空間設計Ⅳ 最終講評会の様子
3年生後期設計演習「空間設計Ⅳ」の最終講評会を建築家の藤原撤平氏、名古屋市立大学助教の寺嶋利治氏をゲストジュリーにお迎えし開催しました。本年度の課題は『自分の通った小学校の現代化プロジェクト』と名古屋栄の一区画のどこかに図書館+αの複合施設を設計する『都心の文化交流施設』の2課題。すでに2課題とも講評会を経ており、ブラッシュアップした作品をどちらかor両方エントリーしてプレゼンテーションするというものです。
まずは全作品のポスターセッションからスタート。限られた時間の中でプレゼンテーションと質疑応答を行います。先生方との距離が近いのでダイレクトにレスポンスが届きます。
その後12作品がセレクションされ全体講評会へ。今度はプレゼンテーションルームに全員が集まり、模型とシートを使って各自プレゼンテーションを実施。CCDカメラを使い、構え方や空間体験などについてクリティークを深めます。
藤原さんは、作品の講評をと共にそれらアイデアから派生するボキャブラリーを積層させ学生に発見を与えていくようなクリティーク。印象的だったのは「・・・のように」という表現は物質化されていない。ゆえに建築として明快な回答を成していないもの。もっと建築計画学的にスタディを重ねて空間に落とし込むべき、という講評。まさに本質をいつまでも掴めない、空間化できないと学生が苦手としているところで、「・・・のように」の先に進めない学生にとって発見的な瞬間だったと思います。寺嶋さんは、街の読み解きも踏まえながら、空間はプランからの裏切りをもっと想起させてほしい。自分の体験や街の持っている質量のようなものをどう建築に落とし込むかも見てみたい、吉村先生からも本質をズバッと切るクリティークが飛び出す等々…多くのことをインプットする大変貴重な時間となりました。
一点、緊張していたのか学生からの意見や反論などのやりとりがなかったことは残念なことでした。受け身の態勢でいてはもったいない。次に期待です。
クリティーク後は、先生方から総評タイム。全体的に面白く、発表作品以外も魅力的な作品、可能性を感じる作品が多かったとの総評を頂きました。そんな中、優秀作品に選ばれたのは2作品。いずれも『都心の文化交流施設』からの選出で、図書館+製本施設を組み合わせた酒向・名倉ペアと、図書館+公園を組み合わせた加茂・柴山ペア。2組にはゲストジュリー賞として書籍が贈呈されました。(藤原さんのサインつき!)
講評会後のレクチャーでは終始笑いを交えつつ作品と活動を横断的に紹介いただき、「建築家の身体を通すこと」でつくられる建築の意味や「活動がつくる場の建築」の伸びやかさなど多くの事例と共にキーセンテンスで埋め尽くされた大変分かりやすくも楽しいレクチャー。レクチャーの終わりがけ、学生に対してぜひアトリエへ行ってほしい。20代は大変かもしれないけれど生涯年収は高いし人生楽しいことしかない。という言葉に心動いた学生は多くいたのではないでしょうか。
藤原さん、寺嶋さんありがとうございました。