松田樹/まつだいつき

メッセージ

書くこととは、生きることです。
日本の近代文学は、書くことと日常生活がピッタリと結び付いてしまった人々によって構成されてきました。芥川龍之介、太宰治、三島由紀夫…それによって壮絶な最後を辿った者もいるわけですが、文学史をひもとけば、かつて書くことにはある種の使命感がまとわりついていたことがうかがい知れます。このような神話は、私が研究してきた中上健次という小説家に至るまで、その昔、強力に受け継がれていたように思います(中上は空港の肉体労働をしながら、その空き時間にトイレのフタの上でも書いていたことが有名です)。
しかし、今の時代でも、本当に「文学」をしようとするならば、書くという行為はそのようなものであるはずです。自身の核になるテーマを探し、それを表現に結びつけていくこと。そして、それが逆に、よりよく生きることに繋がってゆくこと。そのような書き、考え、生きることのサポートができればと考えています。

担当授業科目

基礎講読
基礎演習I
言語表現入門b
クリエイティブライティングライティングf
講読演習c

演習について

主に、日本の戦後から現代にかけての文学作品と文芸批評を扱います。
われわれと同じ時代を、言葉を駆使してかけ抜けた作家たちの試みを一緒に学んでいきたいと思います。読みたい人、書きたい人、言葉を用いてこの社会のことを考えたい人たちを大歓迎します。

研究課題・活動など

日本の近現代文学。とくに、1970年代から90年代に活躍した中上健次という作家を中心に研究を進めてきました。その前後の時代の文学との関係性(タテ)や、批評や思想や政治など隣接した分野との相互乗り入れ(ヨコ)など、時代や領域を行きつ戻りつしながら、中上やその周辺の日本の文学作品を読んでいます。

略歴

〈学歴〉
神戸大学 文学部 人文学科 卒業
神戸大学 人文学研究科 文化構造専攻 博士前期課程 修了
神戸大学 人文学研究科 文化構造専攻 博士後期課程 修了

〈職歴〉
日本学術振興会 特別研究員(DC1)
京都芸術高等学校 非常勤講師
追手門学院大学 非常勤講師
京都精華大学 非常勤講師
神戸市外国語大学 非常勤講師
神戸大学人文学研究科 研究員