ご卒業おめでとうございます。
春の息吹が感じられるこのよき季節に、卒業という節目を迎えられますこと、心よりお慶び申し上げます。
皆さんは4年前に本学と出会い学生時代を過ごされました。思えば小学校から続く16年に及ぶ学校生活とのお別れです。
児童・生徒・学生と、名は変われど、同世代の仲間たちと共に学び、共に笑い、共に泣いた日々に別れを告げ、そこで培い、学んだことを社会に還元しに行く旅立ちです。
また、それは、皆さんを守り、支えてくれた人たちに感謝をし、こらからは、自分が支え、守る側になるのだ、との気概を抱いた旅立ちでもあります。
どうぞ、本学で学んだ「違いを共に生きる」をモットーに、たくましく、心優しい社会人となっていってください。
「違いを共に生きる」とは「調和のとれたモザイク模様を形成すること」とも言えましょう。一片一片は様々の色や形であっても、全体として調和しあい、美しいモザイク模様を形づくっている。それが違いを生きることだと思います。皆さんも、社会において、大きなの、小さいの、華やかな色、いぶし銀の色、どの一片であれ、自分らしく輝ける色や形で存在感を発揮し、活躍していただくことを心よりお祈りいたします。
皆さんが入学された4年前、コロナ禍の中無観客で東京オリンピックが行われ、3年前、ロシアによるウクライナ侵攻があり、2年前、イスラエルのガザ攻撃が始まり、昨年は能登地方に地震と洪水がおこりました。
こうした感染症、紛争、自然災害はこれからも絶えることなく、いつ、どこで起こるかを正確に予知することはできません。また、ソーシャルメディアやAIの加速度的な進化により、社会は大きく変化しています。
先行き不透明で変化が激しい今の時代、生きて行く上で大切なことは何なのでしょうか。
世界で最も影響力があった経営コンサルタントのスティーブ・コヴィ博士は「人は変わらざる中心がなければ変化に耐えることができない。」と述べ「変化に対応する能力を高めるには『自分が誰なのか、何を大切にしているか』を明確にすることである」と述べています。
博士が述べる、自分自身の中心、即ち、「自分が誰なのか、何を大切にしているのか」を明確にして変化に対応していくことの大切さは、今の時代に限らず、いつの時代も、どのような時代になろうとも変わることがありません。
これから社会人となられ、背負っていくものも増えていくであろう皆さんは、様々な困難や迷う場面に幾度となく遭遇するでしょう。そんな時には、「自分が誰なのか、何を大切にしているのか」を自らに問い、判断し、行動して下さい。その繰り返しにより、皆さんが自分らしく光り輝き、なくてはならないモザイク模様の一片となっていかれることを心より願っています。
「一会一生」
人は様々の出会いと別れを繰り返していきます。そして一つ一つの出会いがその人の一生を作り上げていきます。
皆さんは青春時代の一時期、愛知淑徳と出会い、友人、先生、そして学問と出会いました。そして今、新しい出会いを求めて羽ばたいていかれます。
「卒業という美しき別れかな」
皆さんの洋々たる未来を心より祝福いたします。
おめでとうございます。
令和7年3月18日
理事長 小林素文