空間設計Ⅳ 学外発表

3年生後期設計演習「空間設計Ⅳ」第二課題の学外発表を名古屋テレビ塔で行いました。

発表した課題は『ヒューマンスケールで人の居場所を考える』
人は何らかのよりどころを頼りにして居場所を定めます。ヒューマンスケールで考えた建築の原点である「人の居場所」を、名古屋市中心部に位置する久屋大通公園に何らかの行為を誘発する(アフォードする)空間的な仕掛けをもって提案するという課題です。

学内の審査により選抜された6組の発表者によるプレゼンテーションを、まちづくり実践者の方々へ向けて行いました。
※当日は残念ながら2組が体調不良にて不参加となったため4組でプレゼンテーションとなりました。

 

 

1組目 加藤+坂井案
久屋大通公園の南に位置する噴水広場。普段から閑散としているこのエリアに目をつけ、噴水を囲むように高さの異なるプレートを挿入し、椅子や机や日よけの機能を持たせた。プレートは噴水をよりどころに窪んだ形状をしており、窪みの寸法によってパーソナルスペースの異なる人々の使い方を誘発するというもの。
参加者のみなさんからは、噴水に着目し、さらにテーブルに窪みが設けられている点が面白く、風景としても楽しそうとの声が。もう一歩、タイトルを分かりやすくつけてプレゼンテーションしていただけるとより良かったとご指摘も頂きました。

 
頂いた質問には、よりイメージを膨らませやすい模型を使って回答する学生。

 

 

2組目 下村+田中
100m道路でもある久屋大通公園は、1度の信号では渡りきることができない。その間必ず「信号待ちの1分」が発生する。一方で「1分間で可能な行動」はたくさん存在する。そこに着目し、両者を結びつける提案を行った。
スライド発表も分かりやすくまとめられ、みなさまから着眼点に対する評価を頂く一方、見る・見られるの関係性について素朴な質問が。加えて素材や使い方、形状など多種多様な質問が飛び交いました。大変興味深く、例えば、あるのが当たり前になった名古屋の風景を想像すると面白いと評価頂きました。

 

 

3組目 高畑+服部
インスタグラムなど気軽に写真を撮るフォトジェニック時代を読み込み、人通りの少ない久屋大通公園に人の流れを呼び込もうという提案。点在する片側鏡面フレームが人を歩かせることを誘発する。さらにそれらがSNSで発信されることで話題性を生むというもの。
若者らしい、時流を読んだ提案であるとのコメントに加え、観光地・名古屋としての発展性を含む回答となるのではという期待感や、ある種ガイドのようにフォトジェニックスポットを指し示し、それらをつなげることで人を歩かせることができる点が優れていると評価を頂きました。

 

 

4組目 山田+山本
人が座って入ることができる程度の提灯のような繭のような居場所の提案。栄に訪れた人、実はだれだってひとりになりたい時があると銘打ち、そういったニーズに居場所を作り出す仕掛けとして、棚のようなスリットを設けた空間が提灯のような繭のような内部にあしらわれている。利用者はこのスリットに思い思いの所有物をディスプレイし、マイスペースを創出できるというもの。
グランピングのような都市公園に対する新しい提案のように感じ、かつ点在する風景はとても美しいとの声が。例えば、芝生の上だけでなく、階段のちょっと隅の方など、移動できることで可能性は広がる。一方で「名古屋人気質(ひとりで行動したがらない名古屋の人)」という難しい性質についても様々なご意見を頂きました。
名古屋人気質については、まちづくりに深く関わる方だからこそ見えている問題点だと感じます。学生も案を練り上げる段階ではあまり語っていなかった点だったため、大変勉強になりました。

 

 

会場には、この日残念ながら欠席となった2組の作品も展示しました。全員の発表後、ざっくばらんな懇談の場を設け、参加頂いた皆様と学生が和やかにお話しさせていただきました。

 

多くの意見を吸収したことで得たものは沢山あります。
学生にとって、今回のプレゼンテーションが今後の活動にどうプラスに働くのか楽しみです。

最後までお付き合い下さり、ひとつひとつの案に対して丁寧な講評と叱咤激励をいただいたみなさま、誠にありがとうございました。

 

2018.2.27