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平山 肇 更新日:

耳管開放症は自力で治せる?セルフケアでできることと、やってはいけないことを解説

平山 肇

監修

平山 肇愛知淑徳大学クリニック院長

約30年にわたり耳鼻咽喉科の診療に従事。大学病院で培った豊富な経験を活かし、聴覚障害やめまいをはじめ、幅広い症状や疾患に対応しています。 ■資格:日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 耳鼻咽喉科専門医、日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 補聴器相談医、日本めまい平衡医学会 めまい相談医

「自分の声が頭の中で大きく響く」「耳が詰まった感じが続く」といった症状は、耳鼻をつなぐ耳管が閉じきらなくなる耳管開放症で起こることがあります。急な体重減少や脱水などが関係するとされ、原因がはっきりしている場合は生活の見直しで症状が軽くなることもあります。

一方で、同じ症状を起こす耳の病気は複数あり、自己判断でセルフケアだけを続けると、かえって回復を遅らせることもあります。この記事では、自力でできる対処法と避けるべき行動、受診の目安を整理します。

耳管開放症は自力で治せるのか?

結論から言えば、原因がはっきりしている軽症例では、生活の見直しで症状が和らぐことがあります。ただし自力で完結しないケースも少なくありません。セルフケアを始める前に、次の3点を押さえてください。

原因を取り除ければ、症状が軽くなることはある

耳管開放症は、体重の減少が主な原因として挙げられ、このほかに脱水、妊娠や女性ホルモン薬の使用、生まれつきの耳管構造の弱さなどが関係するとされています。耳管の周囲にある脂肪や軟部組織が減り、耳管を外から押さえる力が弱まることで起こると考えられています。

  • 急なダイエットで体重が減った → 栄養をとり、体重を落とさない・戻す
  • 発汗や飲酒で水分が不足している → こまめに水分をとる
  • 疲労やストレスが重なっている → 休息を優先する

体調管理は治療の第一段階に位置づけられますが、これだけで必ず治るわけではありません。また、消化器の慢性疾患などがあり、自分では体重管理が難しい場合も少なくありません。

自力では治らない・悪化するケースもある

セルフケアを続けても変化がない場合は、医療機関での治療が必要な段階と考えられます。次のような状態は、自力での改善を待つべきではありません。

  • しばらくケアを続けても症状が変わらない
  • 症状が一日中続き、会話や仕事に支障が出ている
  • 症状をやわらげるために鼻すすりが癖になっている
  • 難聴・強い耳鳴り・回転性のめまいをともなう

とくに鼻すすりは、続けることで滲出性中耳炎や癒着性中耳炎、真珠腫性中耳炎といった中耳の病気につながる危険性が指摘されています。

同じ症状が出る別の病気もあるため自己診断は禁物

耳が詰まる、自分の声が響くといった症状は、耳管開放症以外の耳の病気でも起こります。

  • 耳管狭窄症
  • 滲出性中耳炎
  • 耳垢栓塞(じこうせんそく)
  • 突発性難聴
  • メニエール病、急性低音障害型感音難聴
  • 上半規管裂隙症候群(じょうはんきかんれつげきしょうこうぐん)

日本耳科学会の耳管開放症診断基準案2016でも、上半規管裂隙症候群との鑑別が必要と注記されています。なかには早期の治療開始が回復を左右するとされる病気もあるため、自己判断でセルフケアを続けず、まず耳鼻咽喉科で原因を確かめることが大切です。

症状が出たときに自力でできる対処法

耳管開放症の症状は、姿勢や体調によって強くなったり弱くなったりします。ここでは、症状が出た場面でその場でできることを3つ紹介します。いずれも一時的に症状をやわらげるための方法であり、根本的な治療ではない点を先に押さえてください。

横になる・前かがみになって頭を下げる

症状が出たら、横になるか、机に肘をついて頭を下げる姿勢をとります。頭を低くすると耳管の周りの血管が膨らんで耳管が狭くなり、症状が一時的に軽くなるとされています。

  • 仰向けまたは横向きに寝る
  • 座ったまま前かがみになり、頭を心臓より低くする
  • 靴ひもを結ぶような姿勢をとる

体位を変えると症状が軽くなるのは耳管開放症に特徴的な反応です。ただし効果は姿勢を戻すまでの一時的なもので、耳管の開放が重度の場合は姿勢を変えても軽快しないことがあります。無理に長時間続ける必要はなく、めまいや頭痛が出たら中止してください。

こまめに水分をとる

脱水は耳管開放症の誘因のひとつとされています。とくに汗をかいたあとや飲酒後は体内の水分が不足しやすいため、意識して補給してください。

  • 発汗の多い時期や運動後は、のどが渇く前に少量ずつ飲む
  • 入浴後・起床後にコップ1杯を習慣にする
  • 飲酒時は水を交互にはさむ

ただし、心臓や腎臓の病気で水分制限を受けている方は、必ず主治医の指示に従ってください。水分補給で改善しない場合は、脱水以外の要因が関係している可能性があります。

症状の出方を記録して受診時に伝える

耳管開放症は、症状が出ているときでないと診断が難しい病気です。受診時に症状がおさまっていると、診断にたどり着くまで時間がかかることがあります。

  • いつ・どんな場面で症状が出るか(起床時、運動後、入浴後など)
  • 姿勢を変えると軽くなるか
  • 体重の変化(いつから何kg減ったか)
  • 服用中の薬(女性ホルモン薬を含む)

