追究
2026年06月04日
2026年度 第1回 食創造科学科 学術講演会①「発酵食文化によるインバウンド誘致プロジェクト」

2026年4月5日(日)三河湾ヒルズホテル
空港から「食」で地域を創る。食創造科学科・第1回学術講演会を開催
2026年4月5日(日)、三河湾ヒルズホテルにて、食創造科学科の新入生交流会(1泊2日)の一環として「第1回学術講演会」が開催されました。




講師にお招きしたのは、中部国際空港 地域ブランド共創室の森勇樹氏です。インバウンド戦略の最前線で、愛知特有の「発酵食文化」を武器に地域ブランドを創出する同氏の取り組みを通じ、新入生たちはこれから自分たちが学ぶ「食」が、いかに地域や世界を動かす力を持っているかを学びました。


コロナ禍を経て円安が進む中、セントレアの役割は大きく変化しています。2025年に新設された「地域ブランド共創室」のミッションは、単に路線を誘致することではなく、「外国人に選ばれる地域を創り、その結果として飛行機が飛ぶ」という流れを生み出すこと。その戦略の中心に据えられたのが、愛知県が誇る「発酵食文化」でした。森氏は、開港20周年のシンボルとして、国際線到着ロビーに「直径約2メートルの味噌樽」を設置したエピソードを紹介。地元「桝塚味噌」で90年以上使われてきた本物の樽は、訪れる外国人観光客から「信じられない!」「今もこの造り方を続けているのか、素晴らしい!」と驚きと感動を持って迎えられています。「味噌樽がある空港はここだけでしょう」と語る森氏の言葉には、愛知が誇る食文化への強い自負が滲んでいました。
豆味噌、たまり醤油、みりん、日本酒など、古くから豊かな醸造文化を持つ愛知県は、まさに『発酵王国』です。森氏は、発酵王国・愛知のポテンシャルを世界に届けるため、まずは空港スタッフへの味噌づくり体験会の実施。さらに韓国の航空会社の経営者を愛知の酒蔵へ案内するなど、従来の「空港」の枠を超えた多彩なプロジェクトを展開しています。
さらにシンガポールなどのアジア圏では、味噌煮込みうどんが「おしゃれな食」として高級なデートメニューになっている事例なども紹介され、私たちが思う以上に価値ある食文化であることも紹介されました。




講演後の質疑応答では、学生から多くの質問が寄せられました。1人の学生が「県外出身の父は名古屋めしを『味が濃い』と言って敬遠するのですが……」と伝えると、森氏は「確かにそう感じる方もいるかもしれません。しかし、それをいかに愛知ならではの魅力として伝えていくか。食を学ぶ皆さんにこそ、その伝え方を考えてほしいのです。」とエールを送り、また、他の学生から「世界のチーズなどと比較した愛知の強み」について問われると、「愛知の食文化を支える特定の『麹菌』は、世界的に見ても非常に稀で貴重な存在。そこに大きな注目が集まっています」と、発酵食の価値を説かれました。
最後に、森氏は学生たちに次のようなメッセージを送り、講演を締めくくりました。
「私は食の専門家ではありません。だからこそ、これから食の専門家を目指す皆さんに、この素晴らしい愛知の食文化を世界へ発信する担い手になってほしいと願っています。」
入学して間もないこの時期に、観光や地域創生という広い視野から「食」を捉え直した今回の講演。学生たちは、自分たちがこれから向き合う学びが、社会をデザインし、世界と日本を繋ぐ重要な鍵であることを実感した様子でした。












