学生チューター インタビュー

岩谷 彩香さん、有尾 友恵さん、熊谷 桃さん、久保寺 桃花さん

互恵と協同をキーとし、切磋琢磨に努めた2年間

岩谷 彩香さん、有尾 友恵さん、熊谷 桃さん、久保寺 桃花さん

写真右から

・岩谷 彩香(いわたに あやか)さん
チューター歴2年(3~4年次)
文学部国文学科2022年度卒業

・有尾 友恵(ありお ともえ)さん
チューター歴2年(3~4年次)
文学部総合英語学科2022年度卒業

・熊谷 桃(くまがい もも)さん
チューター歴2年(3~4年次)
心理学部心理学科2022年度卒業

・久保寺 桃花(くぼでら ももか)さん
チューター歴2年(3~4年次)
心理学部心理学科2022年度卒業

ライティングサポートデスク(以下WSD)業務に2年間従事し、今年度卒業する、2022年度4年生の岩谷さん、有尾さん、熊谷さん、久保寺さん。彼女たちに、大学生活、およびWSDでの勤務をふりかえるお題を考えてもらい、座談会形式の自由な雰囲気の中で話してもらいました。(聞き手:WSDスーパーバイザー 久保田一充・藤井華子・中村佑衣)

「WSD」を表すキーワード:WSDを知らない他者にどう説明するか

※以下、()内の言葉を補い、会話も一部省略・換言し、再構成しています。

熊谷 桃さん

有尾「(就職活動のとき、WSDでのアルバイトのことを)履歴書にどうやって書いた?」
熊谷「ガクチカ(=履歴書等の「学生時代に力を入れたこと」を記入する項目欄)で、傾聴力が身についたっていうのを書いてたな。あと、寄り添って、みたいなのも書いた」
岩谷「(相談者の多くは書きたいことや悩んでいることの言語化を苦手とする。そうした相談者の言葉を引き出してサポートするために、まずはこちらが)聞きたいことをわかりやすく伝えるのを頑張りましたって書いてたような気がする。結構、(詳しい説明を促すように)「何それ?」みたいにきいてもらえるから」
WSD「「傾聴力」という言葉で出たけれど、WSDのことを人に伝えるときに、どんなキーワードで説明する?」
熊谷「(先の例でいうと、)私はとりあえず(履歴書に)書いて、長いままキャリアセンターにもっていきました。そこで、何が1番大事なのかって、だんだん他の所を削ぎ落して…そうすると、知らない人の立場で、知りたい情報だけが残る。WSDで普段、先生方とか私達がやっているようなことを、(キャリアセンターで)やってもらった」
久保寺「それは何が残ったの?」
熊谷「「学生の文章の困りごとの相談にのる場所です」くらいになる。そこで相手に寄り添って、「傾聴すること」、「質問力」が身につきましたって感じだったかな。「どういう施設なの?」っていうのは、聞かれる前提で、待ってるみたいな。「教えるんじゃなくて、相手の本当にいいたいことを引き出す場所」っていうのは、意識してしゃべっていたかも」
岩谷「実際、私が(これから)働くところも、お客さんとしゃべって、「こういうのも必要ですよね」って提案したりする仕事も一部あるから、(相手のニーズを引き出すという点で)そことも繋げられるかな」
熊谷「絶対どこでも必要だよね」(一同首肯)
久保寺「(私の場合、)WSDのこと話すのは友達と気軽な感じで、「バイト何やってるの?」、「大学1年生の小論文をつくるのを一緒にサポートしているんだよ」みたいな。大体いわれるのが、「塾の先生と何が違うの?」って。「指導じゃなくて、一緒に考えるから、ちょっと違うんだけど」みたいな説明は毎回していたかも」
有尾「友達にいうと、「じゃあ、添削してもらおう」みたいになって、「添削?そういうのではないけど」って。そういう所だって思っている人が多いイメージがある」
久保寺「友達から頼られることが多かった。「できる人」みたいな感じで思われて」
有尾「漢字のミスとかもできないよね」
熊谷「卒論のときとかもあったもんな。「こういうニュアンスで伝えたい」っていわれて、一緒に考えるみたいな」
久保寺「答えは提示しない。わかんないし、一緒に考える」
熊谷「相手の研究、難しいからわからないけど、わからないから質問できる。やっぱりWSDと一緒だなって思いながら、話聞いてたな」

