追究

2024年12月25日

文学部 教育学科 加藤ゼミ合宿

2024年10月30日(水)愛知県知多郡 日間賀島

小学校教員をめざす学生たちが日間賀島で地引き網漁に挑戦。
経験の幅を広げました。

 文学部 教育学科の加藤ゼミでは小学校教員をめざす学生たちが多く在籍し、「生活科」や「総合的な学習の時間」を中心に研究しています。これらの教科等は、活動や体験を通して、思いや願いを実現させたり、実社会・実生活の課題に取り組んだりします。そのため、先生になる人材もそのような経験や知識が大切になりますが、実体験が不足しがちな現代社会においては、学生自身も豊富な経験を積むことが難しい現状です。そこで加藤ゼミでは、実体験ができるようなさまざまな活動に取り組んでいます。
 2024年10月30日(水)・31日(木)は加藤ゼミの3・4年生14人が合宿を実施。愛知県知多郡南知多町の離島・日間賀島を訪れ、漁を体験したり、地元の小学生たちと交流したりしました。

 初日は地元の漁師さんの協力のもと、地引き網漁を体験。あらかじめ漁師さんによって海に仕掛けていただいた地引き網を、二手にわかれて一斉に引っ張りました。思った以上に力のいる作業で、懸命に取り組んでもなかなか浜辺に網を引き上げることができません。声を出し、タイミングを合わせることで、なんとか網を浜辺に引っ張り上げることができた学生たちの表情は達成感にあふれていました。その後、網の中でさまざまな種類の魚やタコがピチピチと跳ねている様子を見て、驚きと喜びの声が上がります。

 網の中には60~70cmぐらいの大きなブリも入っていました。タコは足をくねくねと動かし、魚は元気過ぎるほどにピチピチと動いています。魚やタコを手で持ってバケツに移動させる作業は、普段魚を触り慣れていない学生たちにとっては至難の業。生きている魚を恐る恐る触ったり、手に持っても活きが良すぎて落としてしまったりする場面も。生き物を相手に苦戦しながらも、すべての魚やタコをバケツに移すことができました。

 獲れた魚やタコはこの日の夕食でいただくため、漁師さんに教えてもらいながらうろこ取りをしたりカワハギの皮を剥いだりなど下処理をしておきます。タコの下処理をしながら「心臓は3つあって、頭はここで、墨が入っている袋がここで…」という漁師さんの話に学生たちは興味津々。はじめはうろこ取りや皮を剥ぐ作業に尻込みしていた学生もいましたが、実際にやりながら、魚の扱いに少しずつ慣れていきました。「昔は家庭で魚をさばいたりしていたけど、現代はなかなかやらなくなってきているので、こういった光景を見るのも体験するのも貴重です」と加藤先生。学生からは「魚を獲るところから下処理するところまでを体験して、命をいただくことを実感した」という声も上がりました。

 2日目は日間賀島唯一の小学校である日間賀小学校を訪れ、2年生の「生活科」、5年生の「総合的な学習の時間」を参観。2年生の「生活科」の授業では、子どもたちが「作ってあそぼううごくおもちゃ」の単元で、おもちゃづくりに取り組んでいました。今後、おもちゃのテーマパークを開き、1年生を招待する予定とのことです。今回、学生はお客さん役として参加させてもらいました。5年生の「総合的な学習の時間」の授業では、授業前に担任の先生から、日間賀小学校の「総合的な学習の時間」の取組についてご説明いただきました。その後、5年生の子どもたちが「漁業」「観光」「防災」についての探究の成果を発表してくれました。発表後、授業や学校の取組に関する質疑応答の時間を設けていただきました。学生からは質問が次々と出され、一つ一つに丁寧に答えていただきました。

 学生たちにとってこの2日間の合宿は、さまざまな実体験を通して視野を広げることができた機会になったことでしょう。これらの経験は、将来学生たちが教員になった際に、子どもたちの知的好奇心を育んだり授業に関心を持ってもらったりするのに、きっと役に立つはずです。