愛知淑徳大学 活動情報サイト ─ 学びと活動の“いま”を伝えるメディア

学び・研究

2026年度 日本建築学会設計競技 東海支部入選

この記事をシェア X
2026年度 日本建築学会設計競技 東海支部入選

2026年10月14日(水)  長久手キャンパス 8号棟4階 プレゼンテーションルーム

2026年度日本建築学会設計競技で
建築学部から2チームが東海支部入選を果たしました。

 日本建築学会が主催する、日本で最も歴史のある建築系学生向けの設計コンペティション「2026年度日本建築学会設計競技」で、本学の建築学部から2チームが東海支部の入選に選出されました。今年度の募集テーマは「新しい時代の住まい」。現代の価値観が求める住居や、新しい時代の生き方を描く住まいを、実在の土地に当てはめながら自由に考えて提案するものです。入選作品について、それぞれのチームにインタビューをしました。

■作品テーマ「半菌生活」

創造表現学部 建築・インテリアデザイン専攻(※)
諸江ゼミ4年
松澤凜さん、藤本紫乃さん、上田彩月さん、大村果乃子さん、

 「コロナ禍を経験した現代の住まいは、除菌・抗菌の考え方が根付いている。しかし、菌の中には免疫の維持に効果的なものもあることから、日本では菌と共に生きてきた長い歴史が存在する」との考えから、味噌・醤油・日本酒などに利用される麹菌に着目。麹菌と人が暮らしの中で関係を育む、現代的な集合住宅を計画しました。対象敷地は、酒造りが盛んな岐阜県瑞浪市土岐町にある、酒蔵の隣地です。1階は家庭ごとの住戸空間。屋根裏は住戸同士の壁をなくし、外部と接続する階段を設け、酒蔵の蔵人も利用できるトイレやシャワーを設置。広い共用空間を有する集合住宅を提案しました。瑞浪市に吹く卓越風をうまく取り入れ、隣地の酒蔵に漂う麹菌を住宅内へ運びこむ設計とするだけでなく、蔵人の服や身体に付着する麹菌も、共用空間に足を運んでもらうことで取り入れられる仕組みとしました。屋根裏部屋は味噌や醤油、漬物などが作れるスペースとしても活躍し、日常的に自分で手を動かしてものを作る経験を得ることができます。さらに、1階にはシェアキッチンを設置することで、屋根裏で作った食材を地域住民と共有できる場に。住むだけで免疫維持につながり、地域の人々との交流も生まれる“発酵環境”のある住まいを「新しい時代の住まい」として提案しました。

 計画を練っていく上で、4人は「グループワークでは、みんなの意見をまとめるのが大変だった」とのこと。しかし、「冷静に話し合いを重ねられたことで、メンバーそれぞれのこだわりや得意な部分を活かしながら作品を完成させることができた」と、達成感も口にしました。

■作品テーマ「御嶽テフラ計画」

創造表現学部 建築・インテリアデザイン専攻(※)
清水ゼミ4年 杉山莉玖さん
三谷ゼミ4年 堀田紗那さん、水野茜さん
諸江ゼミ4年 棚橋美咲さん、山田陽人さん

 「自然災害と隣り合わせの地域に住む人は、なぜその地に住み続けているのか?」という疑問を持ったことが、本テーマの着想のきっかけ。そこで、2014年に起きた戦後最悪の火山災害・御嶽山噴火災害の被害に見舞われた長野県王滝村の敷地を対象に、一戸建て住宅を計画しました。設計の大きなポイントは、火山と共に暮らしていくことを念頭に置いた住まいであること。噴火時に降り注いだ火山灰は、農作物被害や健康被害をはじめ、さまざまな危険をもたらす火山災害の一つ。しかし、「この地で生きていくためには、災害の歴史や脅威をポジティブに受け入れ、火山灰を資産として受け入れていくことが重要」と考え、住まいの建材に火山灰を取り入れたコンクリートやガラス、タイル、左官材などを使うことを想定して設計しました。想定した建材は現実に供給されているものもあれば、存在しないものもあります。存在しないものは、さまざまな資料を読み込み「こうしたら作れるのではないか?」という仮説を織り込んで提案しました。「災害の記憶」を建材へと転換し、住民が日常的に触れ、共有することで、地域の歴史や自然との関係性を次世代へ継承する住まいの計画となりました。

 「人数が5人ともなると意見がたくさん出るので、テーマを一つに絞るだけでも大変だった」と話した学生たち。しかし、テーマが決まってからはとてもスムーズに進められたと言い、その理由として「自分にない視点の意見をたくさんもらえるので、それを学びとして素直に受け止められたこと」を挙げました。

 両チームともに、メンバー同士で刺激を与えあいながら切磋琢磨した結果、コンペティションでの入選を果たせたことは何よりの成果と言えるでしょう。チームで一つの設計に携わった今回の経験が、卒業後のキャリアにも生かされることが期待されます。

※2025年4月より、建築学部となりました。