
2026年8月19日(水) 星が丘キャンパス 5号館53A
観光を学ぶ高校生と本学の学生が学びを共有する交流会を開催。
観光についての新たな視点が得られる場となりました。
本学の交流文化学部では2025年度より、観光や地域活性化について学ぶ高校生と大学生が、それぞれの研究成果や実践活動を発表し合い、進路選択や学びの深化につなげることを目的とした交流会を開催しています。その第2回目が2026年8月19日(水)に行われました。参加者は東海3県の高校で観光や地域、国際交流を学ぶ高校生13名と、本学交流文化学部の学生26名。前半の部では、高校生5組と大学生5組が、観光や地域活性化に関するプレゼンテーションを行いました。
■高校生プレゼンテーション
①「足助高校観光科について」
愛知県立足助高等学校 観光ビジネスコース

愛知県立足助高等学校には、香嵐渓や重要伝統的建造物群保存地区に指定された古い町並みなど、豊かな観光資源を有する足助のまちを題材に、地域の魅力や課題について探究的に学ぶ観光ビジネスコースがあります。生徒3名が壇上に立ち、足助のまちの関係人口を増やすために実施した取り組みを発表しました。これまでに「足助スタディツアー」「とよたの魅力発見ツアー」「小学校総合学習プロデュース」など、バスツアーや愛知県内の小学生を誘致するフィールドワークを企画したことを紹介。さらに、昨年度は紅葉時期以外にも観光客を呼び込むための足助巡りイベントを開催したことにも触れました。このイベントではクラウドファンディングを募り、約2週間の短い期間で多くの支援が得られ、「応援が力になった」と手応えを語りました。「今後も足助の魅力を積極的に発信していきたい」とまとめました。
②「万博跡地 世界が循環する観光都市へ~人を集める観光から、人と地域が育つ観光に」
聖カピタニオ女子高等学校

聖カピタニオ女子高等学校からは、生徒1名がプレゼンテーションに挑み、大阪・関西万博の跡地の活用方法についての考察を発表しました。インターネットでのアンケートや愛・地球博記念公園の利用者へのインタビュー、万博跡地の現状調査を踏まえて、跡地の活用方法として「EXPOワールドシティ」の建設を提案しました。世界の文化や海外の先進技術の体験コーナーや、世界の食やものを購入できるグローバルマーケット、1年中eスポーツやライブ、国際会議などのイベントが開かれるホールなどの空間を集めた場所であることを説明。「万博跡地が地域経済を動かし、その効果が日本全体へ広がり、未来を育てる場所になってほしい」と願いを話しました。
③「なぜ、白川郷は世界から選ばれるのか」
岐阜県立岐阜商業高等学校

岐阜県立岐阜商業高等学校の生徒2名は、岐阜県大野郡白川村にある白川郷が、世界中の観光客から選ばれ続ける理由についての考察を発表しました。食べ歩きなどのグルメが充実している点や、景観を守るためのルールがしっかり決められている点、四季折々の風景が見られる点など、白川郷の魅力を3つに分けて紹介。現地調査や魅力の深掘りから、「豊かな自然と、周囲の環境に調和するようにつくられた建物と人々の暮らしが一体となっていることが、観光客から評価されている理由なのではないか」と見解を述べました。さらに、白川郷がより良い観光地となるための提案も示しました。現地調査でごみ箱が少ないと感じた点に着目し、「ごみ箱を増やすと景観が損なわれるため、ごみは持ち帰るというルールを伝える必要がある。ピクトグラムを活用したら外国人観光客にもわかりやすいのではないか」と、提言しました。
④「岐阜の魅力を発信!チーム総合観ビジ系列の考えるバスツアー」
岐阜県岐阜総合学園高等学校

岐阜県岐阜総合学園高等学校の観光ビジネス系列から、プレゼンテーションに挑んだのは生徒1名。「高校生が主体となって企画、運営をする日帰りバスツアーは、観光客の新陳代謝につながるのか」を研究テーマに据え、実際にツアーを企画して実施し、検証結果を発表しました。岐阜県や企業に採択されたのは、郡上市のバスツアー企画。生徒たち自らツアーガイドを務めました。参加者からは、「楽しかった。また参加したい」という声だけでなく、「高齢者には昼食が多かった」「言葉遣いや態度が気になった」といった厳しい意見もあったと言います。課題は後輩に引き継ぎ、「今回得た学びを生かして今後も岐阜県の観光産業に貢献していきたい」と、意欲を語りました。
⑤「泉の観光ビジネス」
愛知県立春日井泉高等学校

愛知県立春日井泉高等学校の生徒2名は、授業で学んでいる「観光ビジネス」について発表しました。日本の観光ビジネスの特徴や最近の動向などを学習し、フィールドワークに取り組んだことを紹介しました。「観光を考えることは、地域の魅力や課題を掘り下げ、活性化につなげていくことでもある」と、得た学びについて話しました。さらに、京都大学や中部国際空港など、観光の研究者や業界で働く人を招いた特別講義も行われ、「観光は単に人が移動するだけではなく、人と地域を結ぶ架け橋になれるということが学べた」と伝えました。今後はこれらの経験を大学での学びにもつなげ、「地域の魅力を多くの人に伝えたい」と、目標を語りました。
■大学生プレゼンテーション
「三重県大紀町錦地区の未来のために私たちができること」
交流文化学部 交流文化学科 前島ゼミ
赤尾翔遥さん