進学先・就職先でも使えるWSDのスキルとは

久保寺 桃花さん

久保寺「基本的なことだけど、相手と話して、わかんないってなったときに、自分の頭のなかだけで考えて進むと失敗する。相談対応でも相手に質問して、「そうだったんだ」ってわかることが多い」
有尾「確認が大切だよね」
久保寺「質問して、自分で突っ走らないっていうのは今後の生活でも、基本的なことだけど活かせるかな」
有尾「いったことそのまま信じて、突き進むとさ、「そういうつもりでいったわけじゃなくて」とか後からいわれて。「こういう風に理解したけど、合ってる?」っていう(こちらから相手に対する)確認は、(社会人として働く)今後も、「ここ、こういう風で合ってますか?」って、聞かないといけなそうだね」
久保寺「私は進学だから大学院でも論文書くけど、(卒業論文を)書く時に「中心文・支持文・結び文」をめっちゃ意識して書いた。話すときも、それが頭の中にあるだけでも円滑になる」
熊谷「キーワードみたいなのは意識するようになった。書くにもそうだし、話すにもそう」
有尾「いいたいことを1つにしぼるみたいなのは、すごく意識するようになった。あれもこれも本当は入れたくても、我慢して欲張らずに、これって決めて、貫くみたいな文章。人と話すときもやっぱ、そういう人の方が説得力あるっていうか、わかりやすいかなって」

所属学科での学びとWSDで磨いたスキルの相関関係

有尾 友恵さん

熊谷「「傾聴」って大事だなとは思っている。心理学っていう特性もあって、困っている人の話を聞きたい、寄り添いたいっていうのはあるから。(WSDは)その「傾聴」を実践的に学んだ場でもあった。大学院とか目指していると実習に行くこともあるけど、(進学希望者でないと、)「その授業は控えてください」っていわれちゃうこともあるから、どうしても学んだだけで(実践の機会がないまま)終わっちゃう場合もあって。それでいくと、WSDは実際に学生さんとお話しができてっていう場ではあったかな」
久保寺「心理学部も最初にクリティカルシンキングって言葉が出てきて、それをできるようになりましょう(といわれる)。学部だと人に伝えることはしなくて、ただ自分で、「クリティカルシンキングしよう」と意識するだけだけど、WSDで「クリティカルシンキングってこういうことだよ」って人に伝え続けることによって、学部の授業でも(自分のなかに)落とし込めた感じはすごくあった」
岩谷「国文学だと、疑って読みなさいみたいなのをいわれてて。書かれていることが本当にそうなのかとか、例えば舞台設定と時期とかを手掛かりにして、読んでいくみたいなところとかは、(WSDにおける)「相談者さんのいっていることを鵜のみにしない」・頭の片隅で、「どういう意味なんだろう?」とか「本当にこういう意味でとっていいのかな?」みたいなのをずっと考えているみたいな、聞いたりとか読んだりとかしている頭と考えている頭とが別に一人いるみたいな感覚と一緒だったかなって思う。学校以外だと、アルバイトとかで後輩とか、話がお互い伝わらなかったりとかして、「どうやったら伝わるんだろう」、「こういうこといっているのかな?」みたいな接し方も、その子と話している頭と、(それとは別に)考えている人がもう一人いるみたいなのがあって、それは(国文学やWSDでの学びと)繋がっている感じがしていた」
有尾「逆に(所属する総合英語学科の)授業が役に立ったっていうところでいうと、(総合英語学科の授業では、)プレゼンテーションは、内容もそうだけど、内容よりも、身振り手振りとか、聴衆に対して目くばせできているかとか、楽しませているかみたいな、そういうとこをチェックされていた。WSDだと静かな空間で、真面目にやらないといけないんで、(同じ形での実践は)しないんですけど、相談もずっと真面目にやるだけじゃなくて、ちょっとジョークみたいなのを入れて、(相談者さんに)「楽しかったな」って思ってもらえるようなセッションを実は心がけていて。ちょっと笑いが出てくるようなセッションができたかなって、それは役に立ったかなって思います。自分、人の前に立ってしゃべるのがすごく苦手で、授業の方でも緊張して、声も震えちゃうし、目もうろうろしちゃうしって感じだったんですけど、オープンキャンパスのときに、(WSDスタッフとして)ずっと人前でしゃべり続けるみたいな、疲れてもう、緊張とかもうなくなったみたいな。WSDでプレゼンテーションをやったおかげで、人の前で話すのもあまり緊張しなくなった。緊張するけど、緊張しながらもしゃべれるようになって、授業でも堂々としゃべれるようになって、ありがたいなって思いました」

