学生チューター インタビュー

辻 優花さん、小嶋 奈緒香さん、栗木 蘭奈さん

ウィズ・コロナ時代、WSDの勤務を継続したことで得た多くの学び

辻 優花さん、小嶋 奈緒香さん、栗木 蘭奈さん

写真左から

・辻 優花(つじ ゆか)さん
チューター歴2年(2、4年次)
文学部国文学科2021年度卒業

・小嶋 奈緒香(こじま なおか)さん
チューター歴2年(2、4年次)
創造表現学部創造表現学科創作表現専攻2021年度卒業

・栗木 蘭奈(くりき らな)さん
チューター歴3年(2~3年次、修士1年次)
文化創造研究科文化創造専攻建築・インテリアデザイン専修(修士)

2年生からライティングサポートデスク(以下WSD)業務に従事し、後輩たちを導くためにリーダーシップをそれぞれ発揮してくれた、2021年度4年生の辻優花さん、小嶋奈緒香さん、2021年度修士1年生の栗木蘭奈さん。3人は、新型コロナウイルス感染症の流行による2020年度の空白の1年があるものの、コロナ禍以前から継続してWSDで勤務した学生チューターです。今回は、コロナ禍以前/以後のWSDを知る3人に、今までのWSDでの勤務とコロナ禍以降との違いや、WSDでの勤務における工夫について、話を聞きました。(聞き手:WSDスーパーバイザー 久保田一充・勢力麻未・中村佑衣)

1年の空白期間を経て―「成長」という自己発見―

※以下、()内の言葉をインタビュアーで補い、会話も一部省略し、再構成しています。

栗木 蘭奈さん

WSD:コロナの影響により、2020年度は全学生チューターにとって、「WSDで勤務することができない空白の1年」になりましたが、その空白期間を経て、改めてWSDでの勤務の継続を決めた理由はありますか?
栗木:(院進学を決めた後、)たまたまWSDの前を通りかかり、勤務継続の意志を伝えました。コロナになってからは人と喋らない。院に上がっても同級生がいない。(WSDがなければ)1年間人と喋らなかったかも……。
:私は、1年生のころは、ずっとあっぷあっぷしていて終わってしまって……。もうちょっと成長したんじゃないかな・試してみたいな、と思い、勤務を継続しました。
WSD:先輩チューターがいなければ、後輩チューターを育成することは難しいので、3人が勤務を継続してくれてよかったです。1年ぶりの勤務はどうでしたか?
小嶋:2年生の時は教えてもらうだけだったので、(コロナ禍以降は、4年生という立場上、)後輩とのかかわりとかもあって、2年くらいはみんな継続した方がいいのかなと思いました。就活と被っていたけど、エントリーシートを書きながら指導するので、自分の中の一貫性もとれました。
:3年生の間、(WSDの)シフトがなかった時に、就活のセミナーなどにずっと参加していて、グループワークをするときのフレームワークや、人に説明をするときの方法とかを、インプットしてはいたのですが、それをアウトプットする場が、研修時は15分ほどしかありませんでした。そのため、(今年度、WSDの)勤務における、個別相談対応やグループ業務の際に、(インプットしていた技術を)使ってみて、自分が2年生のときはそこまで考えられていなかったけれども、「こういうふうにやれば人に上手く伝えられる」とか、「こういう風にやったら動いてくれるんじゃないか」っていうところの実践ができたのは大きな収穫だったなと思いました。
栗木:私は学部生のときは、ずっとやめたかったんですけれど……。1年空いていたのが良かったのか、ずっと「日本語表現T2(注:現在は日本語表現2)」のアドバイスをすることに苦手意識があったのに、「意外とできる、自分」と気づきました。コロナ禍以後、特に勉強したわけでもないのですが、「意外と自分ってできるんだ」ってちょっと冷静に気づけて……。(WSDの勤務の際に、)Teamsで研修状況とか一言日記みたいなものを投稿していますが、(後輩に)アドバイスできるくらいの余裕が生まれているので、「本当にやってよかったな」って、今年1年はやっと思いました。「来年もやりたいな」と。
小嶋:栗木さんと一緒で、1年空いたら、何か知らないけどできることが増えてたみたいな、空白の1年がいい感じに作用してたのかなと思います。
:でも来年もう1年やりたいんですよね。
小嶋:確かに。
:ここでもう1回やって、改善すればさらに良くなるんだって何となくつかめてきたので、できれば来年もやりたかった……。

