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式辞

2023年度(令和5年度)入学式祝辞

ようこそ愛知淑徳大学へ。皆さんお一人お一人を心より歓迎いたします。
2週間ほど前、皆さんの先輩たちが本学を旅立たれました。それは小学校から続く学校という空間からの卒業であり、支え守られていた側から、支え守る側へと向かっていく、凛とした旅立ちでした。そして、本日希望と期待に満ちた皆さんをお迎えし、また新たな本学の歴史が継承されていきます。

本学の母体である愛知淑徳学園は明治38年に創設されました。愛知県の私立の高等女学校としては最も古い歴史を誇り、今年は119年目となります。
本学園は創設当初から「進取の気象」がありました。たとえば女子教育は家事や裁縫で十分とする明治の時代に、英語と理科を必須科目として取り入れました。反対する意見に対して創立者は「教育家が時代の動向を察知せず、その日暮らしの教育をしたらば人の子をそこなう」と述べられ「10年先20年先に役立つ人づくり」を目指されました。
こうした時代の動向に敏感な「10年先20年先に役立つ人づくり」は「伝統は立ち止まらない」という本学の姿勢として今に生きています。

愛知淑徳大学は昭和50年に開学され、本年は49年目となります。
当初は入学定員、国文学科50名、英文学科50名、の小さな大学でしたが、その後、学部の増設、再編、大学院の新設、男女共学体制への転換などが行われ、現在は9学部13学科、大学院5研究科そして、クリニックをも擁する総合大学となりました。
こうした発展を可能にしてきたのは「伝統は立ち止まらない」という本学の精神に則り、常に在るべき姿を求め、時代と社会の要請に応える大学でありたい、という思いからです。
本学はこれからも「伝統は立ち止まらない」精神を継承し、本学の在るべき姿を求め続けていきます。

愛知淑徳学園の118年間、大学48年間に及ぶ歴史は真に尊いものですが、さらに尊いことは、いつの時代も主役の生徒・学生達が、希望と志を抱き、光輝く存在になろうとしていたことです。
これからは主役の皆さんが、49年目からの本学の歴史を築いていって下さい。
ドイツ詩人シラーは次のように述べています。
「時の歩みは3重である。未来はためらいつつ近づき、現在は矢のように速く遠く飛び去り、過去は永久に静かに立っている」
大学という空間での貴重な日々は、矢のように飛び去っていくでしょう。早く本学になじんでいただき、若者らしく、感受性を豊かに、好奇心を旺盛にして、実り多い大学生活を送られます事、心よりお祈りいたします。

令和5年4月2日
愛知淑徳学園 理事長 小林 素文