躍動

2016年01月29日

大学で学んだ発想力や提案力を発揮し、 学外コンペティションで金賞・銅賞を受賞。 大きな自信を手にしました。

vol.42

メディアプロデュース学部 3年

日本建築家協会 東海支部 第32回設計競技 金賞・審査員特別賞 受賞 上奥 璃奈さん

アイデアを正しく魅力的に伝えるための方法を、追求できました。

 間宮ゼミに所属し、設計について学んでいます。また、多くの学外コンペティションに参加することで、設計のスキルや提案力を磨いています。今回のコンペティションは勉強のために参加した力試しの場の一つ。「首相官邸を考える」という課題は設定されているものの、どこの国であるか、首相官邸をどのように捉えるかなど、具体的な条件はすべて参加者の自由でした。その自由度の高さに惹かれて参加を決めたのですが、考え始めてみると、どんな条件を設定するかがとてもむずかしい問題でした。そもそも首相官邸がどんなものなのか、首相とはどんな仕事をする人なのか、さらには首相はどんな人なのか、次々に疑問が湧いてきて、一向に建築プランにはたどり着かず......。しかし、私が抱く疑問は誰しも思うことなのではという考えに至り、「首相の人となりがわかるプランを提案しよう」というテーマが決まりました。そこからは一気に「首相が国民の家を渡り歩く」というアイデアがかたまり、「一人暮らしの学生の家に泊まることになったら、首相と学生はどんな会話をするのだろう」とプランにまつわるストーリーを考えて、提案を深めていきました。

 「首相官邸システム」と名付けた提案が固まったのですが、次なる課題は、このアイデアをいかに見せるか。特に第一次審査はA2のシート1枚だけでジャッジされるので、自分の意図を正しく伝えられるよう試行錯誤を繰り返しました。はじめは首相の日記をイメージして2つの家を取り上げたのですが、それでは「渡り歩く」という提案の最も大事な部分が見えてこない。そこで1ヶ月のカレンダーをモチーフに、「何月何日には〇〇の家にいく」というスケジュールがわかるように工夫しました。渡り歩く家も10以上想定し、それぞれ間取りや家族構成、どんな会話がなされるかまで書きこんで提案しました。中には海外の訪問先で現地の家に泊まるというストーリーも加えました。
 金賞か銀賞かを決める第二次審査に勝ち進み、11月14日(土)にはプレゼンテーションも経験しました。常に心にあった言葉は、「自信を持って、堂々と」。提案に対する強い思い入れが審査員の先生方に伝わり、このような結果に結びついたのだと思います。アイデアをカタチにするだけでなく、そのアイデアを正しく魅力的に人に伝える難しさと大切さを今回のコンペティションで実感しました。この気づきを胸に、今後はさらに建築を考えるときに必要な思考力を磨いていきます。

日本建築家協会 東海支部 第32回設計競技 銅賞受賞 山田 泰弘さん

ひらめきをカタチにしようと模索し続ける大切さを学びました。

 8号棟5階のエレベーターホールにはたくさんの建築展の告知ポスターやコンペティションの参加募集のポスターが掲示されています。その中で今年の夏、日本建築家協会 東海支部主催のコンペティション募集のポスターを見つけました。課題は「首相官邸」。そのテーマを見た瞬間、アイデアが湧いてきて、そのひらめきをカタチにしたいとコンペティション参加を決めました。一瞬にして広がったアイデアの中核は、「人間一人ひとりが国家である」という考え方です。物事に対する感じ方は人それぞれだし、自分の行動は自分でしか決められません。この普遍的な人間の特色を“国家”として捉え、建築として表現したらおもしろいのでは、と考えたのです。対象敷地は人間の脳、そこに住むのは個人をコントロールしている1/100のサイズの首脳――。そんな想定のもと、情報処理を司る左脳には知識を蓄積できる本棚や外界の音や視覚情報を処理する「諜報機関」を配置し、創造を司る右脳にはアトリエやリラックス空間としてリビングを配置しました。また地下には「核シェルター」と「寝室」をつくっています。これは人が孤独になりたい時に入る部屋と想定していて、心理学の深層心理や無意識という考え方にインスピレーションを受けて設定したものです。

 この提案は空想上の設定が多く、人に理解してもらうことがとても難しいと思ったので、提出する「コンセプトや提案内容をまとめたシート」を制作するときは、とても気を使いました。背景を真っ黒にしてインパクトを与えること、視覚的にわかりやすいように人の頭や脳みそをデザイン的に活用すること、図面が目立つように白い背景にすることなど、細部にまでこだわってシートをデザインしました。そのこだわりが実を結び、今回の受賞に至ったのだと思います。最初のひらめきを大切にし、カタチにしようと追求したことで、大きな自信を手にすることができました。これからも積極的にコンペティションに参加して、多くのことを吸収したいと思います。