
初年次教育部門長
中嶋 真弓(文学部教育学科 教授)
小1プロブレム、中1ギャップについていろいろな場で話題となり、それをどのように克服するかという議論がなされます。これらが物語っているのは、次につなぐ難しさです。しかし、それは小学校や中学校に限ったことではなく、大学においても例外ではありません。大学に入学すると、生徒から学生になります。高校までの習う学びから主体的に修める学びへの転換、自ら課題を発見し解決していく主体的な学び手となってこそ、学生といえるのです。その自己実現を長期的にサポートする、スタート地点に位置するのが初年次教育です。
初年次教育は、高校での学習から大学での学修を身に付けるための「導入教育」と高校生までに身に付けておくべき学習内容の補習としての「リメディアル教育」の二つの柱があります。
本学では、教育理念「違いを共に生きる」のもと、「10年先、20年先に役立つ人材の育成」をめざし、初年次教育のプログラムを充実させています。その中核を担っているのが「基幹科目」である「違いを共に生きる・ライフデザイン」と「日本語表現1」の全学共通、1年次必修の科目群です。前者では、さまざまな価値観や人生観に触れることで視野を広げ自分の人生設計への認識を深めていくこと、後者では、言語運用能力の基礎から学び、段階的、系統的に学修することで総合的、専門的な学びを構築していくことを目指します。
初年次教育によって、大学での学びをより充実させることが、ひいては、卒業後の人生において大きな支えとなり自信となると考えています。
全学日本語教育主任
吉田 竜也(文学部国文学科 准教授)
我々はどのようにして言葉を獲得してきたのでしょうか。家族、友達、先生……テレビ、絵本などなど、他者の言葉を真似ることから私たちの言葉は始まります。自分の中に取り入れられた他者の言葉は、やがて自分の言葉となっていきます。言葉は外側からやってくるものです。
自分の思ったこと、考えたことをうまく言葉にするにはどうしたらいいのでしょうか。言葉を獲得するプロセスが上記のようなものであるとすれば、その方法は明らかです。他者とのコミュニケーションによって言葉についての力は鍛えられます。ここで言うコミュニケーションに、書物との対話が含まれることは言うまでもありません。
「日本語表現1」をはじめとする日本語表現科目は、実践を通して伝えることの面白さや難しさを経験する場です。複雑な問題に対して、文献の調査を踏まえた上で自らの意見を順序だてて説明したり、複数の意見を比較しながら自分の考えを練り上げたり、また時にはビジネスの場のような特定の状況に即してなど、学修の内容は多岐にわたります。そうした相互的な実践の中で得られた力は、大学生活においてはもちろん、卒業後の人生においても、あなたを支える大きな力となるでしょう。
高大連携教育主任
若山 真幸(文学部総合英語学科 教授)
「ロケットスタート」という言葉があります。「スタートダッシュ」と言い換えた方がわかりやすいかもしれませんね。何事も最初が肝心と言われますが、どのように大学生活を迎えたら良いでしょうか?
本学と「高大連携推進協定」を結んだ高大連携提携校から入学する皆さんが高校での学びを活かしつつ、本学でより専門的な内容を主体的に学習することができるよう、本学の高大連携部門が中心となり、様々な取り組みを行なっています。
例えば、入学前教育としては2つの取り組みがあります。1つめは、国語と英語の「入学前課題」です。これは、高大連携提携校からの入学予定者全員に高校までの基礎学習内容の総復習を行ってもらうことと学習する習慣を継続することが主な目的です。2つめとして、例年、3月中旬に入学予定者に対して本学教員による「入門講座」を実施して、大学での学修意識を高めてもらいます。
他にも、大学生活を積極的に明示化しています。その例として、「学生生活報告会」があげられます。ここでは、高大連携提携校出身の本学在学生が、母校の後輩に向けて入学後の大学生活についてプレゼンテーションをします。身近な先輩たちからの情報を通して、大学入学を目指して目標を持って学習することが期待されます。
高大連携部門では、高大連携推進提携校と継続的に情報交換をしながら、皆さんにとって魅力的な学びの場を提供できるように努めていきたいと考えています。