耳が詰まった感じの直し方は?自分でできる対処法とやってはいけないこと
耳が詰まったような感じ(耳閉塞感)は、耳垢や気圧の変化による一時的なものから、放置すると聴力に影響する病気まで原因はさまざまです。 この記事では、自分でできる対処法と、症状を悪化させるNG行動、受診の目安まで分かりやすく解説します。
監修
平山 肇愛知淑徳大学クリニック院長
約30年にわたり耳鼻咽喉科の診療に従事。大学病院で培った豊富な経験を活かし、聴覚障害やめまいをはじめ、幅広い症状や疾患に対応しています。 ■資格:日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 耳鼻咽喉科専門医、日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 補聴器相談医、日本めまい平衡医学会 めまい相談医
この記事でわかること
- 耳が詰まった感じが起こる3つのタイプ別の原因
- 今すぐ試せる耳が詰まった感じの直し方
- 症状を悪化させてしまうやってはいけないNG行動
- 「様子を見ていい場合」と「すぐ受診すべき場合」の境界線
耳が詰まった感じは何が起きている?まず原因を3タイプで見分ける
耳が詰まった感じ(耳閉塞感)は、症状は似ていても原因になっている場所によって対処法がまったく異なります。
原因は大きく3つ
- 音の通り道が塞がっている(外耳のトラブル)
- 耳管がうまく働いていない・中耳に水が溜まっている(中耳・耳管のトラブル)
- 内耳にトラブルが起きている
誤った対処をすると症状が悪化したり、受診のタイミングを逃してしまうこともあるため、まずは自分の症状がどのタイプに近いかを確認してみましょう。
音の通り道が塞がっている(耳垢・水・外耳炎)
耳の入り口から鼓膜までの通り道(外耳道)が塞がれることで、音の振動が届きにくくなり、耳がふさがったように感じるタイプです。代表的な原因は次のとおりです。
- 耳垢が溜まって外耳道を狭くする「耳垢栓塞」
- 入浴・プール・シャワーなどで耳に水が入った状態(耳垢が水を含んで膨らみ、外耳道を塞ぐことがあります)
- 外耳道の炎症による「外耳炎」
いずれも聞こえにくさに加えて、かゆみや痛み、耳のつまり感を伴うことがあります。耳垢や水が原因の場合は比較的セルフケアで対処しやすい一方、外耳炎は自己判断での耳掃除がかえって悪化させることもあるため注意が必要です。
耳管がうまく働いていない・中耳に水が溜まっている
耳と鼻の奥(上咽頭)をつなぐ「耳管」は、通常は閉じていて、あくびや飲み込みの動作で一時的に開き、中耳の気圧を調整しています。この耳管の働きに異常が起きると、次のような状態になります。
- 耳管狭窄症:耳管が狭くなり、開きにくくなる状態。風邪や副鼻腔炎などの炎症が原因になることが多い
- 耳管開放症:本来閉じているはずの耳管が開いたままになる状態。自分の声や呼吸音が耳に響く「自声強聴」を伴いやすく、体重減少・妊娠・脱水・疲労などが関わるとされる
- 滲出性中耳炎:耳管の換気がうまくいかず、中耳に液体が溜まった状態。痛みや発熱がないまま、耳閉塞感と聞こえにくさだけが続くことが多い
- 航空性中耳炎(気圧変化による一時的な不調):飛行機の離着陸時やダイビング時など、周囲の気圧が急に変わることで耳管がうまく調整できなくなる状態
耳管開放症は、横になったり前かがみになったりすると症状が速やかに軽くなるのが特徴で、立ち仕事や脱水で悪化しやすい傾向があります。
一方、滲出性中耳炎は自然に治ることもありますが、長引くと鼓膜が中耳側に引き込まれ、癒着性中耳炎や真珠腫性中耳炎に進行することがあるため、耳閉塞感が続く場合は耳鼻咽喉科での確認が必要です。
参考:耳管開放症|日本耳科学会「耳の病気ガイド」
参考:耳管開放症診断基準案2016|日本耳科学会
内耳のトラブル(突発性難聴・急性低音障害型感音難聴)
鼓膜より奥にある「内耳」に異常が起きているタイプです。他の2タイプと違い、放置すると聴力が回復しにくくなる可能性があるため、特に注意が必要な原因です。
- 突発性難聴:ある日突然、片方の耳が聞こえにくくなる病気。原因は明確になっておらず、年間およそ3万5,000人(人口10万人あたり約27.5人)が発症すると推定されている。早期の受診と治療が予後を左右する
- 急性低音障害型感音難聴:低音域だけが聞こえにくくなる病気。20〜40代の女性にやや多く、再発しやすい特徴がある。繰り返すうちにめまいを伴うようになり、メニエール病に移行する例もある
