建築のための数学 第1回

建築のための数学 ガイダンス

授業概要

数学は、私たちが自然や環境、様々な物理現象を理解し表現するための「ことば」です。建築の建築環境学や構造学では、様々な自然現象、エネルギー、物理的・力学的現象を扱います。この授業では、これらを数学という「ことば」で表現する際に必要となる数学の約束事と、その使い方を学びます。建築環境学で扱う自然現象・物理現象を例に、これらを数値モデル化する考え方や、その際に用いる数学的手法を具体例を用いながら学びます。

授業の目標

建築を学ぶ上で必要な数学の基礎知識を整理・習得し、さまざまな場面で道具として活用できるようにする。

授業内容(予定)

[1]モノゴトをあらわす数学の道具

[1−1]モノゴトを表わす物差し:単位、大きさと度合い、割合、有効桁数
[1−2]有効数字とは? :数値の扱い方、関数電卓の使い方
[2]モノゴトの変化[始め・途中・終わり]をあらわす
[2−1]貯金箱のお金の出入りと中身の変化:定常状態を収支式であらわす
[2−2]平均の速さと瞬間の速さ:差分と微分
[2−3]瞬間の速さから今の状態を知る:積分
[2−4]変化を観察し記録する:【実験】
[2−5]冷めてゆく変化をあらわす数学モデルを導く:微分方程式導をといて現象を再現する(1)
[2−6]温まる変化をあらわす数学モデルを導く:微分方程式導をといて現象を再現する(2)

[3]モノゴトの現在をあらわす

[3−1]モノの位置をあらわす:平面座標、空間座標
[3−2]モノの位置の変化・移動をあらわす:ベクトル、ベクトルの演算
[3−3]ベクトルを座標上で考える:位置ベクトル、基本ベクトルと一次結合
[3−4]モノに力を加えて動かす:仕事とベクトル
[3−5]空間ベクトルと行列式:空間座標上の直線と平面
[3−6]ベクトルの線形変換と行列:対称・回転、行列
[3−7]行列同士の割り算、連立一次方程式を解く:逆行列、行列の一般化

[4]モノゴトの中身を知る

[4−1]モノゴトの中身を読む(1):数値データの分析とグラフ表現、様々な視点から読む
[4−2]モノゴトの本質を読む(2):多変量データを分析する
[4−3]データ分析演習:データを調べ・分析し、考察する

授業方法

配布資料:資料・演習問題などを毎回配布します。
必要なもの:関数電卓(毎回の授業および、学期末試験で使います)、定規、三角定規、カッターなど
参考テキスト: 各自の高校の数学(数学I, II, III)など
推薦図書

「意味がわかれば数学の風景が見えてくる」野﨑昭弘、ベレ出版

計算ができるようになることより、「意味がわかること」に焦点をあてました。「わかる」の積み重ねが、世界を広げていきます。本書を読めば、今までとは違う「数学の風景」と「世界の景色」が見えてくるでしょう。

「ふたたびの微分・積分」永野裕之、すばる舎

あの「解けた!」喜びをもう一度。面倒な数式変形のテクニックに隠された“意味”と微分積分の“本質”に迫る25の講義

「図解 やさしい建築数学」今村仁美、学芸出版社

「建築」に必要な数学を集めました!初学者のための「学び直し+α」テキスト。

「オイラーの贈り物 を学ぶ」吉田武、東海大学出版会

オイラーの公式ただひとつを理解させ、数学とはどんなものかをお話ではなく、基礎から本格的に独習できるよう解説

[1]モノゴトの現在をあらわす

[1−1]モノゴトを表わす数学の物差し

[1−2]有効数字