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学び・研究

創造表現学部 特別講演会 「日常を豊かにする~家具・インテリアからランドスケープまで~」

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創造表現学部 特別講演会 「日常を豊かにする~家具・インテリアからランドスケープまで~」

2026年10月14日(水)長久手キャンパス ミニシアター

竹中工務店・長谷川寛氏を迎え、
人が心地よく集う「居場所」のデザインと思想に触れました。

 2026年10月14日(水)、長久手キャンパスのミニシアターにて、創造表現学部 建築・インテリアデザイン専攻 松本ゼミが主催する特別講演会「日常を豊かにする~家具・インテリアからランドスケープまで~」が開催されました。講師として招かれたのは、株式会社竹中工務店で名古屋支店設計部長などを歴任し、数々の名建築を手がけてきた設計責任者の長谷川寛氏です。会場には建築やデザインを学ぶ多くの学生が集い、熱心に耳を傾けました。

 本講演会は、学生時代をどう過ごし、いかにしてプロの建築家・デザイナーへと歩みを進めていくかを語り合う「第1部:学内教員とのトークセッション」と、長谷川氏が手がけてきた多彩な建築プロジェクトの裏側に迫る「第2部:長谷川寛氏 特別講演」の二部構成で実施されました。

 第1部では、長谷川氏に加え、本学創造表現学部の教員陣(田島祐之教授、吉元学教授、三谷裕樹准教授、北原麻理奈講師)が登壇し、座談会形式でのトークセッションが繰り広げられました。

 テーマとなったのは「学生時代をどう過ごし、何につまずき、どう乗り越えてきたか」。登壇した先生方からは、自らの学生時代の失敗談や恩師との出会い、進路に迷った経験などが率直に明かされました。長谷川氏は自身の経験を振り返りながら、「失敗は必ずするもの。打率半分なら上出来です。失敗を恐れて『自分ができること』だけに閉じこもっていては、成長のチャンスを逃してしまいます。20代前半の学生時代は、何かに深く没頭し、アウトプットを徹底して積み重ねる時間にしてほしい。世の中のプロフェッショナルと渡り合うための地力を養い、自分を広げる準備をしてほしいと思います」 と、これから社会へ羽ばたく学生たちへ向けて温かいエールを送りました。

 第一線で活躍する実務家と、日々指導にあたる教員陣の生の声に、客席の学生たちは深く頷きながら聞き入っていました。

 続く第2部では、長谷川氏による特別講演が行われました。長谷川氏がこれまでに設計を手がけた名古屋や東海エリアの具体的な建築事例をもとに、「家具や素材といったミクロな視点」から「街や自然環境といったマクロなランドスケープ」までをいかに繋ぎ、日常を豊かにしていくかが語られました。

 講演では、学生たちにも馴染み深い数々のプロジェクトが紹介されました。本学の星ヶ丘キャンパスからも近く、学生たちの憩いの場である「星ヶ丘テラス」も長谷川さんの設計によるもの。平和公園と東山公園という2つの丘陵に挟まれた立地に着目し、かつての山の連なりを感じさせる屋上緑化と、木調の軒が一体となったデザインを実現したそうです。また、高辻にある自動車販売のショールームは、ガラス張りの箱に車を閉じ込めるのではなく、「外を走る車」の躍動感を感じられるよう木と鉄骨を組み合わせた開放的な空間をつくり、夜間にはブランドカラーの赤い光とスポットライトで街を照らす夜景を創出が魅力となっています。さらに、複合商業施設グローバルゲートや大学、ホテルなどが集まる名古屋駅の南側に位置する再開発エリア「ささしまライブ」の設計にも関わった長谷川氏。広場状の屋内公開空地を取り入れ、オフィスワーカーだけでなく街の人々が日常的に立ち寄り、心地よく滞在できるパブリックな場を提供しました。

 こうした設計には長谷川氏のパブリックな「居場所づくり」と素材へのこだわりが込められています。講演では、「ただ用事を済ませて立ち去るだけの場所ではなく、人々が思い思いに過ごしたくなる『居場所』をいかに生み出すか」という視点を強調。中村区役所の建て替え計画では、子育て世代をはじめとする地域住民が日常的に集える縁側のような広場空間を提案したエピソードや、福井県のオーディオテクニカ研究開発センターにおいて、厳しい雪景色を美しく室内に取り込む中庭と水盤の設計など、敷地が持つ固有の環境を最大限に活かすアプローチが明かされました。

 さらに、3D CADやデジタル技術を駆使しながらも、最後は原寸大のモックアップやスケール感を自らの身体で確かめることの大切さ、そして地域の職人や異分野の専門家との協働(ものづくり・ことづくり・ひとづくりのループ)が名建築を生み出す原動力であることを力強く語りました。

 講演の終盤には、愛知・名古屋アジア・アジアパラ競技大会のメインスタジアムとなった瑞穂公園陸上競技場の建て替えにも話が及びました。山崎川によって分断されていた敷地や車道の課題を乗り越え、立体的なデッキや8の字のループによってスタジアムと周辺のレクリエーション広場を一体化させる壮大なランドスケープ計画を実現。「試合がある特別な日だけでなく、日常的に地域の人々が散歩し、走り、憩える公園のような場所を目指している」と、建築が都市の日常を豊かに変えていくダイナミズムを伝えました。

 椅子のディテールや手触りといった数センチの「家具・インテリア」から、街路樹や地形と調和する数百メートルの「ランドスケープ」まで。長谷川氏が紹介した建築の数々には、常に「そこで過ごす人がいかに心地よく、豊かな時間を過ごせるか」という温かな視線が貫かれていました。参加した学生からも「これまでとは建築の見方が変わるような気がした」「街と建物の関係性や、土地に住む人の想いを汲む重要性を学んだ」と感動の声が上がり、自らの手で日常をデザインしていく建築・インテリアデザイン専攻の学生たちにとって、理論と実践が鮮やかに結びついた刺激に満ちた講演となりました。