
2026年9月12日(土) 長久手キャンパス
母子の命を守る実践力を磨く。「第2回 愛知淑徳大学BLSOプロバイダーコース」に本学の在学生、卒業生も受講。


愛知淑徳大学 健康医療科学部 スポーツ・健康医科学科 救急救命学専攻では、救急現場で求められる高度な専門知識と技術を実践的に習得し、社会に貢献できる救急救命士の育成に力を注いでいます。昨年に続き、本学主催となる「第2回 愛知淑徳大学BLSOプロバイダーコース」が開催されました。
BLSO(Basic Life Support in Obstetrics)とは、病院外や救急外来での突発的な分娩や、妊産婦の救急対応能力を身につけるための実践型トレーニングプログラムです。病院外や救急外来での急な分娩は、実際の救急現場で遭遇する頻度自体は決して多くありません。しかし、一度発生すれば母子2人の命が危機に直結する極めて重大な局面となります。だからこそ、現場での対応力を養えるBLSOコースは医療従事者からの需要が極めて高く、全国から参加希望者が殺到します。受講枠の制限もあり、厳正な枠の中で選ばれた限られた医療従事者のみが参加できる希少な講習となっています。


第2回となる今回は、本学にとっても有意義な機会となりました。現場で活躍する本学の卒業生2名が受講生として参加したほか、本来は医療現場のプロフェッショナルを対象とした成人教育プログラムであるBLSOに、今回は特別枠として本学の在校生の受講が実現。救急救命学専攻の学生4名が、全国から集まった現役の看護師、救急救命士らとチームを組んで学ぶことができ、学生にとって極めて貴重な機会となりました。
さらに、現場経験を積んだ卒業生が運営スタッフとしても参加。後輩たちを温かく見守りながら受付などの業務を任されました、また救急救命学専攻の1〜3年生も見学参加するなど、現役生から最前線で働く卒業生までが実践的な学びに参加しました。






講習では受講生がチームに分かれ、専門インストラクターからの指導のもと、マネキンを使用した実践的なシミュレーション実習に臨みました。救急車内などの限られた空間での分娩介助、出生直後の新生児蘇生、妊産婦の容態評価など、多岐にわたるシナリオを想定した訓練が行われました。
病院外という過酷な状況下で、分娩台のない環境からいかに母子の安全を最優先に確保して介助を行うか、バイタルサインの確認手順や母体保護のポイントを一つひとつ確認。新生児蘇生の訓練では、呼吸状態の観察や人工呼吸器を用いた適切な蘇生手順を徹底的に反復しました。在学生たちも現役の医療従事者たちと肩を並べ、真剣な眼差しで手技に食らいつき、教科書だけでは得られない現場直結の判断力を体得していきました。
実習終了後には実技試験と筆記試験が課され、見事に基準を突破した修了生には、米国家庭医療学会(AAFP)とALSO-Japanが認定する3年間有効なプロバイダー認証が授与されました。
試験終了後、受講生たちは救急救命実習室へと移動。実習室には、実際の救急車内の設備や空間の狭さを忠実に再現したカットモデルや、一般住宅を模したリアルなモデルルームが完備されています。
各チームは提示されたシナリオに沿って、実際の出動現場を想定した高度なシミュレーション実習を実施しました。「狭い車内で分娩が始まってしまった」「一般住宅の一室で妊婦が倒れている」といった緊迫した状況のなか、受講生たちには迅速な処置だけでなく、チーム内の連携力、状況を的確に伝える伝達力、そして瞬時の判断力が強く試されました。息の詰まるような緊張感のなかでシミュレーションを終えた学生たちは、知識や技術はもちろんのこと、実際の活動を通して、現場で求められる実践力の重要性を強く実感しました。
全国から受講希望が集まるほど狭き門であるBLSOコースに、意欲ある在学生が加わり、現場で活躍する卒業生と共に手技を磨き合った今回の取り組み。本来はプロ向けであるハイレベルな成人教育の場に学生時代から身を置き、緊迫感の中で培った産科救急の初期対応力は、これから命の最前線へ巣立つ学生たちにとって、大きな自信と生涯の財産になるはずです。
◾️受講した在学生の声

健康医療科学部 スポーツ健康医科学科 救急救命学専攻 4年
左から
今野那南さん
田中大斗さん
須原優希さん
今泉瑠正さん
昨年、運営スタッフとして参加したことがきっかけで、今回は受講生として挑戦しました。実際に受講してみると、教科書や通常の学内実習では得られない実践的な気づきが数多くありました。特に、第一線で活躍されている医療従事者の皆さんと共に学べたことは、何物にも代えがたい貴重な経験です。洗練された手技や瞬時の判断力からプロの経験の深さを肌で実感し、自分たちが目指すべき将来像を明確に描くことができました。技術の向上はもちろん、命を救うためのチームワークの大切さも学んだので、卒業後に立つ救急の現場で必ず活かしていきたいです。
◾️受講した卒業生の声

左・中村柊暉さん
右・細田将成さん
もともと産科救急への関心が高く、大学の先生からお声がけをいただいたことを機に受講を決意しました。経験豊富な救急救命士の先輩方と共に学ぶ中で、現場でのリアルな体験談を伺えただけでなく、隊員同士の的確な声掛けや連携など、カリキュラム以上の貴重な知見を得ることができました。特に学びが深まったのは『母体観察』です。これまで実際の救急現場で遭遇したことがなく、知識が曖昧だった部分もありましたが、今回のコースを通して現場で即座に生かせる確かな知識と技術が身についたと実感しています。
◾️運営スタッフとして参加した卒業生の声

山田幹久さん
昨年受講し、今年は運営スタッフとして受講生のサポートを担当しました。客観的な立場で見学したことで、当事者では気づきにくい細かな課題にも気づくことができ、知識と技術を改めて整理する良い機会となりました。また、単なる手技の向上だけでなく、連携やチームワークといった『目に見えない力』を育てるための指導者側の視点や関わり方を学べたことも大きな収穫です。今後も運営に携わりながら、将来的には技術を指導・伝達できる側を目指していきたいです。