追究

2024年12月23日

メディアプロデュース専攻 宮田ゼミ「演習Ⅰb」デザイン提案のための見学&レクチャー

 2024年9月2日(月)愛知県農業総合試験場
9月24日(火)、10月1日(火)長久手キャンパス712教室

イチジクの新品種をブランド化するために、
学生たちのアイデアに期待が集まりました。

 本学の創造表現学部 メディアプロデュース専攻では、多様化が進むメディアの特性を理解し、社会に対して的確な情報発信ができる人材育成をめざしています。中でも宮田ゼミでは「メディア社会とデザイン」をテーマとして企業とコラボレーションし、デザイン提案をとおしてさまざまな課題解決に取り組んでいます。
 今回は愛知県農業総合試験場とコラボレーションし、同試験場が開発しているイチジクの新品種について、PR方法やPRにあたっての企画などを学生たちから提案することで、愛知県の農業活性化に貢献していきます。
 9月2日(月)は愛知県長久手市にある愛知県農業総合試験場の本場に訪問し、イチジクの新品種がどのように研究・開発され、育成されているのかを見学しました。

■9月2日(月)愛知県農業総合試験場にて

 学生たちが試験場に着くと、園芸研究部 落葉果樹研究室の堀川英則さんからイチジクの新品種について概要を説明していただきました。新品種は現在、研究開始から7年目となり、今年度は着果(花が咲き実が着くこと)の安定性、樹勢(樹木の生育状態)の調整、食味の評価に取り組んでいると言います。新品種が目指すのは「皮ごとたべられる」こと。イチジク界のシャインマスカットのような存在になるのが理想と抱負を語っていただきました。また、すでに市場に出ている「桝井ドーフィン」という品種の試食もさせていただきました。その後、新品種が栽培されている本場を見学。現在、イチジクの果実を加害する害虫「アザミウマ」について調査しており、イチジクの木のどの部分にどれくらいのアザミウマが付くのかを調べ、その対策や予防について考えているそうです。
 今回の見学会は、愛知県の農業を支える研究が行われている現地を実際に訪れ、お話を伺うとこで、普段は知ることができない貴重な体験ができました。次回からは長久手キャンパス内に場所を移します。

■9月24日(火)長久手キャンパス712教室にて

 この日は愛知県農業総合試験場の普及戦略部 技術推進室の杉原さんと園芸研究部 落葉果樹研究室の堀川さん、園芸農産課の林さんのお三方が長久手キャンパス712教室にいらっしゃいました。
 最初に杉原さんから愛知県の農業全般についてお話していただきました。愛知県農業総合試験場の役割や組織について、愛知県の農業産出額や品目別産出順位、米や野菜、果樹、花木の産出額など、データを元にわかりやすく解説。また「毎日くだもの200グラム運動」という取り組みを実施していることも教えていただき、学生たちは自分の日常との接点を感じることができました。

 次に堀川さんからは、愛知県のイチジクと、愛知県農業総合試験場でのイチジクの試験研究をご紹介いただきました。堀川さんは果樹や病害虫を専門分野とし、ご自身もブドウやイチジクなどの果樹を栽培するほどで、この日はイチジクの栽培概況、果実の特徴など愛知県のイチジク栽培の基本的な部分から研究室で進行中のイチジク試験研究について教えていただきました。また、イチジクの成長を阻害するキボシカミキリに対する効果的な幼虫防除方法についても解説。さらに育種手法などにも触れ、大きさ72g以上で、糖度が15.1度以上、果皮の着色が安定し美しく、アザミウマ類の被害を受けにくいイチジクの実現をめざしていることも伝えていただきました。専門的なレクチャーをお聞きすることで、私たちの食を支えている研究がどのように進められているのか、その一端を垣間見ることができました。

■10月1日(火) 長久手キャンパス712教室

 この日は前回も来校いただいた愛知県農業総合試験場の普及戦略部 技術推進室の杉原さんと園芸農産課の林さんに加え、同課の明星さん、JAあいち経済連の中野さんの4人の皆さまが長久手キャンパス712教室にいらっしゃいました。
 最初に林さんから果樹ブランド化の取り組みについて説明していただきました。林さんは2023年に入庁し、今年から果樹を担当されているとのこと。林さんからは果樹の消費量の推移や果樹の経営状況などを語っていただいた後、なぜブランド化が必要なのかについてもお話いただきました。ブランド化は生産者の収入や愛知県のブランド力を向上させることで、知名度や競争力を上げ、生産者の減少を食い止める働きがあることを力説し、学生たちはその意義について納得している様子でした。その後、ブランド化に成功した農林水産物の事例を紹介していただき、愛知県においてブランド化を進めているミカン(夕焼け姫)や梨(あいみずき)の取り組み内容も詳しく説明していただきました。

 次に中野さんからは愛知県のイチジクについて教えていただきました。中野さんは西三河地区のイチジク販売を担当されており、イチジクの生態をはじめ、栽培方法、栄養価、流通、販売方法、イチジクを使ったメニューなど、細かな部分までわかりやすく解説していただきました。生産者の方々が丹精を込めて育てたイチジクが、どのような流れで流通し、スーパーマーケットに商品として並んだりカフェのおしゃれなメニューとして私たちの目の前に届くのか、一連の流れを知ることができました。
 その後、愛知県農業総合試験場やJAあいち経済連の皆さんから受けたレクチャーを元に「果物を食べるシチュエーションは?」、「果物を食べなくなった理由は?」というお題についてディスカッションをおこないました。4グループに分かれて議論し、果物を食べるシチュエーションについては「スイーツとして」、「ダイエット時」、「給食のメニューにあった」などの意見が多く出されました。果物を食べなくなった理由については「高価」、「食べるのが手間」、「果物以上においしいものがある」、「日持ちがしない」などの意見が出ました。このディスカッションで出た意見を参考に、これから販売促進のためのPR方法やデザインを考えていきます。

 愛知県農業総合試験場やJAあいち経済連の皆さんからは「斬新なアイデアを期待しています」、「日常的にイチジクを食べていただけるような方法を提案してください」、「イチジクの赤、白、黒といった色に着目して考えていただくのもおもしろいかもしれません」といった言葉が寄せられました。学生たちからどのようなアイデアが飛び出すのでしょうか。今後に期待せずにはいられません。