いずれもストレスや睡眠不足がきっかけになりやすいとされ、「そのうち治るだろう」と自己判断で放置せず、早めに耳鼻咽喉科を受診することが大切です。
耳が詰まった感じの直し方
耳の詰まりが軽度で、突然の難聴・耳鳴り・めまいを伴わず、耳垢や外耳炎などの明らかな異常も疑われない場合は、自宅でできるセルフケアで改善することがあります。
ここでは、耳管の働きを利用した基本的な対処法から、原因タイプ別の対処法まで順番に紹介します。
あくび・つばを飲み込む・ガムを噛んで耳管を開く
耳管は、あくびや飲み込みの動作によって一時的に開き、中耳の気圧を外の気圧と同じに調整する仕組みを持っています。
飛行機の離着陸時や、エレベーター・トンネルなど気圧が急に変わる場面での軽い耳の詰まりであれば、この仕組みを利用したセルフケアで解消できることがあります。
- 大きくあくびをする
- つばや水をゆっくり数回に分けて飲み込む
- ガムを噛んだり、あめをなめたりして顎を動かす
いずれも特別な道具が要らず、体への負担も少ない方法です。気圧の変化による一時的な詰まりであれば、まずこれらを試してみましょう。
やさしい耳抜き(バルサルバ法)の正しい手順
あくびや飲み込みで改善しない場合は、耳抜き(バルサルバ法)を試す方法もあります。手順は次のとおりです。
- まず軽く鼻をかんで、鼻の通りを整える
- 鼻をつまみ、口を閉じる
- 鼻の奥に向かって、ゆっくりと息を送り込む
- 耳がふわっと抜ける感じがあれば成功
ポイントは「やさしく」行うことです。勢いよく強く息を送り込むと、中耳の圧力が急激に上がり、鼓膜を傷つけたり、かえって耳の不調を悪化させたりするおそれがあります。1〜2回試して耳が抜ける感じがなければ、無理に繰り返さず、様子を見るか受診を検討してください。
注意:次の場合は耳抜きを行わないでください
- 鼻水が多く出ているとき(分泌物が中耳へ逆流するおそれがあります)
- 耳に痛みがあるとき、耳だれが出ているとき
- 鼓膜に穴があると診断されたことがある方
- 中耳の手術を受けたことがある方
鼻づまりを先に解消する(鼻を片方ずつ静かにかむ)
耳管は鼻の奥(上咽頭)とつながっているため、鼻づまりがあると耳管の通りも悪くなり、耳の詰まりが起こりやすくなります。風邪や花粉症などで鼻がつまっているときは、耳の詰まりだけを直接ケアするより、まず鼻づまりを和らげることが近道になる場合があります。
鼻をかむときは、次の点を意識しましょう。
- 両方の鼻を同時に強くかまない
- 片方の鼻を、指で反対側を軽く押さえながら静かにかむ
- 一度に強く出し切ろうとせず、短く数回に分けてかむ
強く鼻をかみすぎると、鼻の中の圧力が耳管を通じて中耳に伝わり、かえって耳に負担をかけたり、鼻の中の分泌物が中耳に入り込んでしまったりすることがあるため注意が必要です。
耳に水が入ったときは「拭かずに出す」
入浴やプールの後に耳が詰まった感じがするときは、綿棒で拭き取ろうとせず、次の方法を試してください。
- 水が入った側を下にして頭を傾け、その足で軽く数回ジャンプする
- 清潔なタオルで、耳の入り口だけを軽く押さえて水分を吸わせる
- ドライヤーの冷風を、離した位置から短時間当てる
綿棒を奥まで入れると、耳垢を押し込んだり外耳道の皮膚を傷つけたりして、かえって詰まりや外耳炎の原因になります。半日以上詰まりが取れない場合は、耳垢が水を含んで膨らんでいる可能性があるため、耳鼻咽喉科で除去してもらいましょう。
耳管開放症が疑われるときは横になる・水分をとる
自分の声や呼吸音が耳の中で大きく響くように感じる場合は、耳管が開いたままになる「耳管開放症」が疑われます。このタイプは、他の原因とは対処の方向性が異なります。
- 体を横にする、または前かがみの姿勢をとる
- こまめに水分を補給する
- 長時間の立ち仕事を避け、こまめに休憩をとる
- 急激なダイエットを避ける
耳管開放症は、体重減少や脱水、疲労、ストレスなどがきっかけになることがあるとされており、立位や坐位で出ていた症状が、臥位(横になる)・前屈位で速やかに軽快するのが最大の特徴です。ただし、これらはあくまで一時的な緩和策であり、症状が続く場合は耳鼻咽喉科での相談が必要です。
耳が詰まったと感じるときにやってはいけないNG行動
耳が詰まった感じを早く解消したいあまり、かえって症状を悪化させてしまう行動があります。ここでは特にやりがちなNG行動を4つ紹介します。
綿棒や耳かきで奥まで掃除する
耳が詰まっていると感じると、つい綿棒や耳かきで奥まで掃除したくなりますが、これは逆効果になることがあります。
