追究

2025年11月17日

食健康科学部 食創造科学科 特別講演会

2025年9月26日(金) 長久手キャンパス 1号棟 食品加工実習室

コスタリカの日本国大使館で料理長を務める山口勝也様をお招きし、
料理人としての心得や夢を叶えるための秘訣についてお話しいただきました。

 本学の⾷健康科学部 ⾷創造科学科では、「⾷品開発」を「⾷創造」と捉え、実践的な学びを通じて⾷に関する多様で専⾨的な知識の修得を⽬指しています。近年、海外では⽇本⾷が注⽬され、⽇本⾷ブームが広がっています。そこで今回は、コスタリカの⽇本国⼤使館で料理⻑を務める⼭⼝勝也様に来校いただき、コスタリカでの仕事の話をはじめ、出汁の取り⽅、盛り付けの妙技などの実演を交えた特別講演会を2025年9⽉26⽇(⾦)に開催しました。

 特別講演会には⾷創造科学科の2年⽣が参加。まず、鯛とマグロのお造りについて、⼭⼝様から「切り⽅や盛り付けによって、味が違って感じられる」とのお話があり、ポイントは「⾓を⽴たせること」だと伝えられました。マグロは筋に直⾓に切ることで⾓が⽴ち、⾒た⽬も美しくなります。実演を交えた説明に、学⽣たちは興味津々で⼭⼝様の⼿元を⾒つめていました。最近は、⼤⽫にたくさん盛るよりも、⼩⽫に少量を⽴てて盛り付け、ワサビを添えるシンプルで上品な⼀⽫が日本では流行っているそうです。公邸料理⼈として勤務する前に積み重ねた和⾷店での経験をもとに、実践的なお話を伺うことができました。

 そして次に、素材の旨みを存分に引き出す出汁のとり方について教えてもいただきました。「基本は昆布とカツオを合わせたものをお出汁と呼びますが、昆布だけでもお出汁ということもあるし、カツオだけでもお出汁ということもあります」と出汁の基本について山口さんは説明されました。そして、山口さん流の昆布出汁のとり方について、「60度で1時間煮出すことにより、昆布の旨みが最もよく引き出せる」と、経験から得たコツを惜しみなく伝授してくださいました。
 次に、カツオ出汁のとり方を実践してくださいました。鍋肌に水泡がぽこぽこ付きはじめる70度ぐらいで、お湯にカツオを投入。さらしやキッチンペーパーを間にかませて濾す場合もありますが、山口様はそれらを使わないそうです。その理由は、カツオの細かい粒⼦が沈殿することにより、時間とともに旨味成分をじわじわと⾜してくれるという考え⽅にあります。このように料理人は皆、「試行錯誤を重ね、自分の味を確立する」という山口様の教えは、学⽣たちにとって貴重な知⾒を得る機会となったのではないでしょうか。

 料理技術だけでなく、コスタリカでの仕事についても話してくださいました。山口様の仕事は、コスタリカ大使館で、大使の意向に沿った料理を提供することです。1000人前ほどの料理を、材料の手配から何日もかけて準備をします。時には、「紫蘇が食べたい」という要望に応えるため、現地では手に入りにくい紫蘇をプランターで栽培することもあります。「日本の食材が現地ですべて揃うわけではないので、手に入るものをどう活かしていくかが大事」と山口様は仕事をうまく進める術を学生たちに伝えてくださいました。

 また、学生たちに「目標を明確にすること」の大切さも強調しました。「目標がぼんやりしていると辿り着けない」と語られ、ご自身が人生設計をしっかり立て海外で働く夢を実現した経験を紹介しました。さらに、おいしい料理を提供するためには気持ちよく仕事をすることが重要であり、そのためのコミュニケーションの大切さを熱心に伝え、将来に向けて学びを深める学生たちに、力強いエールを送ってくださいました。

 今回の特別講演会は、食文化の奥深さに触れ、国際的な視野を広げる貴重な機会となり、学生の将来への意欲を一層高めるものとなりました。今後も食創造科学科では、特別講演会や学修を通じて、専門知識と技術を実践的に学べる環境を提供していきます。