WSDでの日常を振り返って

岩谷 彩香さん

久保寺「私は、(新規学生スタッフ募集の)チラシ・ポスターを作るのが楽しかったな」
岩谷「めっちゃ見やすくて好きだった。「先生と相談して(作成した)」という業務報告のコメントを見て、「(作成を担当した久保寺さんたちは)すごいな」って思った」
久保寺「先生に一応、アドバイスもらって。相談ばかりじゃない仕事も楽しめたなぁ」
有尾「(お昼休みに開催したWSDのイベントの)「ミニ相談」の利用者向け案内も作ってくれてたよね」
岩谷「全部楽しいけど、普段会わない人とのお昼休みの研修は楽しかった。それこそ上級生同士が被らないから、相談できるタイミングってそこしかない。一緒に同じ研修素材を共有できてる時間って、もちろん後輩の悩みも聞いてあげるのもそうだけど、それで初心を思い出すし、わからないことがあったら同輩に聞けるし。すごく楽しかった。唯一被ってる時間だったから、この2年間で」
有尾「(通常勤務の時間が重ならない)人と顔合わせできる機会、お昼休み勤務とかミーティングとか。そういうのは確かにわくわくしながら行ってた気がする」
熊谷「「今日何やろうかな」って自分たちで考えるしね」
岩谷「(他の)人の相談対応をやってるところ見るのとかも好きだった。先輩の相談対応を見学させてもらったときとか、もう、話している時の雰囲気の感じも好きだし、あんま畏まってない感じだから、緊張しないだろうな、相手もとか。言い回しとか、「これ、このまま真似しよう」みたいな」
熊谷「4年生でもやりたかったもん。みんなの見たかったな。みんな、(Teams上で行う、その日の勤務の感想を述べる)「一言コメント」に「こういう風にしました」とか、共有してくれるから、それで「おぉ!」ってスクショして、WSDのフォルダみたいなのを作ってた。改善点とかも書いてくれる、質問とかも先生方がコメントしてくれるから、それ全部スクショ撮って―…」
岩谷・有尾・久保寺「すごい!」
岩谷「「うまくいかなかった」って書いてあっても、「うんうん」って(共感するし)、「うまくいった」っていうのを見ても「おぉ!」って(うれしくなる)し。関われないからこそ、すごい貴重な場だった。自分のふりかえりにもなるし。改めて言語化してみたら、「今日の相談、だめだったな」とかが、はっきり見えたりもする」
熊谷「いつもコメント見ていて、(岩谷さんは)雰囲気作りっていうのを意識してるなって思って。後輩と接している時にもニコニコとか、すごい憧れていたの。だからどういう風にしたら、いい感じにできるのかなって、すごい聞きたかった」
岩谷「逆に(同輩が)みんな「お姉さん」みたいな感じの印象があって。私はそれに憧れていたんだけど、自分はそんなキャラじゃないっていうか、あんまできないから。だから後輩とかと友達みたいな関係で、くだけた感じでしゃべろうって思って。緊張しているときほど、相談者も一応後輩だし、ちょっとくだけた感じで、しゃべろうみたいなのをやってた」
熊谷「同じ立場でいてあげるのって大事だよね。WSDに来るだけでも緊張しているじゃん、特に1年生とかだと。雰囲気作りは大事だよなぁ。「よく来てくれたね」みたいな」
有尾「入りづらいんかな、やっぱりみんな」
岩谷「ちょっと緊張する」
熊谷「向こう側(相談者)もうまくしゃべれるかなって。自分が(相談者として)来たときもそうだったし。「こんなにまとまってない文章、どうしたらいいんだ」って」
岩谷「(部屋の中を)ちょっと覗いたりしてるもんね」
熊谷「(気づいたら)すぐ行くもん。「どうしたの?」って」

