随想

光陰可借(平成19年度 『大学だより』より)

学長 小林 素文

 皆さんは園児・児童・生徒と呼ばれてきましたが、今は最後の学校である大学に入学され学生と呼ばれます。学生時代は社会を支える人材となる大切な準備期間であるとともに、制服に象徴される束縛から自由になり、しかも社会人となれば生まれる様々の制約もない大切な期間でもあります。しかし『歳月きそひ流れて昼夜をまず』山上憶良の歌のごとく、月日は競い流れていきます。光陰可借こういんおしむべし、何事にも思い切ってチャレンジしていってください。
 チャレンジしたけれどうまくいかなかったら、

「まあいゝ
 俺の一生を
 何かの役にたてて見せる
 ころぶ時があっても」

武者小路実篤の詩のごとく、まあいゝと自分の力で立ち上がってください。そうした明るさと強さが自分を成長させ「禍を転じて福となす」ことにもつながるのだと思います。