こうしたメモがあると、診察や検査の判断材料になります。症状が出ているタイミングで受診できると、より確認しやすくなります。

再発させないために自力でできる生活改善

症状が落ち着いたあとも、誘因が残っていれば再発することがあります。ここでは日常生活で意識したいポイントを4つ挙げます。いずれも医師の治療と並行して行うものと考えてください。

急激なダイエット・体重減少を避ける

短期間で体重を大きく落とすと、耳管周囲の脂肪や軟部組織が減り、症状が出やすくなるとされています。大学病院の解説でも、急激な体重減少が発症の引き金として挙げられています。

  • 減量が必要な場合も、期間をかけてゆるやかに行う
  • 食事を抜く方法ではなく、栄養バランスを保つ
  • 体重が減った時期と症状が出た時期が重なるなら医師に伝える

ただし、意図しない体重減少が続いている場合は、別の病気が背景にあることもあります。自分で体重を戻すことにこだわらず、まず医療機関に相談してください。

脱水を防ぐ

発汗時、入浴後、飲酒後は水分が不足しやすいタイミングです。夏場はとくに意識して補給してください。

  • 屋外での活動やスポーツの前後
  • 入浴・サウナのあと
  • 飲酒の最中と就寝前

水分をとっても症状が変わらない場合、脱水以外の要因が主体になっている可能性があります。

睡眠・疲労・ストレスを整える

疲労や睡眠不足が重なる時期に症状が出やすいと感じる方もいます。生活リズムを整えることは、耳の症状だけでなく体調全体の回復にもつながります。

  • 就寝・起床時間をできるだけ一定にする
  • 症状が強い日は会話量の多い予定を減らす
  • 症状が気になって不安が強まる場合は、その旨も医師に伝える

これらは症状を軽くする可能性のある補助的な対策であり、単独で治療の代わりになるものではありません。

ホルモン薬は自己判断で中止せず主治医に相談する

妊娠や女性ホルモン薬の使用が、耳管開放症の発症に関係する場合があるとされています。ただし、低用量ピルなどを自己判断で中止すると、本来の治療目的に影響が出ます。

  • 服薬を続けたまま、まず耳鼻咽喉科で症状を診てもらう
  • 薬名と開始時期を控えて受診する
  • 中止・変更の判断は処方している主治医に相談する

耳鼻咽喉科と処方元の医師が情報を共有できると、判断がスムーズになります。

セルフケアでやってはいけない3つのNG行動

よかれと思って続けている行動が、症状を長引かせたり別の病気を招いたりすることがあります。とくに次の3つは避けてください。

鼻すすりを繰り返さない

鼻をすすると中耳が陰圧になり、鼓膜が内側に引き込まれます。これを繰り返すと、滲出性中耳炎、癒着性中耳炎、真珠腫性中耳炎といった中耳の病気につながる危険性が指摘されています。真珠腫性中耳炎は手術が必要になることもある病気です。

  • 症状をやわらげる目的で意識的に鼻をすする
  • 無意識に一日に何度もすすっている
  • 鼻すすりをしないと症状が耐えられない

鼻すすりは一時的に症状を消すため癖になりやすく、いったんついた癖をやめるのは容易ではないとされています。自力でやめようとして苦しくなる前に、耳鼻咽喉科で相談してください。

自己流の耳抜き・強く鼻をかむのをやめる

鼻をつまんで空気を送り込む耳抜きは、耳管開放症の症状を改善しません。強い圧をかけることで鼓膜や中耳に負担がかかり、鼓膜に穴があくおそれもあります。

  • 詰まった感じを取ろうと繰り返し耳抜きをする
  • 両鼻を一度に強くかむ
  • 綿棒などで耳の奥をいじる

鼻をかむときは片方ずつ、ゆっくりと。処置が必要かどうかは医師が判断します。

「そのうち治る」と放置しない

耳管開放症は、様子を見ているうちに、鼻すすりの癖がついたり、別の病気の治療機会を逃したりすることがあります。

  • 症状が続いている、または繰り返している
  • 日常生活や仕事に支障が出ている
  • 難聴やめまいをともなう

とくに突然の難聴は、早期に治療を開始することが重要とされています。「耳管開放症だろう」と決めつけず、耳鼻咽喉科で確かめてください。

耳の違和感が続くなら愛知淑徳大学クリニックへ

耳の詰まった感じや自分の声の響きが続く場合、原因を確かめるには耳の観察と聴力検査が欠かせません。

愛知淑徳大学クリニック(愛知県長久手市)の耳鼻咽喉科では、耳・鼻・のどの一般診療に加え、聴覚障害や補聴器の相談、めまい・平衡障害の診療に対応しています。

アクセス・診療時間

  • 所在地:〒480-1146 愛知県長久手市片平二丁目1401(愛知淑徳大学長久手キャンパス隣接)
  • 電話:0561-62-1222(代表)
  • 診療時間:午前の部 10:00〜13:00(受付9:30〜12:30)/午後の部 15:00〜18:00(受付14:30〜17:30)
  • 休診日:土曜・日曜・国民の休日、夏季休業(8月12日〜8月17日)、年末年始(12月29日〜1月3日)
  • アクセス:地下鉄東山線・本郷駅から市バス「猪高緑地(愛知淑徳大学)」終点下車/藤が丘駅から名鉄バス「愛知淑徳大学」終点下車/Nバス「淑徳大学」下車。駐車場あり(高さ制限2.3m)

診療時間や担当医は変更される場合があります。受診の際は、最新の情報を公式サイトでご確認ください。

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※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、診断・治療を行うものではありません。症状や適切な治療は個人によって異なります。気になる症状があるときは、医療機関を受診してください。


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