「先輩」として―1人で頑張りすぎず、立場を越えたコミュニケーションを―

辻 優花さん

WSD:後輩に引き継げたと思えることはありますか?
:プレゼンとか勧誘とか、自分がプレゼンするときに、「こういうこと付け加えてるよ」とか、「台本以外にこういう情報加えてるよ」というのを、(2年生の時に)使っていたカンペを共有したり、実際に見せて打ち合わせしたりしました。(そのように)自分が唯一できる方なのかなって思っていることに関しては、伝えられたかな。あとは、逆にできなかったことを見せて、「こういうことをやるとこういう風な失敗があるからこういう風に改善していこう」って、失敗からその改善までを一緒に考える過程を経験することで何か繋げられたのではないかと思っております。
小嶋:私は、「ものづくりって、こういう風にやるよ」っていうことが伝えられたかなっていうのがあります。学部でも企画書とかは書いたりするので、ゴールがどんなもので、今回だと(新規WSD学生アルバイトの)勧誘で「ライティングサポートデスク、楽しいよ」っていうことを伝えるためには、こういうのが大切だねっていうのを、導けたのかなって……。
もう1つは、「(後輩に対して)適当にやってもいいよ」ということで―…。後輩が結構まじめな子たちだったので、(連絡を取り合う際に)たくさん文章を送ってくれるんですけど、自分は「もう寝たいので、20時以降はやめよう」とか、「土日はやめよう」みたいに、どんどんハードルを低くしていきました。でも、(そうした声掛けを続けたことで)なんか段々後輩も固さが抜けてきたのかなって……。来年以降、(後輩たちが)それでちょっと楽になったらいいなっていうのはあります。自分でコントロールできるので、そこは4年生(という立場だから)やりやすかったなと思いました。
栗木:後輩もがんばっているな、緊張しているなっていうのがわかるので、「そんなに緊張しなくていいよ」となるべく伝えたいなと思いました。「そんなに一人でやろうとしなくていいんだよ」っていうところとか、「わかんなかったらわかんないって正直にセッションの中で話してもいいと思う」とか、「先生に声かけて聞いたらいい」っていうのとか。緊張しなくてもちゃんと仕事できるよっていうのが伝わってるといいなって思っています。今の後輩たちはもう充分できてるので、そんなにみんな頑張らなくても、ちゃんと研修をこなしていけば、スキルもあがるし、楽にやったらいいのになって思いながら見ていました。
WSD:お互い質問しあって、正直に開け広げてコミュニケーションしていけたらいいですね。

来室相談の再開―感染に対する不安の少なさ―

小嶋 奈緒香さん

WSD:コロナ禍以降のWSDの勤務に、感染リスクという点で不安はありませんでしたか?
小嶋:あまりなかったです。もちろん、コロナが怖くて、外出は全然してなかったのですが、しなさすぎても気分が落ち込んだりしたので。外でリフレッシュできる方法で1番安全なのは、むしろライティングサポートデスクかなと思いました。
:私の場合は、対面授業が入ってたので、それと一緒だと思っていました。それこそ、「そういえばそういう考えもあるな」と、今、ちょっと思った感じですね。
栗木:私も同じですね。対面の授業ばかりだったし。大学に来る方が正直怖い。電車に乗ったり、バスに乗ったり。今はもう車に切り替えましたが……。ライティングサポートデスクは、部屋の窓が常に開いてるし、ドアも開放されているから、ここで罹るのであれば、もう大学に来るまでのどこかで罹っているだろうなと。(WSDでの勤務における)「対面」がリスクだと思ったことはなかったです。