最後に、過去の自分に先輩としてアドバイス

お題決めの様子

有尾「わくわくしながら大学生になって、大学4年間、淑徳大学を満喫したって思える卒業の仕方をしてほしい。大学が提供している留学のプログラムだったりとか、こういうアルバイトの場所とかもあるし、部活動とかも気になったら積極的にどんどん挑戦して。挑戦して、思ったようにいかない、失敗ばっかり、苦労ばっかりするっていう結果になるかもしれないけど、それごと楽しむ。辛いその瞬間、「辛い」って思っているそれも、楽しんじゃえるくらいの気持ちで、どんどんチャレンジしてほしい。もちろん楽しいことはどんどん、積極的に参加して、この4年間本当に大学生楽しんだって思って卒業できるようにいろんなことを経験してほしいです」

熊谷「不安になるのは当然だから、早く周りを頼るといいよ、って多分いうかな。大学決めるのも、新しいことを始めるのも、どうしても不安はつきまとうものだと思う。特に、(WSDで働くと、)学生さんの悩みを聞いてあげることが(自分にも)できるのかなみたいな、先輩のかっこいい姿とか見てプレッシャーに思うこととかも本当に多いと思うんだけど、やってみたら、案外できることもあるし、自分ならではの強みができてきたりもする。それを見つけてくれる誰かが(WSDには)いるなっていうのをずっと思っていて。やらないうちに新しいことにチャレンジするの怖いなって思うよりかは、やってみて、助けを求めるみたいなのもアリなんじゃないかなと思う。心配になるのはしょうがないから、絶対だれかにいった方がお得だと思うし、(そういわれたら、)私は根拠ないけど、「大丈夫だよ」って、(その子に)いってあげたい。(WSDには)絶対そういってくれる人がいるから、恐れずやってみて、すぐ周りを頼るといいかなって思いました」
岩谷「緊張して、落ち込んだりとかするだろうし、失敗して悩んじゃったりとかするだろうけど、先生とかに相談できるし、(この座談会で)みんなも同じような気持ちだったんだなっていうのを思えたりしたんで、本当にあんまり抱え込まないようにしたらいい。それに、そういう悩む時期ってちゃんと必要だから、「自分の人生、うまくつくられてるわ」みたいな、「ここ頑張ったらよくなるだろう」、「ここ踏ん張って頑張ったら、きっと可能性がひらけるのかな」みたいにちょっとでも前向きに俯瞰して見れる自分がいるといいんじゃないかなって思う。ずっと悩むってことないはず。相談できる人がたくさんいるから。辛いこともないわけじゃないだろうけど、周りの人を頼ったりできるし、だから頑張ってねって思う」
久保寺「個別相談の対応者になるための試験で、だめだったときの自分に対して。そのときって、「何やってもどう頑張ってもうまくいかなくてどうしよう」ってどんどん視野が狭くなっていて。WSDが、違う視点を自分に与えてくれる場所だったから、その環境にいる限り安心して成長をすることができるよっていうのを伝えたいな。色んな人と働くなかで、人と比べちゃうことも多かったけど、私のいいところを見つけてくれるスタッフさんもいるし、だからこそ、「この人のこういうところ素敵だから、自分も真似してみよう」っていう風に気持ちを変えることができる環境だから。他の人からいってもらえる言葉とかをすごく大事にして、その言葉で頑張れるから大丈夫だよっていいたい。(試験に落ちたときの過去の私は)「自分だめ」って思っているけど、それを経て、「自分もこうしたい、ああしたい」って思いがどんどん出てきて、4年生になったときは、過去の自分よりかは絶対に成長できているし、相談者さんの話を聞いてたくさん質問できるとか、「後輩のことを気にかけれた」とか、自分のいいところも見つけられているから、この環境に安心して身を委ねてほしい。先生とか、チューターさんに頼ってほしいなって思います」
WSD:みなさん、ご協力いただきありがとうございました。

(2023年2月)