躍動

2016年04月08日

タイで、日本の魅力をプレゼンテーション。教育学科で学んだ"伝える力"を発揮し、「違いを共に生きる」ことの大切さを学び取りました。

vol.45

文学部 教育学科 2年

国の代表として、アジアへ。

 2015年11月10日(火)~18日(水)の8日間、アジア各国でおこなわれた「JENESYS(ジェネシス)2015」に参加しました。「JENESYS(ジェネシス)2015」とは、外務省をはじめとする中央官庁や外国政府などの国際交流プログラムを開発・支援している「JICE(一般財団法人日本国際協力センター)」が主催する国際交流プログラムです。2015年のプログラムでは、ASEAN諸国の10カ国に、各国23人程度の日本人学生を派遣し、日本の魅力を伝えるという内容でした。

 もともと私たちは海外における教育に興味を持っていて、公的なプロジェクトに参加してみたいと2人で話していました。そんな時、私たちが日頃お世話になっている、CCC(コミュニティ・コラボレーションセンター)で、今回のプロジェクトの参加者を公募する告知を見つけたのです。ぜひやってみようと、私たち2人に加え、他大学の友人に声を掛け、所属も専門領域も異なる5人のメンバーで参加を希望しました。全国から100人ほどしか合格しない狭き門でしたが、やれることだけはやろうと、CCCのスタッフの助言を受けながら書類審査に向けて準備。1次審査を突破した後の面接では、混合チームならではの強みを活かして、多角的な視点から日本の魅力を伝えたいという熱い思いを、訴えました。その思いが伝わったのか、高倍率の採用審査に見事に、合格! 5人のうち、私たち2人に外国語を専攻する1人を加えた3人はタイへ、残りの2人はラオスへの派遣が決まりました。

観光では味わえない“草の根レベル”の異文化交流を体験。


 このプログラムのメインイベントは、現地の大学生に向けたプレゼンテーションです。20分という持ち時間の中で、日本の魅力を伝えます。何を、どのように伝えるのか、3人でアイデアを出しながら考えていきました。日本といえば着物やサムライというイメージがあると思いますが、それじゃあ、言い尽くされているし、つまらない。私たちだからわかる日本の魅力を伝えたいと「おばあちゃんの知恵袋」のような、昔から伝わる日本の生活の知恵に着目しました。
 夏には涼を取るために打ち水をすること、冬には暖を取るためにみかんの皮をお風呂に入れること。素朴な日本ならではの良さを伝えようと、ふだん、教育学科で子どもたちに向けておこなうように、ていねいにかみくだいてプレゼンテーションを考えたのですが、もう一人のメンバーに「かえってわかりづらい」と指摘を受けました。なるほど、プレゼンテーションを聞く相手が、私たちと同世代ですし、端的に説明するほうがわかりやすいこともあるな、と納得。勉強になりました。こうやって、別の領域を専門的に学ぶ仲間からのアドバイスは、私たちにとって新しい視点で、とても刺激になりました。
 プレゼンテーションの本番は、プログラムの4日目・5日目に2つの大学でおこないました。浴衣に身を包み、教育学科で子どもたちに関わりながら磨いた"伝える力"を発揮して、英語でのプレゼンテーションをやり遂げました。また、プレゼンテーションの最後に用意した、わさびを味見してもらうデモンストレーションは、会場を大いに湧かせ、大成功。国境や言葉の壁を越えて、タイの学生と心が通じたのだと、今までの苦労が吹き飛び、晴れ晴れとした気持ちになりました。また、現地の障がいを持った方が経営するパン屋さんを訪問して、その自立した生活に感動したり、ホームステイをして同じ仏教国にもかかわらず、お祈りの方法がまったく違うことに驚いたり、「心が動きっぱなし」の8日間でした。

研修で得た学びを「実をともなった言葉」で、子どもたちに伝えます。

 タイでの経験を活かし、3年次から小島 祥美先生のゼミナールに所属して日本の小学校に通う外国人の子どもたちの教育や学校現場における異文化交流などをテーマに学んでいきます。大切にしたいのはこの研修で学んだ「違いを受け入れる柔軟な心」と「学びを深めるために必要な積極性」です。まさに大学の理念である「違いを共に生きる」ですね。この大学の理念を残りの学生生活で体現し、追究していきたいと思います。そして、今回の研修で得た手応えを自信に変えて、教育者として異文化交流のおもしろさを伝え、子どもたちの違いを認め合える豊かな心を育んでいきたいと思います。