追究

2026年03月06日

教志会 第11回「教員養成特別講座」

2026年1月28日(水)長久手キャンパス

現職の先生たちから
今求められている「子どもが主役」の授業づくりを学びました。

 愛知淑徳大学には、教職課程履修者と現職で活躍する卒業生をつなぐコミュニティ「教志会(教員を志す者の会)」があります。その活動の柱の一つとして、愛知県総合教育センターとの協賛事業である「教員養成特別講座」を毎年開催しています。2026年1月28日(水)に開催した本講座は、今年で11回目を迎え、愛知県総合教育センターより各教科のスペシャリストを講師としてお招きしました。単なる「教え方」の伝授にとどまらず、ICTの活用や多様性の尊重など、現在の教育現場に求められる「学びの転換」を体感できる、極めて実践的な内容となりました。

 以下では、各教科の特別講座の様子をご紹介します。

国語 杉山寛仁先生

 国語の講座は、自分を漢字一字で表現する自己紹介から和やかに始まりました。メインワークでは「語彙の探究」をテーマに、「驚く」という感情を深掘りしました。学生たちはグループで協力し、辞書を活用したり自身の経験を振り返ったりしながら、「驚く」に代わる多様な表現を模索。さらに、それらの言葉を用いて自分の心情を表現する一行詩を作成しました。杉山先生は「これからの授業は、教師が知識を一方的に授けるのではなく、子ども自身が学び取る形への転換が大切です」と語り、言葉の一つひとつに宿る繊細な意味に子どもたちが自ら気づき、世界を広げていくための「伴走者」としての教師像を示しました。学生たちは改めて言葉に触れる楽しさを実感し、授業への意欲を高めていました。

英語 山田和幹先生

 英語の講座では、言語材料を「理解させる段階」と「使用させる段階」の切り分けについて、実践的なデモンストレーションが行われました。山田先生が強調されたのは、その言語材料が使われる「自然な場面」をいかに作るかという点です。不自然なシチュエーションでは、言葉の意味が真に定着しないからです。 デモンストレーションでは、一人の学生を教卓に呼び、先生が話す簡単な英語の指示に従って学生がジェスチャーを行うワークを実施。言葉を聞いて即座に行動へ移すことで、英語を頭で考えるのではなく、感覚として「理解」し「使用」するプロセスを体感しました。学生たちは、文法を教え込むこと以上に、学習者が思わず動きたくなるような環境づくりの重要性を深く学んでいました。

社会 伊藤直宏先生

 社会科の模擬授業では、「桃太郎」という誰もが知る物語を題材に、現代の法的な視点からその是非を問うというユニークな試みが行われました。学生たちは裁判員になりきり、桃太郎の行動が「罪になるか、ならないか」をディスカッション。「罪になる」と答えたグループからは、「桃太郎の独断による武力行使であり、無抵抗な鬼への暴行は過剰防衛ではないか」といった鋭い意見が上がり、馴染みのある物語が全く別の側面を持って見えてくる驚きを共有しました。後半の講義では「Society 5.0」やデジタル革命に触れ、既存の価値観が揺らぐ時代だからこそ、情報を多角的に分析し、自分なりの正解を導き出す社会科教育の必要性が説かれました。

保健体育 中野佳美先生

 体育の講座では、体育館にて〝手でつかんでもいい〟という特別ルールのバレーボールが行われました。身体能力の差を問わず、全員がボールに触れ、ワンチームで楽しめるこの工夫は、教育現場での多様性への配慮そのものです。後半の講義では、体育教員の多くが「スポーツが得意な層」であることを指摘した上で、「スポーツが苦手な子にこそ、何を学んでほしいかを考えてほしい」という問いが投げかけられました。体育の楽しさは「する」だけでなく「見る・支える・知る」という多面的な関わりにあること。生涯にわたって心身の健康を保持し、豊かなスポーツライフを実現するための資質を育むという体育教育の本質的な目的を、学生たちは自身の経験を越えて深く刻み込んでいました。

幼稚園 加藤綾子先生

 幼稚園の講座では、保育現場でも活用できるジャンケン遊びを体験したり、4人1組のグループワークで、3歳児クラスの「ある幼稚園の1日」を追体験したりしました。グループワークでは、幼稚園の1日のスケジュールが共有され、時間帯ごとに起こり得る課題について、どのように対応するかを考えました。例えば、片付けの時間になっても「恐竜を作りたい」とブロック遊びをやめない子どもへの対応では、保育者は「集団の規律」と「子どもが熱中する気持ち」の間で葛藤する場面に直面します。園児にどのような言葉をかけるべきか、学生たちは真剣に考え、意見を出し合いました。発表では、「次の活動への期待感を高める声かけ」や「作品を認め、形に残す工夫」など、保育者ならではの視点が次々と挙げられました。講座の最後には、「どの子も大好き」とという根底の愛、そして保育者自身が心に余裕を持つためのワークライフバランスについての助言もありました。理想論だけではない、プロとしての責任感と愛情にあふれた保育の在り方を学ぶことができました。

小学校 櫻井亮二先生

 小学校の講座では、「主体的な道徳科授業づくり講座」「みんなが笑顔になれるゲーム講座」「1人1台端末を活用した授業づくり講座」の3つのテーマで講義が行われました。道徳科の授業づくりでは、授業で目指すことや目標、成立要件などについて学びます。道徳科は知識を教える授業ではないため、ゴールが見えにくいと感じることもあります。学生たちは、道徳科が子どもたちの成長にとって重要な役割を担う授業であること、そして授業づくりにどのような工夫が求められるのかを理解しました。ICT活用の講義では、1人1台端末(タブレット)を効果的に活用した授業の事例が紹介されました。授業風景を収めた動画からは、子どもたちが楽しそうに学ぶ様子が伝わり、学校現場にICTが定着しつつあることがうかがえます。その後、学生自身もタブレットを使ったワークを体験しました。櫻井先生が講義の中で強調されたのは、「ICTを使うこと自体を目的にするのではなく、子どもが自発的に学び、考えを深めるための『ツール』として活用する」という考え方です。タブレットを通して意見を共有し合う子どもたちの姿を想定しながら、操作スキルの習得だけではなく、子どもたちが「もっと知りたい」「もっと考えたい」と感じられる授業づくりについて学ぶ貴重な機会となりました。