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レポート

オーストラリア姉妹校訪問・キャンベラ大学との交流締結

11月初旬、秋から春へと季節が180度変わるオーストラリアのメルボルンとキャンベラを訪れました。

メルボルンのホテルの近くの公園は新緑と花があざやかなハーモニーを奏でていました。(写真(1))メルボルンは南極海に面しており、自然のペンギンパレードが見られることで有名ですが、その公園にも海からでしょうか、鳥の親子がのんびり散歩をしていました。(写真(2))

メルボルンの公園写真(1):メルボルンの公園
鳥たちの散歩写真(2):鳥たちの散歩


写真(3):セントキャサリンズ高校長

メルボルンにあるセントキャサリンズ高校は、愛知淑徳高校と27年に及ぶ姉妹校であり、交換留学や、短期のグループでの相互訪問が行なわれてきました。が、私自身はまだ一度も訪問していないので、今回のキャンベラ大学への途中立ち寄ることとしました。
セントキャサリンズ高校は愛知淑徳より5年長い、105年の歴史をもつ幼稚園から高校までの名門女子学園であり、緑の多い高級住宅地の一角にありました。
 105年の間には様々のことがあったと思われますが、ここ10年でいえば、最初の五年は名門校であることの甘えからか、少し評価が下がった年月。ここ5年は新しい校長のラレイン・シャーさん(写真(3))の明快なビジョンのもと、入学するのが難しい名門校に復活した年月といえましょう。そのビジョンを簡潔にいえば、「これまでのレディとしての人間教育だけでなく、21世紀に積極的な活躍ができるアクティブなレディとしてのあらゆる可能性を開いていく」です。そのために、生徒に自分にあった職業を目指させるべく、職業体験(インターンシップ)を積極的にとり入れ、具体的な将来の夢をもち、学校生活を送ることにより、オーストラリアのVCE(日本のセンターテストのような統一テスト)において、成績上位1%以内にセントキャサリンズ高校の生徒10%が入り、上位10%には60%が入るようになりました。その結果、メルボルンでは最も入るのが難しいといわれるメルボルン大学へ70%もの生徒が進学できる屈指の名門校に復活いたしました。
シャー校長に成功した理由を尋ねますと「学校間の競争が激しいことです」、さらに「このことは父母・生徒にとってもいいことです」との答え。現状を前向きにとらえるシャー校長に心よりの敬意を表したいと存じます。

 その後、学校を見学しましたが、小学校の児童の可愛らしい姿(写真(4))、オーストラリアらしい音楽の授業風景(写真(5))、卒業した生徒への日本語補習授業(写真(6))、そして校庭にはつつじの花(写真(7))が咲いていました。

可愛らしい小学生写真(4):可愛らしい小学生
音楽授業風景写真(5):音楽授業風景

日本語補修授業写真(6):日本語補修授業
つつじ写真(7):つつじ


広場 写真(9):広場

 オーストラリアの首都キャンベラは、二大都市シドニーとメルボルンの間にある人口30万人程の都市です。そのため国会議事堂から戦没者記念館まで一直線にのびる広場(写真(9))、行政区の南から商業区の北まで一直線に伸びる道路(写真(10))などは、いかにも首都のためにつくられた人工都市の景観ですが、行政区ではアボリジニーが北部準州奪還のため、テントを張り、アボリジニーの旗を掲げていたり(写真(11))、商業区域ではビアホールがたくさんあり、金曜の夜は大にぎわいとか。人工的であっても人間らしい雰囲気のある街でもあることをうれしく思いました。

道路写真(10):道路
アボリジニー写真(11):アボリジニー

 キャンベラ大学は、キャンベラキャンパスのほか、ブリスベンにもキャンパスをもつ総合大学です。1967年に国立の単科大学として設立され、1990年に総合大学となり、学生は世界80ヵ国から9000〜10000人の学生が在籍する国際色豊かな大学です。そして、士官学校をのぞくとオーストラリアで唯一の国立大学です。
 また、実学教育を重視した教育を目指し、高い就職率を誇る大学としてもしられています。学問は、ビジネス・法律・情報科学、コミュニケーション・教育、健康・デザイン・科学といった分野を展開し、建築、デザイン、エレクトロニクス、コンピュータ・エンジニアリング、健康管理、ビジネス法、バンキング・アンド・ファイナンスなどの領域ではオーストラリア屈指の大学でもあり、インターンシップや産業との連携プロジェクトなどの幅広く学ぶ取り組みや教員のサポート、学生相互の連携など満足度の高い教育がおこなわれています。

キャンベラ大学調印式写真(12):キャンベラ大学調印式
キャンベラ大学調印式写真(13):キャンベラ大学調印式

記念撮影 写真(14):記念撮影

 キャンベラ大学の学長ロジャー・ディーン氏と交流協定の調印をしたあと(写真(12)・(13))、これまで本学との協定にいたるまでの努力をしていただいた人達と記念写真(写真(14))をとりました。今回の調印にいたるまでご努力くださった本学の藤井国際交流部長及びキャンベラ大学の関係各位に心よりのお礼を申し上げたいと存じます。
今回の協定に先立ち、この8月に本学の学生26人が、英語研修をキャンベラ大学で行ないましたが、キャンベラ大学での本学学生への評価が大変高く本学の協定及びこれからの交流プログラムの可能性を前向きに考えていてくれることを大変うれしく存じました。
また、ディーン学長は、「国立大学といえども国からの補助は50%にすぎず、競争的環境の中、キャンベラ大学では学部間の壁を低くして、学生のあらゆる可能性を広げていきたい」と運営方針を話してくれました。大学教育が、グローバルに同じ方向に向かっているのだと感じました。

センター職員とアンドリュー君 写真(15):センター職員とアンドリュー君

調印式のあと、国際センターのスタッフと福岡教育大学で1年間の交換留学をしていたアンドリュー君に学内を案内してもらいました。(写真(15))
校内は、できるだけオーストラリア本来の雰囲気を保つため、特に植樹をしていないとのことです。どうりでユーカリの木が多く、一見殺風景に見えますが、そのためカンガルーなどがいつも校内に出没し愛敬をふるまってくれているとのこと。アンドリュー君は、博多ラーメンなど日本が大好きになり、卒業したら日本で英語教師をしたいと流暢な日本語で語ってくれました。本学との交流を通じても、お互いの国を理解しあえる学生がふえていくことを望みたいものです。