三重県大紀町錦地区への移住者を増やすために、観光から移住へつなげていく方法について考察した内容を発表。現地調査をしたうえで、空き家の多さや、地域にお金を落とす仕組みが整っていないという課題に着目しました。そこで提案したのが「空き家を活用した体験型宿泊施設の設置」です。宿泊者に地域の人たちとの交流を通して錦地区の暮らしや魅力を知ってもらい、「ここで暮らしたい」と思った人にはそのまま住宅として空き家を提供するという内容です。さらに、移住後の生活を地域全体で支える仕組みを整えることも重要だと述べました。「空き家を人と地域をつなぐ拠点として活用し、移住者も地域住民も安心して暮らせる移住支援を整えることで、空き家問題の解決や移住者の増加、地域の活性化につなげたい」と提案しました。
「男女で分かれることは、本当に必要?」
交流文化学部 交流文化学科 大堀ゼミ
大野愛佳さん/古田萌颯さん

観光に関わる身近なものとして「トイレ」「旅」「職業」の3つを挙げ、その男女観について考察しました。まずは、世の中で男女共用トイレが増加傾向にあること。そして、海外の一人旅において「男性がするもの」から「女性もするもの」というイメージに変わりつつあること。職業については、看護師、キャビンアテンダントなど職業名が性別を限定しないものへ変更されつつあることなどを踏まえ、現代では男女の2択だけではない選択肢が生まれていることを紹介。しかし、アンケート調査では、『選択肢が増えても男らしさ、女らしさという固定観念はなくなっていない』ことも明らかになりました。観光の視点から現代社会における課題に気づくことができ、観光やサービス産業においても、多様な価値観や個人の選択を尊重する視点の重要性について説きました。
「スペイン周遊ツアープランニング~Don Quixote 聖地巡礼~」
交流文化学部 交流文化学科 杉本ゼミ
田中千尋さん

スペインの古典文学『ドン・キホーテ』と、その作者セルバンテスの聖地を巡礼する12日間の観光プランを提案。コンセプトは「物語の主人公で騎士のドン・キホーテが見た世界を追体験する旅」。企画意図について「物語に登場する土地を訪れて追体験することで、より物語への理解が深まると感じた」と田中さんは話します。さらに、自身が現在、杉本ゼミで研究しているテーマ「アニメやコンテンツツーリズムをはじめとする物語消費論と、フランスの文学理論家ジェラール・ジュネットが提唱したパラテクスト※という概念との関連」の話題を挙げました。この研究内容と、企画した観光プランを照らし合わせ、コンテンツをきっかけとした観光行動が地域への関心や理解を深める可能性についても紹介。「現地の観光体験という外部のパラテクストが人々の作品体系をどのように拡大し、記憶に残るものとなるのか、今後も研究を進めていきます」と、結びました。
※パラテクストとは、本のカバー、帯、キャッチコピー、映画の予告編など、作品の印象を大きく左右し、重要な役割を果たすすべての要素のこと。
「観光学を学ぶメリット」
交流文化学部 交流文化学科 野口ゼミ
山田莉子さん/東優葉さん/安田圭吾さん

昨年度、長野県下條村で実施した活動について紹介。りんごなど果実栽培が盛んな地域である下條村は、農産物の加工やシードルの醸造など、地域の特産物を生かした取り組みが行われています。3名は現地調査や地域の魅力の発掘、課題の分析を通して、下條村に若者を呼び込むための案を模索。シードルを入り口に、野口ゼミで研究しているワインツーリズムの考えを反映し、「地域食材とのペアリングやお酒を通じた地域との交流が楽しめる体験を、酒離れが進む若者に向けて考案していきたい」との内容を発表しました。フィールドワークを通じて、「地域住民との対話や課題発見の手法を学び、地域活性化に貢献する力が身についた」と、メリットを実感できたことを語りました。
「白川郷で学ぶ『生きる力』」
交流文化学部 交流文化学科
冨岡紗衣さん

白川郷がインバウンドによる観光客の増加やオーバーツーリズムといった問題に直面していることに注目。観光地として発展していくことと、そこに住んでいる人たちの生活や自然を守ることを両立し、持続可能なまちづくりには何が重要かを考察しました。冨岡さんは白川郷に住む人たちと対話することで、「昔と同じことをするだけではなく、時代に合わせて変化していくことも大切ということに気づいた」と言います。例えば、家の前にコンクリートを敷くことは景観を壊すと言われていたものの、生活の不便さを訴える住民が時代とともに増え、現在はある程度許容されているとのこと。冨岡さんは、「地域に住む人たち自身が幸せな暮らしが送れるように考えることも大切。住民自身がまちづくりに関わることが、持続可能なまちづくりをしていくうえで重要だ」と、学びを述べました。




後半の部ではラウンジスペース「Study Hall」にて、交流文化学部 交流文化学科 観光専攻の学生によるポスター発表と、交流の場が設けられました。高校生たちは、ポスター発表の内容を自由に見学したり、プレゼンテーションで興味を持った大学生に直接話を聞きに行くなど、活発に交流しました。参加者たちは、研究内容だけでなく、大学生活やゼミ活動、進路選択についても意見交換を行い、高校生にとっては大学での学びを具体的にイメージする機会となりました。
本学の学生からは、高校生の発表について「高校生がツアーを企画してガイドをするなど、実践的でレベルの高い内容に驚きました」との声がありました。また、高校生からは「物語から観光を考えるなど、自分たちにない視点がたくさんあり、とても興味深かった。大学に進んで、自分もそういったことを学んでみたいと思った」との感想が寄せられ、互いに良い刺激を受け合う場となりました。
今後も交流文化学部では、高校生と大学生が学びを共有し、観光を通じて地域や社会について考える機会を継続的に提供していきます。