力するチームワーク、より良い作品をつくろうと努力を続ける忍耐力や探究心など、総合的な力が求められます。そしてこれらの力は教育の現場でクラスを運営し、子どもたちの可能性を伸ばす教師に求められる力でもあります。現場で活躍できる小学校教諭の育成をおこなう教育学科では4年次に「総合表現」の授業が開講され、受講生がミュージカルづくりに取り組みます。この授業の最終目標は、長久手市の小学校の子どもたちを招いて上演する「子どものためのミュージカル」。そのために学生たちは題材選びから、演出、キャストのトレーニング、舞台装置やオーケストラの用意まで、教員の指導・支援を受けながら力を合わせて準備を進めてきました。今年の題材は「ピーターパン」。2月5日(水)、長久手市のホールで本番を迎えました。

 子どもと大人のはざまで揺れ動くウェンディが、ピーターパンとの冒険を通して夢を持つことの大切さに気づく――そうしたストーリーを学生たちは歌やダンス、オーケストラ、舞台装置、衣装などで形にし、子どもたちを夢の世界へと引き込んでいきました。約1年間の努力がステージ上で花開き、家族愛や夢の大切さといったメッセージが子どもたちに強く伝えられました。

 割れんばかりの拍手が送られ、物語は閉幕。訪れた子どもたちも学生たちも、みんなが笑顔に包まれ、幸せな夢の時間はあっという間に終わりを告げました。しかし、このミュージカルのために全力を尽くした日々は、学生たちがこれから社会で活躍する際の糧となり、明日を切り拓く大きな力となることでしょう。

【演出】文学部 教育学科 4年 安藤愛美さん

 演出チームは、脚本、照明、演出を担当しました。演出と聞くと舞台制作の中心でメンバーを引っ張っていくというイメージがあるかもしれませんが決してそうではありません。各チームに意見を聞き、アイディアをもらいながら、一つひとつの演出を決めていきました。60名のメンバー、誰ひとり欠けてもこの舞台は完成しなかったと思っています。力を合わせてひとつのものを作り上げる経験は、私たちにとってかけがえのない宝物になりました。

 【キャスト】文学部 教育学科 4年 梅林巧さん

 私たちキャストは、演出班・オーケストラ班・美術班の想いを受け取り、ステージで表現する使命がありました。全員がどうすればより良いミュージカルになるか考え、アイディアを出し合い、メンバーの思いを受け取ってきたつもりです。演じることを心の底から楽しんだ私たちの想いが、物語を通じて子どもたちに伝わっていれば、うれしく思います。4月からは小学校教諭としてこのミュージカル創作を通して実感した仲間と協力し合う素晴らしさを伝えていきたいと思います。

【オーケストラ】文学部 教育学科 4年 川村なな実さん

 私たちオーケストラ班は13名で劇中に流れる全ての音楽を担当しました。人数の少なさから、ひとりひとりの負担が大きく、大変なこともありましたが、メンバー全員がいい舞台になるようにと全力を尽くしました。意見を交わし合い、納得するまで話し合ったので、音楽は任せて! と自信を持って本番を迎えることができました。一人ひとりがミュージカル制作に真摯に向き合うことができたという充実感の元、次のステップへと力強く歩んでいきます。

【美術】文学部 教育学科 4年 広田駿大さん

 美術チームは裏方でありながら、衣装や舞台装置を通じてキャストの背中を押し、お客さまに物語を楽しんでもらえるよう、舞台に立つかのような気持ちで制作しました。演出から「動くワニを作ってほしい」という高い要求には、あっと驚くアイディア(ワニはつくるのではなく、キャストとして加えてしまおう!)で乗り切りました。見どころのひとつになったと思います。難しいこともはじめからあきらめるのではなく、全力で取り組む力はこれからの社会で役立つと思います。

指導教員からのメッセージ

文学部 教育学科 浅田まり子准教授

ミュージカルは、表現力はもちろん、人間の思考力や判断力、社会性を育てます。教員として必要な力であり、また、子どもたちに伝えていくべき力です。今はただひたすらにより良い作品をつくろうと一心に打ち込んだ「かけがえのない経験」かもしれません。しかし教育の現場に出たとき、ふとした瞬間にこのミュージカルの経験がみなさんを助けてくれるはずです。今日のミュージカルを思い出し、明日へ進むための糧になれば、そんな思いで学生たちをいつまでも見守っています。