講演会「布から世界に触れてみるー地域におけるアートの実践、手芸サークルから国際芸術祭まで」のお知らせ

講演会「布から世界に触れてみるー地域におけるアートの実践、手芸サークルから国際芸術祭まで」のお知らせ

 

創造表現学会による講演会として、キュレーターの慶野結香氏をお招きします。
現代美術を専門に、国内外で展覧会や展示の企画と教育普及活動をおこなっている慶野さん。今回は、「布」をキーワードに、地域におけるアートの実践についてお話しいただきます。
アートや表現、地域、展示、学芸員などに興味のある方は、ぜひお越しください。

◯日時:2022年11月30日(水)2限(11時10分〜12時40分)
◯場所:長久手キャンパス5号棟512教室

◯講演タイトル:
「布から世界に触れてみるー地域におけるアートの実践、手芸サークルから国際芸術祭まで」

◯講演者:
慶野 結香(けいの・ゆか)氏
青森公立大学 国際芸術センター青森[ACAC]学芸員

◯概要
布は私たち人間の誕生から死までを包むものであり、日々の暮らしになくてはならないものです。ファッションの好き嫌いに限らず、帰属意識やジェンダーなど自分が何者であるかを社会に示し、表現するものでもあるでしょう。戦前までは家庭でも糸を紡ぎ、ある程度自給自足を行って身にまとうものを作っていたそうです。一方で、産業革命をはじめ一気に近代化を推し進めたのも繊維産業でした。
油絵を描くキャンバスも布でできていますが、現代美術では殊更近年、国内外多くのアーティストが様々な視点から布に着目し、作品に用いるようになりました。講師はサモア独立国で暮らすなかで、原始的な樹皮布や伝統的な編組品、それらの交換経済などに興味を持ちましたが、青森の滞在制作を核としたアートセンターで働く現在も、地域をみて関わっていく際に布は重要なファクターになっています。今年行われた「国際芸術祭『あいち2022』」はもちろん、「ドクメンタ15」や「ベニス・ビエンナーレ」などの国際展でも、それぞれの足元にある歴史を顧みて、先住民族の伝統やアイデンティティ、ジェンダーや脱植民地化などを考る時に、布は重要な役割を担っていました。
今回は、布という身近な素材を切り口として、手芸サークルから地域のアートセンターや美術館、そして芸術祭などでの様々な実践を紹介し、世界のアートの最前線を感じていただければと思います。そして世界の人々の思いに触れながら、地域でアートやデザインといった表現活動を行う意義を考えます。