追究

2026年09月08日

創作表現専攻 瀬古浩司氏インタビュー

2026年8月20日(木) 星が丘キャンパス55B教室

トップ脚本家が明かす「物語の設計図」。
創作表現専攻の学生が瀬古浩司氏へ特別インタビュー

 『呪術廻戦』『進撃の巨人 The Final Season』『チェンソーマン』など、数々の世界的大ヒットアニメでシリーズ構成・全話脚本を手掛ける名古屋市出身の脚本家・瀬古浩司氏。2026年11月7日(土)に星が丘キャンパスで開催される「2026年度なごや文芸週間 公開インタビュー講演『物語はどう設計されるのか アニメ脚本の思考』」に先駆け、創作表現専攻で小説やアニメなどの創作を学ぶ学生による特別インタビューが行われました。

 インタビュアーを務めたのは、創造表現学科創作表現専攻の4人。瀬古氏が手掛ける作品の大ファンであり、自らもクリエイターを目指す学生たちならではの、制作の核心に迫る専門的な質問が相次ぎました。会場に集まった多くの学生たちも、第一線で活躍するプロの言葉に熱心に耳を傾けました。

 学生たちから最初に投げかけられたのは、「原作からアニメ化・映画化する際、どの要素を削り、どの要素を残すのか」という実践的な問いでした。瀬古氏は、「削るか残すか、あるいは足すかという判断には、アニメや映画における『尺(放送時間・話数)』が最も大きく関係しています」と解説。原作の分量が決められた放送枠にぴったり収まるケースは極めて稀であり、多くは尺に合わせて緻密に削ぎ落としていく作業が必要になると語りました。例えば代表作である『呪術廻戦』では、第1期は2クール(全24話)でというオーダーがあったため、まず「どのシーンを最終話にするか」というゴールを先に設定し、そこから逆算して各話の構成を組み立てていったという具体的なプロセスが明かされました。

 さらに質問は「1話ごとの区切り方」や「次話への期待感をネタバレさせずにどう高めるか」という演出論へ。物語のテンポ感や視聴者の心理を計算し尽くした緻密な構成術に、学生たちは深く聞き入っていました。

 インタビューの後半は、脚本家という職業の領域に迫る質問が続きました。色彩、演出、作画、音楽、声優など多岐にわたるアニメ制作現場において、「脚本家としてどこまで要望を出すのか」という問いに対し、瀬古氏は「基本的には脚本を渡したら各セクションにお任せします」と回答。ただし、オリジナル作品を手掛ける際には、演出面などに具体的なリクエストを伝えることもあると明かしました。

 また、オリジナル作品と原作付き作品の執筆アプローチの違いについても言及。ゼロから生み出すオリジナル作品が「⾃分の中から湧き出てくるものを表現する作業」であるのに対し、すでに物語が存在する原作付き作品は、その世界観を最大限に尊重しながらより魅力的な映像作品へと昇華させる「難しいパズルを解いているような感覚」であると表現し、複雑な正解を探求し続ける脚本家ならではの苦労と工夫を垣間見せました。

 「劇場版とテレビアニメでの制作手法の違い」について問われると、瀬古氏は意外にも「どちらも同じです」と回答。学生たちからは驚きの声が上がりました。尺を正確に計算し、エンディングの着地点を決めてから逆算して組み立てていく手法は、映画でもテレビシリーズでも変わりません。全体の尺の長さに違いはあるものの、すべての脚本を書き上げてから全体を俯瞰し、改めてバランスを考察・調整していくという制作プロセスの本質は共通していると語られました。

 こうして約1時間のインタビューが終わると、学生たちは、第一線で活躍する著名な脚本家に質問したという緊張からほぐれ、その表情は非常に満足げでした。

 11月に開催される講演本番では、運営スタッフとしても活躍する学生たち。その準備企画として実施された今回のインタビューは、プロの圧倒的な思考力と創作への情熱に直接触れ、学生たち自身の「制作魂」に力強く火を灯す貴重な機会となりました。

◾️学生の声

 とても貴重な経験でした。テレビアニメと映画では制作工程は変わらないという点や、最終話から逆算してストーリーを描いていくという話は意外でした。テレビアニメと映画の両方を手がける脚本家ならではの答えが聞けて勉強になりました。
 また私たちの質問に丁寧に答えてくださり、手がけた作品のすべてに愛をこめていたことが伝わりました。
 脚本家にスポットライトをあてた講演会は数少ないと思います。11月の講演会は創作に関わるすべての方にとって大きな学びがあると思います。

左から
創造表現学部 創造表現学科 創作表現専攻
4年 松川琉陽さん
3年 村瀬百華さん
3年 佐藤沙羅さん
1年 森健一朗さん