最後に―未来の学生チューターに一言―

WSD:最後に、未来のチューターへのコメントをお願いします。
:大学で何か新しいことにチャレンジしてみたいっていうのがあって、WSDのアルバイトに応募しました。2年生の時にあっぷあっぷしながらWSDの業務のなかで学んだことを、3年生の時に、WSDからは少し離れて、就活や企画立案系の授業、プレゼン系の授業などで、自分のできることを広げていって、自分の武器を増やしていってからの、4年生の今の仕事っていうので、自分がインプットしてきたものをどんどんアウトプットして後輩に伝えられるようになってきたのは自分のなかでもいい経験でした。今後、仕事をしていく中で、大切にしなきゃいけない考え方や働き方、他のアルバイトでは得られなかったような経験を、自分で考えて、改善して、実行していくということを繰り返すことによって修得できたのは良かったなと思います。
小嶋:文章とか言葉を、大学の先生方の近くで学べる機会っていうのは本当に貴重で、それを大学生活でできて良かったなと思っています。専攻の勉強をするだけよりかは、コミュニケーションとか、自分の考えとかを人に伝える能力だとか、そういったものを身に着けたい人が多いのかなって思っています。そういうのが全部できるのが、ここ(WSD)だと思うので、大学生はぜひやってみたらいいんじゃないかな。もしここでバイトしていなかったら、まだまだ未熟だったはずの部分も、WSDで働いたからこそ成長できました。社会に出ていく力が着くという点で、興味がちょっとでもあったら、やってみたらいいんじゃないかなと思います。
左から 辻さん、小嶋さん、栗木さん

左から 辻さん、小嶋さん、栗木さん

栗木:私は、ずっと辞めたいとかしんどいとか思っていたけれども、結果、辞めずに今に至っていて……。ライティングサポートデスクで得るものが自分にとって多いというのが(辞めずに継続できた理由として)1番大きいです。ライティングサポートデスクを自分が辞めたとして、専攻でとっている授業以外に何か大学生活の中で自分が得られるかっていったら、きっとそんなに(自分からは)動けない。だから、「辞めたら絶対もったいないな」って思って、続けています。自分の学部以外の先生から何かを得るという機会も、授業以外のことで、和気あいあいと喋って、そこで何か気づきを得られる機会というのも、きっとここ(WSD)以外にはないと思うと、やっぱりライティングサポートデスクは、すごく魅力的な施設だと感じます。実際、個別相談の対応をしていても、自身の成長を感じます。学外でバイトしていたり、車を運転していたりとかする時に、周りを見て、「あの人きっと今、困ってる」と察することができたりとか……。人を見る力・汲み取る力、っていうのも身に着いたかなと思います。文章力ももちろん上がりますが、文章力を鍛えたいだけではなくて、「ちょっと新しいことをしたい」「人と違うことしたい」「大学生活で、1つ(自分の)武器を増やしたいな」と思っている人は、ぜひ1回、来てもらえたらいいのかなって思っています。
:個別相談の対応をしている中で、最初のうちは「何か教えなきゃ」とか、「伝えなきゃ」とか、〈自分から相手に〉という思いが強くて、ずっと上手くいかないなと思っていました。でも、続けていくうちに、それこそ空白の1年の後、人に伝える力・ちゃんと言葉にして伝える力は、身に着いたのかなと思います。WSDの業務で得た力が活かせそうだと思うと同時に、WSDは、自分の生活してるところに、新しい視点というか、自分の世界がより1歩新しく見えるようになる、素敵な場所だなとも思います。絶対に成長できるので、ぜひ、お願いします……!
WSD:ご協力いただきありがとうございました。

(2022年2月)