報告

2015年02月19日

スポーツ・健康医科学会主催 学術講演会「スポーツトレーナーの世界」

スポーツ・健康医科学会主催 学術講演会「スポーツトレーナーの世界」

平成26年12月1日(月) 長久手キャンパス ミニシアター

プロスポーツの世界で働くトレーナーをお招きし、
スポーツ・健康医科学会が講演会を開催しました。

 基礎医学、臨床医学、栄養学、スポーツ科学、メンタルヘルスなど、幅広い領域を段階的に学び、スポーツや医療分野のジェネラリストへの道を拓く、スポーツ・健康医科学科。2010年の学科設置以来、学生たちが学科を盛り上げようと主体的に活動を続けていることも特色のひとつです。その活動の拠点が、スポーツ・健康医科学会。年に2回のスポーツ大会、オープンキャンパスや大学祭での「健康診断ブース」の運営などをおこなっています。さらに、学びの視野を広げようと他学部の活動を手本に、学術講演会を企画。12月1日(月)には、長久手キャンパスにプロのトレーナーをお招きし、「スポーツトレーナーの世界」と題した講演会を開催しました。

 「今日は、プロのトレーナーのお話が聞ける、貴重な時間です。ぜひ、たくさんのことを学びとってください」という学会長の挨拶から始まった今回の講演会。講師としてお招きしたのは、アメリカのプロ野球チーム「ボストンレッドソックス」のマイナーリーグでアスレチックトレーナーとして活躍する梶山聡司氏と、プロアイスホッケーチーム「東北フリーブレイズ」の専属トレーナーとして活躍する中嶋康博氏のお二人です。具体的な仕事の内容や、自身がトレーナーになる夢を叶えた経緯などを、写真や資料を用いて、学生たちに熱く語りました。

トレーナーに求められる"プロ意識"とは。

 梶山氏は高校卒業後、アスレチックトレーナーになる夢を叶えるため単身渡米。大学在学中からプロスポーツの世界でトレーナーとしての経験を積み、現在はボストンレッドソックスのメディカルチームの一員として働いています。メディカルチームの全体像などをていねいに説明した上で、梶山氏は2014年シーズンの選手のケガや病気などの症例をまとめたグラフや表を用い、マイナーリーグでの仕事について解説。「トレーナーの仕事は、単にマッサージをして選手から"気持ちいい"と言われることがゴールでは決してありません。どんなケガが起こりうるか予測を立て対策し、選手がより良いパフォーマンスができるようサポートするために、自分にできることを日々考え続けています」と梶山氏。「僕自身、プロスポーツの世界は別次元の場所だと思っていました。でも今日の僕の話を聞いて、少しでも"プロスポーツの世界で働くことは叶えられない夢ではない"と思ってもらえたらうれしいです」と、スポーツの世界に憧れを抱く学生たちにエールを贈りました。

夢を叶えるのは、今、踏み出す一歩。

 中嶋氏は愛知県の大学を卒業後、渡米。大学院でアスレチックトレーナーの資格を取得し、帰国後は青森県でプロアイスホッケーチームのトレーナーとして活躍しています。「理学療法士、アスレチックトレーナー、トレーニングコーチなど、アメリカではたくさんのプロが選手の健康をサポートしています。しかし、日本ではメディカルの専門家はチームに1人か2人いる程度。そのため高い専門性に加え、幅広い知識が求められます」と日本の現状について説明。また一日のタイムスケジュールを披露し、具体的に仕事内容について解説していきました。さらに中嶋氏は大学生の時に取り組んだ活動についても紹介。トレーナーに関するさまざまなワークショップに参加していたことや、自らアポイントを取って社会人フットサルチームで現場経験を積んだエピソードを披露しました。「自ら行動することで、夢だったトレーナーになることができました。皆さんも行動あるのみ! 興味がある人は、ぜひ僕を訪ねてアイスリンクに遊びに来てください」と学生たちの一歩を力強く後押しする言葉で、講演を締めくくりました。

学んだのは、チャンスを自らのチカラでつかむ大切さ。

 講演会終了後には質疑応答がおこなわれ、学生たちからトレーナーのリアルな仕事ぶりに迫る鋭い質問が寄せられました。「トレーナーをめざす上で、日本とアメリカではどのような違いがありますか?」という質問に対しては「現場での経験できるチャンスの量」と梶山氏が回答。在学中に参加したピッツバーグパイレーツでのインターンシップが、今の仕事につながっている経験から、チャンスを自らつかむことの大切さを語りました。学生たちにとって、プロスポーツの世界で活躍するトレーナーの言葉は、夢に向かって突き進む勇気を与えたことでしょう。