追究

2026年04月02日

建築学部 2026優秀作品展

2026年2月24日(火)~3月1日(日) 名古屋市民ギャラリー栄 第1・第2展示室

現役の建築家によるミニレクチャーと講評会を実施。
今後、より質の高い建築を考えられるようになるための貴重な機会となりました。

 2026年2月24日(火)~3月1日(日)に、建築学部(創造表現学部 建築・インテリアデザイン専攻)の学生が取り組んだ作品を展示する「優秀作品展」が名古屋市民ギャラリー栄の第1・第2展示室で開催されました。学内審査会で評価の高かった卒業プロジェクトの設計、制作、論文に加え、1~3年生が取り組んだ実習課題の優秀作品が並びました。培った学びとユニークな視点、発想から生まれた作品がそろい、他大学の学生や建築に関わる社会人も興味深い様子で学生たちの学びの成果を観賞していました。

 2月26日(木)には、株式会社ドットアーキテクツ 代表取締役の建築家・家成俊勝様をお招きし、ミニレクチャーと講評会を開催しました。
 ミニレクチャーでは、人が暮らし、生きる上で使われる資源、物流、環境への影響を知るという話題から始まり、表層的・深層的の両面からこれからの建築を考える重要性を指摘。その具体例として、家成様は現在進行中の小さな倉庫を改修するワイナリーの設計に加え、ぶどう畑のお手伝い、耕作放棄地で畑を始めるという取り組みを紹介されました。
 専門分野を越えた領域へ活動を広げていくことで、「ローカルで最小限、かつ直接的な生き方の模索を、建築を通して考えていってほしい」と、学生たちに説かれました。

 ミニレクチャーのあと、家成様による講評会を実施。展示された全作品について、学生がプレゼンテーションをおこない、家成様から時間いっぱいまで講評やアドバイスが送られました。その中から、家成様が特に注目した6作品を選出。選ばれた学生たちは、作品の背景やこだわり、課題解決について追加の質疑に応じたほか、家成様からは選出理由とともに、建築の解像度をさらに高めるためのアドバイスを受けました。学生たちも真摯に耳を傾け、自身の考えを述べ、作品をアピールしました。
 最終的に優秀作品賞1名、奨励賞3名が決定。受賞学生には家成様から選考理由が伝えられ、記念の盾が送られました。

 最後の総評では、「4年生の作品を見て感じたのは、積み重ねた力量で作った作品は、社会に出てからも自分を前に進める原動力になるということ」と述べた家成様。4年生には大学生活で学び、制作に費やした時間に労いの言葉を、1~3年生には、今後の大学生活に向けた激励の言葉が送られました。

 業界の第一線で活躍されている建築家から直接ご講評をいただく貴重な機会となり、学生たちは自身の作品における課題を見つめ直すことができました。この経験が成長への大きな糧となり、より質の高い建築の設計・制作につながっていくことと期待されます。

優秀作品展 受賞学生コメント

優秀作品賞/卒業プロジェクト
建築・インテリアデザイン専攻4年
伊藤颯人さん
「百々貯木場転用計画-葦の加工場・温室・土の保管場への拠点化-」

 新しいものを作るというより、今ある土地に必要な要素を見つめ直して設計を考えたいと思い、木造が好きということもあり、貯木場の転用に至りました。敷地が広大なため、まずは保管所、温室、加工場と部分的に考え、全体像がわからないまま模索していましたが、最後に模型が完成していいものに仕上がったときに達成感が得られました。今後のキャリアではお客様がいるのでここまで自由な設計は難しいですが、いつか今回の学びを生かした設計もしてみたいです。

奨励賞/卒業プロジェクト 設計最優秀賞
建築・インテリアデザイン専攻4年
井上凪沙さん
「障害者支援施設つつじ寮 建て替え計画 - 8つの居場所の継承と段階的更新プロセスの設計 -」

 学生生活最後の設計では、空間と居場所の関係にフォーカスを置いて取り組みたいと思い、今回のつつじ寮の設計がスタートしました。人の居場所を設計で先に決めるのではなく、空間を与えることで、暮らし方の選択肢を与えることが、建築でできることの1つということを学べました。今回の設計で居住者の方にヒアリングもおこない、想いを形にできた経験を生かして、今後も居住者の想いをくみ取って形にできる設計士としての道を追究していきたいです。

奨励賞/卒業プロジェクト
建築・インテリアデザイン専攻4年
木野村綾音さん
「艶の感受性による実験住宅」

 敷地のないところから設計を考えていく上で、自分の直感や違和感を頼りに“艶”という概念に辿りつきました。私が違和感を持った事例とは、模型を作るときは配色優先で考えることが多いけれど、質感によって表現できるものは変わるのでは?と疑問を持ったこと。艶の可能性を信じ、1つのことを深く考察したことで辿りつけた今回の作品は、自分だからこそ設計できたものだと思います。今後もこうした自分の感性を大切にしながら、建築の世界に携わっていきたいです。

奨励賞/卒業プロジェクト
建築・インテリアデザイン専攻4年
池上知優さん
「地域の色で染め、かたちにする -未利用資源を用いた名古屋市南区商店街の染色による地域表現-」

 地域の廃棄物に価値を見出してまちづくりに反映させたいと思い、この制作をスタートさせました。地域の方々にアポイントをとって、染めの素材をいただく過程で、上手くいかなかった部分もありましたが、こうして受賞できただけでなく、行動力についてもお褒めの言葉をもらえたことで、大きな自信につながりました。卒業後も時間を見つけて、今回の制作で得た染めの知識をどのように生かしていけるかを追究していきたいです。

卒業プロジェクト最優秀賞 受賞学生コメント

制作最優秀賞/卒業プロジェクト
建築・インテリアデザイン専攻4年
青木誠吾さん
「F.L.ライトの帝国ホテル復元 -展示用模型をLEGOで制作-」

 幼い頃から培ってきたレゴの技術を生かし、帝国ホテルの復元模型を制作しました。規模の大きい作品であるだけに、設計から必要パーツを集めるための予算の確保、組み立てまで、スケジュールから時間の逆算をしながらおこなうのは、覚悟のいる挑戦でした。建築者の想いをくみ取るという点で反省はあるものの、低予算のなかでもクオリティをしっかり保って仕上げられたと思います。卒業後はプロのレゴビルダーとして、設計を学んだからこそ創れる作品も多く生み出していきたいです。

論文最優秀賞/卒業プロジェクト
建築・インテリアデザイン専攻4年
加藤愛梨さん
「循環型建築の実現可能性に関する考察-サーキュラーエコノミーの概念を用いて-」

 太陽光など運用段階での省エネだけでなく、廃棄までを含めて考える循環型の建築“サーキュラーエコノミー”がこれからの建築に必要と考え、研究しました。大変だったのは、理想の循環型建築の条件を決めるプロセスです。日本にはまだサーキュラーエコノミーで建てられた建築の事例が少なく、似た事例を調べて仮定を考えていくのは、途方もない作業でした。この研究を後輩に引継ぎ深めてもらうことで、将来の日本の建築にサーキュラーエコノミーが浸透していくことを期待しています。