酒井 晶代/さかい まさよ

メッセージ

誰もがかつては子どもでした。
でも、大人になった私たちは子どもの心や身体をまるごと追体験することはできません。一方で、ふとした瞬間に子どもの頃の感覚や心情がまざまざと呼び起こされる経験もまた、多くの人が持つことでしょう。子どもは遠いようで近く、近いようで遠い存在です。その子どもに文学の方法から迫り、言葉や物語を通して彼らと交信しようとするのが児童文学です。
児童文学の書き手は大人、主たる読み手は子どもです。この落差を逆手にとって、児童文学は子どもたちとどのように対話できるのでしょうか。また、子どもと大人の境界が見えにくくなった今日、それでもなお子どもに向けて書きうる・語りうる作品があるとしたら、それはどのような姿をしているのでしょうか。
自分のなかの内なる子どもや、目の前にいる他者としての子どものありように目を凝らしながら、一緒に考えていけたらと思います。

担当授業科目

児童文化論
基礎演習Ⅰ
基礎演習Ⅱa
基礎演習Ⅱb
児童文学
講読演習b
演習Ⅰ(4)
演習Ⅱa(4)
演習Ⅱb(4)
演習Ⅲa(4)
演習Ⅲb(4)
卒業プロジェクト

演習について

現在のゼミでは、児童文学の研究と創作(絵本を含む)に取り組んでいます。
2年後期は明治から昭和戦前期までの代表的な作品を講読します。3年前期には短編童話を執筆し、公募にチャレンジします。3年後期以降は個々のテーマやモチーフに沿って創作や評論を執筆し、互いの作品を批評しあう合評形式の授業になります。
書き、読み、推敲することを繰り返し、自身の児童文学体験も振り返りながら、子ども読者と交信する手がかりを見つけていくことが目標です。

ゼミ旅行・企画

ゼミ旅行は、3年生の夏休みに実施することが恒例になっています。
絵本美術館の見学や、短編作品の執筆・合評会が定番メニューです。

研究課題・活動など

専攻は日本児童文学史。明治から昭和戦前期までの児童雑誌を主な研究対象としてきました。近年はこれに加えて、企業が実施した児童文化事業、具体的にはおまけや懸賞の賞品、またそれらに付随するイベントなどを児童文化史の中に位置づけようと日々模索中です。このほか、仲間と一緒に幼年童話のブックリストを作ったり、絵本史の単行本に論文を書いたり、雑誌で子ども文化時評を担当するなど、広く子ども文化や文化史の視座から児童文学を捉えなおすことに関心があります。
創作指導には、大学に勤務してから携わるようになりました。批評する立場、注文の多い一読者の立場から、創作のサポートができたらと考えています。
所属学会:日本児童文学学会など

略歴

愛知県立大学文学部 児童教育学科卒業
大阪教育大学大学院教育学研究科 国語教育専攻(修士課程)修了
財団法人大阪国際児童文学館に勤務し、児童文学の調査・研究に従事したのち、1995年から愛知淑徳短期大学へ。2000年度より愛知淑徳大学文化創造学部教員。2010年度より同メディアプロデュース学部教員。2016年度より同創造表現学部教員。