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創造表現学部 特別講義「ゲーム業界に学ぶ、クリエイティブ職のリアル―開発現場から語る、求められる人材とキャリアの作り方」

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創造表現学部 特別講義「ゲーム業界に学ぶ、クリエイティブ職のリアル―開発現場から語る、求められる人材とキャリアの作り方」

2026年8月5日(水) 長久手キャンパス7号棟7B2

ゲーム業界の働き方を通じて、
クリエイティブ職で求められる人材やキャリアの描き方を学びました。

 創造表現学部 創造表現学科 メディアプロデュース専攻では、映像や写真、デザインなどの表現技術を学びながら、メディアの特性を理解し、社会に対し適切な情報発信ができる人材を育成しています。

 2026年8月5日(水)には、授業「ヴィジュアルメディア」の受講生を対象に、「ゲーム業界に学ぶ、クリエイティブ職のリアル―開発現場から語る、求められる人材とキャリアの作り方」と題した特別講義を開催。ゲストスピーカーとして、サミー株式会社でスマホ用ゲームアプリ「m HOLD’EM」のプロデューサーを務める菅井太治様をお招きしました。

 この講義は、担当の阿部卓也先生が、学生から「ゲーム業界への就職の仕方が分からない」という相談を受けたことがきっかけで実現した企画です。ゲーム業界に限らず、クリエイティブ職での働き方やキャリア・デザインを考えることが授業の目的でした。

 まず、菅井様は、ご自身の経歴を簡単に紹介。学生時代からゲーム業界への就職を目指しつつも、新卒ではゲームではないソフトウェア会社のプログラマーとしてキャリアを開始。2年後に株式会社セガに転職して、ゲーム業界に。プログラマーとして7年間の経験を積んだ後、セガサミークリエイション株式会社に移籍してディレクター職に。さらに6年後の2019年からは現在のサミー株式会社のプロデューサー職へと、目標を持ち続けながらキャリアを築いてきた歩みが解説されました。

 続いて菅井様は、ゲーム業界の市場規模や業界構造を概説。ゲームは、映画、音楽、アニメなどと比べても世界市場が圧倒的に大きく、業界の継続成長率も年5~10%と成長を続けているとのこと。その上で、一口にゲーム会社と言ってもパブリッシャー(発売元)、デベロッパー(開発専業)など様々な業態があり、その中で企画全体の責任者となるプロデューサー、現場を率いるディレクター、マーケティングやPR職、プログラマーやデザイナーなど、様々な職種の人たちが力を合わせてゲームを作っていることを、図を用いてわかりやすく学生に伝えていました。

 「ゲーム作品全体を統括したい人は、最終的にディレクターやプロデューサーを目指すことが多いですが、サウンドやデザインなどの専門分野を極めて、そのパートのリード職になっていく人もいます」と、キャリアの作り方が一様でないことも語られました。

 続いて、菅井様自身がプロデュースしたポーカーゲーム「m HOLD’EM」の例を用いて、ゲーム制作の流れを具体的に解説。「m HOLD’EM」が累計250万ダウンロードを記録し、5年も運営を継続できている理由や、苦境から成功の転機となった出来事などが、率直に語られました。ユーザーを飽きさせず、楽しみを提供し続ける継続的な努力がもちろん大切ですが、一番重要だったのは「ファーストペンギン」になれたことだと、菅井様は振り返ります。

 「まだやられていない分野、競争相手が少ないジャンルに、最初に飛び込んでユーザーからの信頼を築いたタイトルは、たとえ後発でより優れたゲームが出たとしても、支持を得続けやすいのです」という菅井様のメッセージは、ゲーム業界だけでなく、クリエイティブな仕事に携わりたいと考えている学生全員の心に、強く残るものでした。

 最後に、菅井様は、ゲーム業界に入りたいと考えている学生に向けて、3つのアドバイスを贈られました。まずは「オタクであること」の重要性。「好きなものを突き詰める姿勢は大切です。その分野での最新動向を知らなければ、企画会議での会話にだって、ついていけません。それに好きな分野であれば、ユーザーと同じ目線でゲームを評価することができる。私はポーカーのゲームを作っていますが、『ポーカー好きの気持ちが分かっていない』と言われたことは、一度もありません。それは、とても大きな武器です。」

 次に、「学生のうちにゲームを1つ完成させて、販売までをおこなうことに挑戦してほしい」という言葉も。「まずはゲームを企画し、完成させましょう。その上で、販売までおこなった経験があれば、就活の場面でさらに大きなプラスになります。販売実績や規模の大小は問いません。価格設定や宣伝をして、誰かに購入されてフィードバックを得ることが大切なのです。その経験は、面接官からも必ず評価されます」と、実践の重要性を説きました。

 3つ目に、「新卒がキャリアのゴールではない」として、少しずつステップアップしていくロードマップの描き方が紹介されました。「新卒の時に、皆が知っている大手企業だけを受けて、落ちたからゲーム業界を諦めるという学生が、とても多くいます。けれども、中小・中堅でも、まずゲーム会社に入ることが肝心です。「完成させた」実務経験を持っている優秀な人材は、どの会社も欲しがります。若いうちなら、実績を積んでの中途採用で大手に転職できる可能性は、十分にある」と、現実的なキャリアパスをアドバイスしました。

 講義後には質疑応答の時間となり、学生から菅井様への質問が、途切れることなく続きました。ゲーム業界に興味がある学生からは「企画から完成、販売まで、1人ですべてのことをやり切る自信がない。1人ではなく、グループで作っても評価されるのか」という質問が。菅井様は、「仲間を1から集める方が、意外と大変。昔は、音楽や絵などは、自分ができなければ仲間を探すしかなかった。でも今は生成AIの助けを借りることができる。だから、まずは1人で作ってみてほしい。生成AIを使いこなせること自体も、企業へのアピールポイントになる」と、背中を押しました。

 一方で、「生成AIの利用には、著作権の不安や、学習データに関するモラル的な抵抗感がある。企業からも逆にマイナス評価になってしまわないか心配」という学生も。この意見に対して菅井様は、「まず、AIに対して無批判ではない、問題意識をちゃんと持っていることが大事だし、企業から見ても信頼できる学生。だからこそ、著作権に触れないよう注意しながら、このように使ったということを語れると良いと思う。怖いからAIを使わないのではなくて、リスクを考えた上で活用していく姿勢を」と伝えていました。

 質問は、ゲーム業界志望ではない学生からも多く挙がりました。例えば、自主映画を作っているという受講生からは「学生のうちに作るものは、自分が作りたいものにするべきか、それとも何が周りに評価されるかを考えて作るべきか」という疑問が。それに対して菅井氏は、「まずは自分が作りたいと思うものを作って、次に、それに対する評価を受けましょう。YouTubeなどに出せば、再生回数という形で反応が見られます。そういった世間からのフィードバックで、次にどう修正していくか、プロセスを踏んでいくことが重要です」と、具体的なステップを助言していました。

 今回の特別講義を通じて、学生たちは今後のキャリアを描くヒントが得られたことでしょう。創造表現学部では、今後も学生一人ひとりの将来に寄り添える、さまざまな学びの機会を提供します。