健康な外耳道には自浄作用があり、耳垢は食事やあくびなどで顎を動かす動作によって自然に入り口付近へ移動し、排出される仕組みになっています。日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会も、多少の耳垢であれば家庭で無理に取る必要はなく、入浴後にぬれた耳を軽く拭う程度が無難だとしています。
綿棒や耳かきを奥まで入れてしまうと、次のようなトラブルにつながることがあります。
- 耳垢をかえって奥に押し込んでしまい、耳垢栓塞を悪化させる
- 外耳道の皮膚を傷つけ、外耳炎を引き起こす
- 力の入れ方によっては鼓膜を傷つけてしまう
耳の入り口から見える範囲を軽く拭き取る程度にとどめ、奥の詰まりが気になる場合は自己流で取ろうとせず、耳鼻咽喉科で処置してもらいましょう。耳垢の除去は健康保険が適用されます。
鼻をすする・強く鼻をかむ
耳の詰まりを一時的に和らげようと、鼻をすする癖がついてしまう方がいますが、これは特に避けたい行動です。鼻をすすると、中耳が陰圧になって鼓膜が内側にへこんだ状態が繰り返され、次のような病気につながる危険性があります。
- 滲出性中耳炎
- 鼓膜が中耳の壁に癒着する癒着性中耳炎
- 鼓膜の一部が中耳に入り込み、周囲の骨を溶かしながら進行する真珠腫性中耳炎(「腫」の字がつきますが、いわゆる腫瘍ではなく炎症性のかたまりです)
一方で、強く鼻をかむこともやめたほうがいいです。両方の鼻を一度に強くかむと、鼻の中の細菌やウイルスが耳管を通って中耳に送り込まれ、急性中耳炎を引き起こす原因になることがあります。鼻をかむときは、片方ずつ、優しく短くかむことを意識しましょう。
参考:真珠腫性中耳炎|済生会
強い耳抜きを何度も繰り返す
耳が抜けきらないからといって、バルサルバ法(耳抜き)を自己流で何度も強く繰り返すのは避けましょう。強い耳抜きには、次のようなリスクがあります。
- 中耳の圧力が急激に上がり、鼓膜を傷つける
- 鼻水や分泌物が耳管を通して中耳へ逆流し、炎症を招く
- うまくできないまま無理に続けることで、症状がかえって悪化する
耳抜きはあくまで「やさしく1〜2回試す」程度にとどめ、うまく抜けない場合は無理をせず、時間を置くか耳鼻咽喉科に相談することが大切です。
突然の難聴・耳鳴りを「そのうち治る」と様子見する
耳の詰まりの中には、時間との勝負になるものがあります。次のような症状がある場合、「様子を見る」という判断そのものがリスクになります。
- 突然、片方の耳だけ聞こえにくくなった
- 耳の詰まりに加えて、耳鳴りやめまいを伴う
- 症状が日に日に強くなっている
- 自分の声が大きく響き、日常生活に支障が出ている
特に突発性難聴では、内耳で音を電気信号に変える「有毛細胞」が壊れると再生しないため、治療が遅れるほど聴力が戻りにくくなります。発症から48時間以内の治療開始が理想的とされ、1か月以上放置すると障害が固定化し、その後の治療で回復が得られない可能性が高くなります。
「様子を見る」判断は、気圧変化の後に一時的に詰まった、耳垢が原因とわかっているなど、原因がはっきりしている軽度なケースに限定しましょう。
耳の詰まりを感じる際は愛知淑徳大学クリニックへ
愛知淑徳大学クリニックの耳鼻咽喉科では、耳・鼻・のどの一般診療に加え、聴覚障害や補聴器の相談、めまい・平衡障害の診療に対応しています。
アクセス・診療時間
- 所在地:〒480-1146 愛知県長久手市片平二丁目1401(愛知淑徳大学長久手キャンパス隣接)
- 電話:0561-62-1222(代表)
- 診療時間:午前の部 10:00〜13:00(受付9:30〜12:30)/午後の部 15:00〜18:00(受付14:30〜17:30)
- 休診日:土曜・日曜・国民の休日、夏季休業(8月12日〜8月17日)、年末年始(12月29日〜1月3日)
- アクセス:地下鉄東山線・本郷駅から市バス「猪高緑地(愛知淑徳大学)」終点下車/藤が丘駅から名鉄バス「愛知淑徳大学」終点下車/Nバス「淑徳大学」下車。駐車場あり(高さ制限2.3m)
診療時間や担当医は変更される場合があります。受診の際は、最新の情報を公式サイトでご確認ください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、診断・治療を行うものではありません。症状や適切な治療は個人によって異なります。気になる症状があるときは、医療機関を受診してください。

