
2026年7月14日(火)・21日(火)長久手キャンパス図書館
45編の熱量あふれる応募から、選ばれし5名が受賞しました。
長久手キャンパス図書館にて、第29回 図書館<書評>大賞の授賞式が挙行されました。本賞は、本学が誇る豊富な蔵書を学生たちが主体的に活用し、読書を通した批評力や表現力の育成、さらにはキャンパス全体の知的な学びを活性化させることを狙いとして年に2回実施されています。
今回は45編の意欲あふれる応募があり、厳正な審査を経て見事に5名の学生が受賞を果たしました。


授賞式の冒頭では、外山敦子図書館長から「本コンテストは、応募者の名前や所属を一切伏せた『匿名審査』の形で行われています。審査員が作品そのものの質感や論理構成のみに向き合い、一切の偏見を排して選考を行なっています」と審査の厳正さが伝えられ、その中から選ばれた受賞者たちを温かい言葉で讃え、表彰状を手渡されました。
選考委員の先生方からも講評をいただきました。教育学部の伊藤真理先生は「AIが身近になり情報を見極める力やクリティカルシンキングが求められる時代。書評では、〝なぜ今、この本を読む価値があるのか〟ということを客観的に伝える力が必要です。書評大賞を通じて、時代が求める力を磨き、挑戦できることが本学の魅力だと思っています」と述べられました。
また文学部の増井典夫先生は「候補作はどれも高水準で立派な作品ばかりでした。その中で私は〝今、この時代に、この時に読んでもらいたい本〟という視点を持って加点しました」と独自の審査基準について触れました。
他にも、人間情報学部の高原美和先生は「〝この本を勧めたい〟という主観と、本のあらすじといった客観的な面のバランスが良い作品は伝える力がある。受賞作は〝自分も読んでみたいな〟と思わせる力がありました」と学生たちの力量を称え、文学部の野間颯先生からは「書評も一つの作品。学生がどういうことに悩み、どんな考えを持っているかということに直接触れる良い機会でした。今回惜しくも受賞に至らなかった作品にも心に残る作品が多く見受けられました」とお褒めの言葉をいただきました。
さらに、創造表現学部の加島正浩先生は「非常に質の高い作品ばかりでした。受賞した作品と惜しくも受賞を逃した作品の差は〝熱量〟ではないか。今後も自分の感情や思いをどう文章に反映させていくかという点を磨いてください」と今後の成長に期待を寄せてくださいました。
[受賞者コメント]
大賞

教育学部 教育学科2年
植田 菜月さん
「たとえ無力でも」
夏川草介著『スピノザの診察室』は、大学受験期に出合い、奮い立たされた作品です。その時は「もっと勉強をがんばろう」と思いましたが、大学生になって改めて読んでみると、また違う見方ができました。当時の心境や本を通じて変わった意識を書評で表すことができ、とても嬉しく、楽しかったです。
準大賞
文学部 国文学科4年
稲葉 楓果さん
「電信が生み出したインターネット」
書評大賞の賞金に惹かれて何度かチャレンジしましたが、今回はじめて小説以外の本で書きました。トム・スタンデージ著・服部桂訳『ヴィクトリア時代のインターネット』は、小説ばかり読んでいた私に「たまには違うジャンルも読んでみたら」と友人が勧めてくれたノンフィクションです。手紙から電信というものができて、革命が起きた歴史の話を読み、感じたことをボイスレコーダーに喋って文字を起こし、口頭で話しているようなリズムを意識して書きました。

文学部 国文学科3年
小林 歩花さん
「何がために本を読む」
レイ・ブラッドベリ著・伊藤典夫訳『華氏451度』を選びました。この作品は本を読むことを禁止された世界を描いたSF小説です。読んだときに、本の大切さとか、本の価値を考えました。最近、紙の本は価格も上がってきていますが、それでもやっぱり紙の本で読みたい、という気持ちを大切にしたいな、読書という行為の価値をちゃんと届けていきたいな、という気持ちで書評を書きました。
佳作

文学部 国文学科1年
前田 優衣さん
「消えていく記憶、消えない愛」
私が選んだ『名探偵にさよならを』は、小西マサテル氏のミステリー小説の完結編です。ミステリー作品なのに家族の愛情がこもった愛の物語であることに惹かれています。今までは、読書感想文しか書いたことがなく、感想ではなく書評を書くという点に苦労したのですが、前回の受賞作品を参考に書きました。これからも書評大賞に挑戦していきたいです。

創造表現学部 創作表現専攻4年
山口 拓海さん
「人を成す記号」
好きな作品を読み返す機会があり、応募しようと思いました。前回も応募し、その時は「自分から世界がどう見えるか」を軸にしたため、今回は対照的に「世界から自分がどう見えるか」を念頭に置きました。宮部みゆき著『火車』が、そういう作品でもあったからです。読んで言語化する作業を繰り返し、こうやって評価いただけるようになり、実力がついてきていると感じます。人との対話や伝えることにも活かしていきたいです。